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世界はどこも大変だけどやっぱり異世界が一番良い!  作者: 不可避の老人の犬の足
第1章 異世界へ
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第1章 4話 『宿屋の夜』前編

どうしても情景の描写はキャラの描写を忘れてしまうので気を付けたいです。それと設定に触れる回も作ろうかなと思います。

俺たちは宿屋で10日間の寝床を確保した。


「よし、じゃあ行こうぜ。」

「う、うん。」


さっきから菜川がおかしい。


なんでだろう。寝床を確保できて嬉しいのかと思ったが、嬉しそう、というより、うーん、なんといえば良いのか。たどたどしいというか、緊張している、感じだろうか。

そういえば、受付嬢がこう聞いてきたな。


「部屋は一部屋ですか?」

「??もちろん。なるべく節約したいですし。どうしてそんなことを聞くのですか?」

「いえ、なんでもありません。」


俺は普通に話していたのだが、菜川が会話中に何か言いたげな目線を送ってきていた気がしなくも無い。まぁ多分気のせいだが。だってさっき、


「さっき俺をじっと見てたけど、なんかあった?」

「え、ぁ、いや、その、ご、ゴミが付いてただけだよ?はは。」


って言ってたからな。俺には探しても何処にあるかわからなかったから、菜川に取り除いて貰った。菜川が触れた所はさっき俺が念入りに確認した所だったんだがなぁ。まぁいいか。


「お、着いたな。506号室。うん。ここだ。」


そして俺は鍵を開けて中に入った。


ガチャ。


ん?菜川は入らないのか?


「おーい、菜川ー?どうしたんだ?入らないのか?」

「え、あ、えっと、私、入って良いのかな?」

「良いに決まってんだろ、早く入れよ。」

「は、はい、失礼しま、す。」


やはりおかしい。菜川の様子が明らかにおかしい。


「おい、お前なんか変だぞ?さっきから。」

「え、そ、そうかな?気のせいだよ。僕は平気だよ?」

「僕ってなんだよ、第一人称変わってるぞ(笑)」

「へ?私、今、自分のことを僕って言った?」

「あぁ。なんだか珍しいな。菜川テンパってるぞ?」

「う、うぅ……」


これ以上何を口走るかわからないと思ったのか、黙り込んでしまった。


そして俺は部屋の中を探索した。


ざっと見て回った限り、危険物はない。まぁ一応は確認しとかなきゃな。いつ天神が罠を仕掛けているかわからない。


この部屋はダブルベッドが一つ。また、トイレと浴室がセットになっている。そして机と椅子があり、ソファーもある。ソファーの前にはテーブルがあり、テーブルの前には大きなテレビがある。


どうやらこの世界、電気があるようだ。深層世界からの情報だと、主要な属性は火・水・土・雷・風・光・闇・無・聖の9種類だ。なんか多すぎない?そして、雷は最近できた属性で、扱いが難しい上に危険だが、非常に優れた性質を持っていて、うまく扱えれば、世界の文化レベルがとても向上するとされており、世界中で研究が行われているそうだ。


話を戻そう。


この部屋にはそのほかにクローゼットや冷蔵庫(魔術式)があり、引出しには何かの宗教の教典が一冊。また、ハンガーがクローゼットにかけてある。また、机には鏡らしき魔術道具もあった。浴室にはバスタオルやら歯ブラシやらが置いてある。


なんか近代的過ぎやしないか?そのうちこの世界でもゲーム出来るようになるのでは?


さて、ひと通り説明したかな。おっと、大事なことを忘れていた。


この部屋は洋室に近く、壁と天井はほんの少し薄茶色がかった白い色で天井の優しい光(魔術道具)とマッチして落ち着く空間になっている。部屋は大体13畳くらいだ。そこそこ広い?のかな。少なくとも前世の俺の部屋よりは広い。



さて、今度こそ、ひと通り説明したよな?もうなんか自信が無くなってくる。俺はもともと人に説明できるような人間じゃないしな。


そう思ってると、俺と同じように部屋を探索していた菜川が戻ってきた。キョロキョロしている。可愛い。

ん?今気付いたが、菜川の顔が赤みがかっている。おいおい、熱があるとか言うんじゃねぇぞ、俺は治癒魔術使えねぇぞ。あ、そういや、治癒魔術は無属性なんだって。因みに魔法は詠唱しただけで出るわけじゃなく、適正が必要で、基本的に無属性魔術は誰でも使えるものが多いが、治癒魔術に関しては適正がいる。俺にも適正があるかもしれないが、まだ使えない。ちゃんとした施設で調べて貰おうかな。病院みたいな所。


「菜川、お前なんか顔が赤いぞ?熱でもあるんじゃないか?」


そう言って菜川のおでこを触ってみる。確かに熱い。


「え、あ、い、いや、熱は無いから!」


そう言って俺の手を退けた。


「私が熱いのは、ふ、双葉君、のせい、だよ。」


菜川は俯きながらそう言った。


「何言ってんだ?俺は火属性魔術の適正ないぞ?」


「あ、いや、そうじゃなくて、えっと、その…」


「やっぱりお前たぶん熱あるんだよ。だから少しだけ休んどけ。買い出しとかやっとくから。」


そう言って俺は買い出しに言った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




この世界にはコンビニがある。ゆえに俺はコンビニへ言った。この宿屋は商店街に面しているが、もうお店が閉まり始めている。だいたい20時くらいだろうか。飲食店はやっているが、俺たちはもう既に夕食を食べている。では何しに行くのか。それはもちろんペットボトルを買いに行くのだ。買い溜めして冷蔵庫に入れておこう。


あれ?そういやこの世界にペットボトルあるのかな?まぁいいか。行ってみよう。


「いらっしゃいまっせーセラピ〜」


やたらテンションの高い店員がいる。あぁ面倒だ。


とりあえず棚をみる。ふーん。








前世のコンビニと変わんねぇじゃねぇーか!!







一つ違うのは壁がガラスじゃなくてレンガだから店の中がわからないくらいだ。はっきり言って、看板出てなきゃなんの店だか分からん。リーラマにはGPSみたいな機能はあるらしいが。つーかどんだけ近代的なんだよ。


ペットボトルを買い込んで、ついでにこの世界のお菓子を買った。それと治癒魔術薬、と言うのがあったので買ってみた。風邪のような症状にも効くらしい。その上、この薬、わりと万能で安い。


「は〜い、256ポイントで〜す」

「はい。」

「毎度あーリーラマ〜」


俺はコンビニを出ようとしたその時


「ちょっとお待ちくださー命〜」

「はい?」

「あなた…この世界の人間ではありまセンね?」


何を言われたのか一瞬わからなかった。

が、こいつが何を言っているのか、すぐにわかった。


「ここの店は特殊な店なんデス。あなたが必要とする店に変化するんデスよ。私はこんな店を見たことありまセン。あなた…何処から来たのデスか?」


異様だった。こいつはやばい。俺はそう感じた。ここから離れなくては。そう思った。


「いえ、言わなくても構いまセンよ。まだその時ではないデスからね。神のお告げがあった時、私はあなたを迎えに行きましょう。では失礼。またのご来店をお待ちしていまー水竜〜」


俺はコンビニを出た。後ろを向くと、そこは暗い洞窟になっていた。なんだったのだろうか。俺がここに気付いた時からここはコンビニだったのに。半日だけコンビニだったとでも言うのか?。ありえない。なんだかゾッとした。それにあの店員は、強い。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ただいま。」

「あっ」

「あっ」


菜川がバスタオルを肩にかけた状態で振り返った。

全裸だ。まさか風呂から出たばかりなのか?

それにしてもすごい。目に焼き付けておこう。


「お、おぉ、す、すまん!!」


俺はドアの方を向いた。とりあえず菜川が着替えるまで、見ないようにしておこう。


「べ、別に…いいよ。み………」


菜川は何か言いかけたが、やめたみたいだ。


「と、とりあえず着替えろ」

「う、うん」


菜川はそう言って浴室へと戻った。


「あのさ、私たち着替え持ってないよね。」

「あっそういえばそうだったな。忘れてた。」

「明日さ、服買いに行こ?」

「そうだな。そうしよう。」


そう言ってから俺はコンビニで買ったペットボトルを冷蔵庫に入れた。


「そういえばさ、さっき変な店を入っちゃったんだよね」

「変な店?」


浴室から菜川の声が聞こえてくる。


「そう、なんか店員も変わった人で、その人の店は俺が望んだ店に変化するんだって。しかもその人、俺が異世界から来たんじゃないかとか言ってきてさ。」

「……それ本当なの?」

「え?」


菜川が低い声で聞いてきた。思わず聞き返してしまった。


「その話本当なの?」

「嘘つく必要ないだろ?」

「まぁそうだよね。それで、その人はそのあとどうしたの?」

「え?あぁ、なんか神のお告げがどうのこうのとか言って俺をいずれ迎えにくるとか言ってた。きみ悪いよな。」

「間違いない。そいつ、危険人物だよ。」

「は?なんでわかるんだ?」

「私知ってるよ。深層世界で生活する上で気をつけることとか、権力者とか、色々調べたもん。そいつ、なんかの危険な宗教団体の人間だよ。」

「危険な宗教団体?」

「うん、なんでもその宗教団体の教祖は普通の人じゃ使えない特殊能力を持っているみたい。一般人は変な宗教を信仰しないように教育されていて、国自体が一つの宗教を推奨してるんだよ。」

「そうなのか。ヤベェ感じはしてたんだけどな。」

「それとそいつらはリーラマをつけてないはずだよ」

「自分の記憶を覗かれるからか?」

「そう。そうしたらすぐに身元が割れちゃうからね」

「なるほどな。お前もよく調べてくれてるんだな。ありがとう。助かる。あの店にはもう行かないようにしよう。」

「うん。」


俺はあそこに行かないよう心に決めた。


「そういや、その変な店はコンビニになってたんだけどさ、そこで飲み物とお菓子買ったぞ。これ食えるのかな?」

「え、そこで買っちゃったの!?」

「買っちゃった。すまん。」

「……まだ確かじゃないからわからないけど、私たちは狙われたかもしれないね。」

「狙われた?ペットボトルに毒でも入ってるのか?」

「いや、ある記憶では毒も何も無いけど、そのあと確実にそいつらと接触してしまうんだ。というのも、それ以降連絡が取れなくなるらしい。そして期限は決まって3日。つまり、今日から3日後、奴らは来る。」

「おいおい、そりゃまずいな!」

「もう遅いよ、私たちまた死んじゃうんだ。」

「くそ、天神の仕業か。どうせあいつのせいだ。でも諦めるにはまだ早い。最後まで足掻いてやろうぜ。3日後は傭兵ギルドにいよう。」

「っ!!そうだね。諦めるわけにはいかないよね。傭兵ギルドにいよう。あそこならそう簡単に手出しできないはずだもんね。」

「あぁ。だから明日は服とかの買い物して、明後日はクエストでも受けて、明々後日は傭兵ギルドに一日中いよう。」

「うん!」


威勢のいい返事だ。とりあえず今後の方針が決まったことだし、そろそろ寝るか。荷物の整理も終わったしな。


「なぁ入っていいか?」

「え、あ、う、うん、いや、ちょっと待って。」

「わかった。」


トイレを流す音が聞こえた。


「お待たせ。いいよ。」


鍵が開いた。ガチャ。


「失礼します。」


すると目の前にバスローブを着た菜川がいた。顔が赤い。お風呂に入ったからだろう。


「おぉ、菜川似合ってるぞ。まぁバスローブはバスタオルより先に使った方が良いと思うけどな。」

「そ、そうかな。似合ってる、か。ふふ。」

「あぁ。それ、と、な、そこそこ、あれだ。」

「あれって?」

「えーと、あれ、その、色気がある。」


そう言うと菜川は目を見開いた。そしてそっぽ向いて黙り込んだ。と思ったら口を尖らせて拗ねたように言った。


「はいはい、いつも色気なんてありませんもんねー」

「あぁ、悪い悪い、そういうつもりで言ったわけじゃない。その、いつにも増してってことだ。」

「つまり、いつもは全然ないってことでしょ!!」


菜川が怒ってしまった。そして「もう寝る」と言ってベッドに潜り込んでしまった。


「ごめんって。悪気は無いんだ。」


無視されているようだ。仕方ない。さっさと風呂に入るとするか。


浴室へ入り、鍵を閉めた。風呂に入る前にトイレで用を足し、服を脱いだ。相変わらず平凡な体だ。少し鍛えてみるか。浴室は少し滑るが、床にはマットを敷いて対処した。とりあえず腕立て伏せをできるだけやって風呂に入ろう。というかこれシャワーだけだな。浴槽にお湯貯めるの面倒いし。あーでもなぁ。ちょっと聞いてみるか。


「菜川、お前はシャワーだけ浴びたか?それとも浴槽にお湯ためて風呂に入ったか?どっちだ?」

「………シャワーだけ。それも念入りに…」

「そうか、ありがとう。」


菜川は答えてくれた。優しいからな。拗ねるけど。まぁそこが可愛いのだが。それと、今日はアレがある。


そんなことより腕立て伏せだ。


「フッ!……はぁはぁ…フッ!…………はぁ…」


呼吸するのがきついな。というか腕立て伏せの体制自体きつい。それとなかなか続かない。


「はっ……はぁはぁ…………はぁはぁ……」


ゴン!とドアの方で音がした。菜川何やってんだよ。


「はぁはぁ…ふっ……ふっ……はぁはぁ…」


するとドアの向こうから声が聞こえてきた。


「んっ……」


なんだ?どうしたんだろう。まぁいいか。


「あぁ、辛いな…ふっ…ふっ……はぁ…はぁ…」


腕も痛いが、肩にもくる。こんなんじゃ傭兵として生活できないんじゃないか?それは困る。


「んっ……はぁ……はぁ……」


ドアの方からも声が聞こえる。きっと菜川も筋トレしてるんだな。以心伝心ってやつか。


「フッ…はぁ……はっ……はぁ…はぁ……はぁ…」


25回しかできなかった。随分となまってんな。これでも中学時代は運動部だったんだぞ?緩いが。


「んっ……んっ!!……」


「はぁはぁ…はぁ……はぁ…はぁ…終わったぁ…」


疲れた。さっさとシャワーを浴びよう。


「んっ!…んっ!!…あっ!!ああぁぁっ!!」


ん?なんかおかしくないか?菜川大丈夫か?


「菜川?大丈夫か?きつそうな声出して。」


俺はドアを開けようとした。が、自分が全裸だったのを思い出した。あぶねぇ、さっきの菜川と同じじゃねぇか。


「はぁ…大丈夫だよ、はぁ…双葉、くん…はぁ…」


明らかに大丈夫じゃなさげだ。そういえば菜川は熱っぽかったんだよな。症状が悪化しているのかもしれない。


「菜川、俺はなるべく速く行くから、待ってろよ。」

「はぁ…え、速く逝かなくてもいいよ?」


菜川はそう言ったが風邪の症状は心配だ。この世界だと何が起こるかわからないからな。


俺は速攻でシャワーを浴びてバスローブに着替えて、歯を磨いて髪を乾かした。30分かかってしまった。



そして俺は浴室の鍵を開けて浴室から出た。


次回後編です。作者も筋トレ始めたのでこういう妄想が膨らみました。菜川の可愛さよ、みんなに届け!

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