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鼻99〜全てを捧げし者〜  作者: みきお
2/5

第1話 99


気がつくと、俺は真っ白な空間にいた。

目の前にウィンドウが表示される。

________________________________________


ようこそ!《Re:write》の世界へ!

あなたにはこれから、自らの分身のステータスを割り振って頂きます。


〈名前〉花枝ハナエダ 戦斗セント

〈年齢〉 26

〈性別〉 男

〈容姿〉 中

〈種族〉


〈体力〉 0 ←

〈筋力〉 0

〈魔力〉 0

〈技量〉 0

〈敏捷〉 0

〈魅力〉 0

〈耐久力〉 0


【特殊パラメータ】

このパラメータは個人によって異なります。

〈爆〉 0

〈鼻〉 0

〈霊〉 0


残り99


〈決定〉








あと180秒

【※最後までポイントが割り振られなかった場合、カーソルが合わせられているステータスに残りのポイントが割り振られます。】

________________________________________


ふむ。子供の頃からゲームをやっている俺にはとてもわかりやすい説明だ。


要はこの99の数字を好きなように割振れって事だな。


うん。一番下に決定ボタンがあるな。

上の方にある不親切な奴もあるからこれは割と親切な方だな。


これは大事なところだぞ。ここでステータス割り振りを間違うと積んでしまうケースもあるかもしれない。


さっきの作業員のように非現実的な力を手に入れるなら〈魔力〉の項目にはしっかりポイントを割り振りたいところだな。


しかし、筋力に多く降ってムキムキ戦闘ライフを送るのも悪くない。ガタイがいいのはいい事だ。


うーん。悩み所だ。


そういえば…。俺は、特殊パラメータの欄に目をやった。


個人によって異なるパラメータか。ここに何か良さげなパラメータがあれば面白そうなんだけど。


〈爆〉と〈霊〉はなんとなく特殊能力の様な気がするが、〈鼻〉ってなんだよ!〈鼻〉って!


めちゃくちゃ気になる。


カーソルを合わせると何か説明が出るかもしれない。

そんな希望を抱き、俺は〈鼻〉にカーソルを合わせた。


…説明は無しか。

〈体力〉とか〈敏捷〉とかの数値と違って結構わかりづらいな…。


どうしたものか…。


しばらく考えていると、突然ビーと音が鳴り、画面が赤く染まる。


突然の出来事に心臓がどきりとした。


『時間内にポイントが割り振られなかったため、残りのポイントは最後にカーソルが合わせられているステータスに割り振られます。』


「は?嘘だろ?」


1人しかいないのに思わず口に出てしまった。


さ、最後にカーソル合わせてたのって何だっけ?

〈魔力〉じゃないにしろ〈筋力〉とかでありますように!


俺は塞いだ目をそろそろと開けた。


________________________________________


割り振られたステータス

〈鼻〉99


このステータスから適切な職が表示されます。


〈次へ〉


________________________________________


「ノォオオオオオオ!!?」


全部〈鼻〉に振っちまった!

ど、どうなるんだこれ?

てか〈鼻〉の適切な職業ってなんだよ!


逆に気になるよ!


しかも戻るボタンねーし!

前言撤回!なんて不親切な説明なんだ!


クソがっ!


俺はすぐに〈次へ〉ボタンを押した。


________________________________________


以下の中から職業を選択してください。


〈鼻魔法使い〉

〈鼻血使い〉 属性 血

〈鼻毛使い〉

〈鼻油男〉


〈決定〉

________________________________________


ヤベー。予想より全く意味わかんねぇ。


何〈鼻魔法使い〉って。ただし魔法は鼻から出るってか。


アホか。


ほかの職もろくなもんないし。

なんで剣士とか、格闘家とか普通の職が一つも無いんだよ!


しかも〈鼻油男〉ってなんだよ!もはや悪口だよ!


「…マジか。」


この選択肢の中から選ぶしか無いのか。


唯一気になるのは属性 血

との記載がある鼻血使いか…。


でも鼻血使いって…。

何、鼻血で戦うの?それか以外と輸血できたりとかしてサポート職だったりするのか?


もうどうでもいいや。


俺はこの世界で生きていく事を諦めた。


さっさとチュートリアル終わらせてログオフするか。


〈鼻血使い〉にカーソルを合わせて〈決定〉を押した。


________________________________________


以下の能力で決定します。


〈名前〉花枝ハナエダ 戦斗セント

〈年齢〉 26

〈容姿〉 中

〈性別〉 男

〈種族〉

〈職業〉 鼻血使い 属性 血

〈称号〉 全てを捧げし者



〈体力〉 0

〈筋力〉 0

〈魔力〉 0

〈技量〉 0

〈敏捷〉 0

〈魅力〉 0

〈耐久力〉 0


【特殊パラメーター】

〈鼻〉 99


〈確認〉

_______________________________________


ヤベーよ何度見ても〈鼻〉全振りだよ。


ってか称号だけなんかかっこいいな。

でも捧げたのは〈鼻〉なんだよな…。


大丈夫かこれ?まぁ、さっきのお兄さんも簡単に帰れるって言ってたから大丈夫だよな。


俺は観念して〈確認〉ボタンを押した。


________________________________________


これで、全ての項目の設定が完了しました。

それでは、しばらくお待ちくださいませ。


________________________________________



…これから新たな世界へと足を踏み出すのか。

これですごく楽しそうな世界だったら嫌だなぁ。


だってステータス〈鼻〉にしか降ってないし。


まぁ、なるようになれだな。


________________________________________


おまたせいたしました。

あるじよりのお言葉をどうぞお聴きください。


________________________________________


主?誰のことだろう。

そんな事を思っていると、唐突に景色が変わる。


そこは

荘厳な雰囲気の教会だった。


大きなモニュメントの後ろには巨大なステンドグラスがあり、様々な色彩の光を拡散させている。


大きな女性型のモニュメントの前に誰か立っている。


「ようこそいらっしゃいました勇者様。

どうぞ、こちらへ。」


俺はその人物を見たことがあった。

作業員の兄ちゃんに見せてもらった映像に映っていた少女だ。


わたくしの名前はエルと申します。」


とてもゲームの中だとは思えないリアルさ。

というか、ここは本当にゲームの中なのか?試しに頬をつねってみたが、現実の感覚とは相違無いように感じる。


「ど、どうも。花枝 戦斗と申します。」


「ハナエダ様。これからあなたは自由です。何をしてもどんな生き方をしても構いません。それが、生き物の本質なのですから。」


「は、はぁ。」


「しかし、当たり前のことですが、命は1人に一つしか与えられていません。それを踏まえて、第二の人生を歩んでください。」


「つまり、この世界で死んでも現実で生き返る事は無いって事か?」


「はい。そうなります。」


まぁ、リアルさを追求する為のフレーバーだろう。


ゲームで死ぬなんて馬鹿げている。


おっと、そんな事より最も大事な事を聞く事を忘れていた。


「ところで、元の世界に戻るにはどうすれば良いんだ?」


「元の世界に…戻る?」


少女は可愛らしく首を傾げた。相変わらず無表情だが。


「そう。俺のステータス見た?〈鼻〉99だぜ?鼻に全振りしちまったんだよ。こんなステータス流石にクソ雑魚だろ?こんなのもう帰るしかねぇよ!」


「いいえ。そんな事はありません。」


少女はなぜか小さな手で俺の両手を包んだ。


「え?」


「それはあなたの生きる為の力。それを馬鹿にする事など誰にも出来ませんよ。


大丈夫。あなたはきっとやっていけます。この私が保証するのです。


安心して下さい。」


そう言って俺の目をじっと見つめる少女。


…。な、なんか照れくさいな。なんだこれ。


「そろそろ時間のようです。あなたの新たな旅立ちに。幸多からん事を。」


俺の体が光りだす。


「ま、待ってくれ!どうやれば元の世界に変えることができるんだ!?」


「それはまだいずれ。あなたがこの世界を感じてから…。」


少女はたおやかに手を振った。


俺の意識は徐々に遠のいていった。



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