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3人の王女  作者: 華依奈
3/16

王の理由

 次の朝――――


「うーん今日もご飯美味しかった!」


 朝ご飯を食べたあと、自分の部屋に帰る途中で背伸びをしながら美味しいと言う。これはリフィルの日課のようなものだ。誰かが一度言いすぎじゃないかと聞いてみると、本人いわくなんか無意識にやってると言われたらしい。


「あ、そうだリフィル。今度またご飯作ってあげるよチェインと一緒に」

「ああなんか新しいレシピ仕入れたんだよ、前仕事行った時に」


 二人は話しながら仕事に行ったときを思い出して、小さく笑った。


「え、どこ行ったの?」


 リフィルの問いに楽しそうに、でも呆れたようにチェインが答えた。


「前言った」

「えっ新しい料理!?それは気になるわね」

「私たち(第一、第二王女組)にも作ってフレイ、チェイン」

「ええ、まあいいですけど味の保証は出来ませんよ?」

「何せ初めてですからねー」


 その第3王女組の中に割り込むシェリーとレイン(デューク、ナイト付き)、そしてそのむちゃぶりもあっさり受け入れる第3王女側近二人。色々とダメなはずなのに慣れとは怖いものだ。最初はやっぱり戸惑っていたが慣れてきた。ちなみにチェインは家の仕事や王宮の仕事で出張に行くことが多々なので色々お土産とか側近二人は料理が好きなのでその地方の郷土料理のレシピなんかをよく持って帰っている。そしてそれが結構楽しみな三姉妹。今回のやつは珍しくフレイも一緒に行ったそうだが、すっごい嬉しそうに帰って来た。チェインに何も聞くなと言われたが、リフィルはいつもと違い珍しく素直に聞かなかった。きっといつも以上に疲れていたチェインに憐れみを抱いたのだろう。


「じゃあリフィルに食べさせてから食べましょ!」

「うわ毒見だひどっ。別にいいけど」

「「いいんだな……」」


 シェリーが実の妹に毒見をさせようとするが、まったく気にしない妹。第三側近組はその大雑把さにいつものことながら呆れている。


「あ、お父様!」

「ん、シェリー達か、おはよう」

『おはようございます』


 基本的に王と娘たちは一緒にご飯は食べない。仕事とかの関係だそうで。娘たちはたまに三人全員で食べているがあまりないので珍しい。側近組はさすがにその中には王宮内では入らない。そう王宮内では。


「それでお父様単刀直入に言いますが、昨日次の王にリフィルがなるにあたり私とシェリーは補佐をやりたいと思っています」

「突然だな…別にいいぞ?予想はしてたしな」

「やっぱりなさってたんですか」

「ああリフィルが王になった場合国や自分に不安感じてって感じじゃないか?」

「うんなんか嫌だ合ってるけど」

「まあこれでも一応父親だからな」


 シェリーの申し出の予想はしてたお父様。仕事は忙しくても娘たちのことはよく見ているということ。いわゆる親バカ。そして地味にドヤッとしたのでいらつくシェリーさん。


「陛下!ちょっと早く執務室戻ってください」

「ああ、じゃあ仕事があるからまたな」


 そして王は側近に呼ばれて仕事に行ってしまった。


「はーい、じゃあ私たちも仕事しようか」

「そうだな」


 シェリーのひと声でみんな仕事をやりに行く。引きこもりでも仕事はします。外には顔出ししないけど。だからほとんどの人が王女達の顔を知らない。顔出ししないから仕事の量もある程度限られている。


「じゃあねー姉さまたち」






















「さてと、これでデュークが帰ってきたら終わり。結構日も暮れてきたなーって。あ、お父様に辞める理由聞くの忘れた……」


 コンコン


「はーいどうぞー」

「失礼致します。シェリー様」

「あれハルカじゃない。どうしたの?」


 彼女はメイドのハルカ。基本的に3人の王女付きでその中でもリフィルとは仲が良い。その二人セットで何かすると雰囲気とかやる内容で絶対に笑われる。それでも普通に全員と仲はいい。


「はい実は……」






















 王宮にドアが思いっきり開く音が響きわたる。


「お父様!!」


 ここは王の執務室。そこにシェリー、レイン、リフィルがすごい勢いで入ってきた。いつもならその行動を絶対にしない姉達までも。シェリーは怒りながら、レインは黒い笑み、リフィルは呆れて。


「どうしたんだ?姉妹揃ってノックしないとダメだろう。心臓飛び出るかと思った」

「そんなことは今どうでもいい」


 急な訪問にちょっと困惑気味の王にズバッとシェリーは鬼の形相で言い切った。


「で、用件は?」

「辞めたい理由と言ったらお分かりですか?」

「うんわかったからとりあえずその笑みやめよう?」

「お父様のせいですよね?」


 レインの威圧に若干怯える王。誰のせいだと思っているのか。


「はー、ていうかもうバレたのか」

「ハルカから情報来ましたから」

「あーあの子か何か変な子」

「そうですね、そういう認識でよろしいと思います」


 ハルカはほぼ周りから変人扱いでも一部のことではかなり有能。それを見て彼女と仲もいいリフィルも変人。それに対してはたまに開き直ったりすることもある二人。


「で、あれだろう?この国の貴族と隣のラルーナの王子と貴族がここ攻めようとしてるっていう」

「まあ侵略ですね。で、それを知っててやめるのかって話なんですよ?」

「シェリー、一回落ち着けというより知ってるからこそだぞ?」


 王達にバレてる時点で王子たちのアホさが窺える。それでもわざとという可能性もある。一応侵略されそうなのに王は意外と冷静だったのかもしれない。けれどシェリーのイライラは募るばかりだ。


「どういうことですかお父様?」

「えっとなリフィルなら分かるだろ頭良いし」


 王は思わせぶりな態度をとって教えようとしない。その態度にイラッとしながら、王女たちは言い返した。


「そういう問題かな……あれでしょラルーナの王であるアーク様が病に伏せってるからでしょ?あとアーク様と話せないし、ラルーナの王子どうしたらいいのか?って感じ。ラルーナと変な雰囲気になったら父様はもちろん国民も困るからね」

「あーお父様とアーク様仲良いものねでもまだ退位はされてないはずよ?ねぇレイン」

「ええ」

「もし、だけど戦が始まりアーク様が病から復活された場合」

「あー何か面倒くさくなるわね色々。仲良いから余計かしら?」


 リフィルが軽く予想を話す。それにシェリーたちは突っ込むが納得したようで。ちらっとレインはどうなの?という意味を込めて見た。



「正解!」




「……っていうかこれ絶対引き受けないとあとから面倒くさいパターンだったんじゃん」

「今回は面倒くさい雰囲気がしたから引き受けた」

「リフィルナイス」

「同じくナイス」

「どういたしましてレイン姉様、シェリー姉様」


 そんな会話が小声で行われる。

リフィルと王は似た者同士の親子なので少しは分かる。一応面倒くさくてもどうせ王座とか絶対回ってくるから先に腹をくくった。


「まあでも私引き受けたしもうやめるとは言いません。で、アーク様治しに行きます魔法で」


 リフィルは魔法が得意だ。自分で色々発明するくらいには。そしてもちろん医学もできる。


「ああ、あの治癒魔法かリフィルは桁違いだからな」

「では行ってもよろしいですか?」

「ああ構わない。ちゃんと治してこいよ」

「はーい、では失礼します」

「「…失礼いたします」」


 はんば巻き込まれるように部屋を出たお姉様達。部屋を出たところの廊下には側近組がいた。


「一応ハルカから話は聞いたぞ、どうなったシェリー」

「…ラルーナ行くことになった」

「…リフィルか」

「またやらかしたんですかリフィル!」

「痛い痛い‼」


 チェインはリフィルの頬をつねりながら説教。フレイは逃げ出さないように監視。


「しかも王宮だよね」

「……ねぇリフィルマナーもちろん出来るよね?」

「ああそれは俺にも聞かせてもらおうか?」

「………」

「あからさまに視線をそらさない!」


 今度はフレイが説教。第1王女組は黒い雰囲気が漂っている。


「さあリフィル一週間後に出発しましょう?だからそれまではマナー漬け、ね?」

「ああもちろん俺も付き合うからな?」

「………………助けてー‼」


 マナーには厳しい第1王女組。引きこもりだったとしても王女として最低限のことは出来ているシェリー。もちろんレインビアもだが。そしてリフィルはシェリーとデュークに引きずられて行く。


「しばらくサボってたのが悪いぞー」

「それは同感」

「シェリー手伝うわよ。リフィルの見張り役とあと復習したいから」

「ということなので付き合いますよデューク」



















 ――ラルーナ――

「さあ試合開始と行こうか」

「……………」


 周りの貴族から物凄く何言ってんだこいつ的な目を向けられている。それに対しては思いっきりスルー。


「一応兄さん王子なんですけどね」

「…ご自分が悪いかと」

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