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3人の王女  作者: 華依奈
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片方のグループ



 東の道――グーグループ

「おや、シェリーちゃんじゃないか、今日も綺麗だねえ」

「おーリフィルちゃん、新しい食材入ったんだけど買うかい?」

「ありがと。おばちゃんも綺麗だよ-」

「おじちゃん、その食材ってどんなの? おいしい?」


 ここは城下町の東寄りの市場である。そこで店の人達と話しているシェリーとリフィル。何度も来たことがあるらしく、笑顔で楽しそうな感じだ。


「あらー、嬉しいこと言ってくれるわね。いいものあるんだけど見る?」

「ああ、なんかこれやったらおいしいって言われてレシピ渡されてな、いるか?」

「ああ、じゃあ見させてもらう」

「ええ、どうしよっかなー」


 …どこからどう見ても見事に町娘なお二人。






「ナイトさ…ん たまに思うんですけど」

「フレイ、今”様”つけようとしたでしょう?」


 一応王女とその側近なので城下町などの人前では"様"などの敬称をつけたら身分がバレる可能性があるため、つけないというルールがある。フレイはあまりナイトと一緒に城下町などに行くことがないので結構使うの苦手。


「…しましたけど、直したからいいじゃないですか」

「まあいいですけどね。それでどうしたんですか?」

「あの2人って本当に王族ですよね?」

「それ言ったらダメなやつですからやめましょうね」


 フレイはこういう光景を見ると信じられなくなるというたそがれた目で聞く。だが、ズバッと聞いたらサクッと真顔で返された。ナイトの主、レインビアはまだそういう意味ではましな方だが、近くにそうじゃない人がいるので王女たちの側近は全員一度は必ず思ったことがある…のか?


「でもたまに僕城下行くの許してるんですよね…」

「思い込み過ぎるのはやめてくださいね。自分にも周りにもよくないですから」


 フレイの顔がだんだんと青くなっていく。ナイトは冷静に大丈夫というようにフレイに話す。フレイは優しすぎてたまに自分が悪いと思い込み消極的な考えに至ることがある。前に一度ひどいときがあって色々大変だった。


「はい分かってます、ちゃんと切り換えするので大丈夫です。とりあえずリフィルの問題だと思うようにします」

「…フレイやチェインはいい子なんですけどね」


 フレイが苦笑して言った後に、ナイトはボソッと誰かさんのことを思いながら言った。


「泥棒よー!」

「誰か捕まえろ!」


 近くで誰かが物を盗られたようだ。


「それではフレイ、お仕事しましょうか?」

「了解です」


 側近二人は泥棒を捕まえることを決意した。笑顔で。主にナイトが。そして二人は走り出した。側近なので鍛えていることもあり、とても速い。泥棒は若い男でそれなりに速かったが、二人より速いことはなくすぐに追いつかれる。だからすぐに捕まえられた。そこに騎士団の男と若い女性が走ってきた。


「泥棒を捕まえて頂きありがとうございます!」

「あの、私の鞄が盗られて…本当にありがとうございます!本当になんとお礼をしたらいいか…」


 男は敬礼したあと、捕まえられた泥棒を拘束する。盗られたという女性は頭を下げた。


「いえいえ、お仕事大変でしょうけど頑張ってくださいね」

「お嬢さん怪我はしていませんか?貴女が怪我をしていたら私の心やご家族の心が痛みます。どうか怪我などしないよう自分を大切にしてくださいね」


 フレイは笑顔が素敵な好青年だった。ナイトは盗られたという女性に少し微笑みながら、鞄を手渡したものだから、その女性は顔が真っ赤になり、硬直した。周りにいた女子まで真っ赤にした。


「…ナイトさん!社交界の癖出てます!」


 それを見たフレイがやってしまった…という顔になる。社交界ではナイトはいつもこんな感じで、敵と見定めた相手にだけ腹黒。なので社交界での通称は”第2王女の毒花”。基本的にずっと腹黒なわけではなく、外面はとても良い。






「あ、ナイトとフレイが泥棒捕まえたのか」

「そうみたい、ねーリフィル。ナイトとフレイ女子にキャーキャー言われてるけどどう思う?」


 遠くで黄色い悲鳴と泥棒が捕まったという声が聞こえた。遠くといっても、顔とか見える距離だが。それを聞いたリフィルが言うと、シェリーが納得し笑顔で心底楽しそうにリフィルに二人のことを聞く。


「かわいそうだなって思う」

「…っ何で?」

「外見はいいけど内面は普通あんな人と恋愛とかしたくないでしょ?」

「そうだね…っフレイは良いとしてもナイト腹黒だもんね…っ」

「ほらシェリー姉様一回深呼吸して落ちふいて」

「すーはーリフィル口に入れたまま喋らない‼」

「ふぁーい」


 真顔で言うリフィルを見て、シェリーは頑張って笑いをこらえようとしている。ナイトはあの台詞を絶対心から思ってないから。ナイトは基本的に王女や側近たちには素だが、それ以外はアウト。家族も素。途中からリフィルはどこから出したのかパンを出して食べながら話していた。シェリーに怒られたのにまったく反省の色が見られない。


「ねーナイトたちこっち来てるんだけど」

「よーしリフィル逃げよ!」


 ナイトとフレイが人混みかき分けて少しずつこっちに歩いて来ている。それにリフィルが迷惑そうにいうと、シェリーは楽しそうに逃亡のお知らせ。もちろん二人とも逃げますよ。女子の目が怖いから。


「リフィルとシェリーさ……ん逃げましたね」

「目立ちすぎましたね」


 というわけで鬼ごっこ開始のゴングが鳴らされました。シェリーとリフィルが集合場所まで捕まらなかったら勝ち、捕まったら負け。また負けた方は勝った方のいうことを一個聞かないといけないというルール。このルールは暗黙の了解で行われています。

 リフィルとシェリーは裏道に行ったりして確実に距離を広げていく。かわってナイトとフレイは女性に群がられ思ったように進めない。そこでナイトが笑顔ですみません退いてください!一瞬女性たちに隙ができた瞬間に脱出し、人の邪魔にならないように一気に距離を詰めていく。ここからフレイが本領発揮、リフィルとの鬼ごっこなんて当たり前リフィルの癖はだいたい分かる。でもシェリーとリフィルも負けてはいない、家の敷地に入らせてもらって走りまくる。ここで集合場所まで半分。さあどちらが勝ってどちらが負けるか!

今回は少し短いですが次は長く早目にやります!

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