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銀河連合日本 The Next Era  作者: 柗本保羽
本編
44/89

【第七章・再生への道】第四三話『既存の終焉と新たなる始まり(4)』

 西暦二〇一云年のある日……っと、この物語、よくよく振り返って見ると、この世界の日本を元号で語ったことがない。

 というわけで、本物語初、この世界の元号は……という事で、


 かの柏木がフェル達と活躍した頃、その“平成”の時代より一〇年後の“令和”のとある年。

 ま、この世界も、柏木がすっ飛ばされた並行世界の時と同じ元号を使っているわけであるが、そんな世界の令和の時とこの世界はえらい違いを見せているわけである。


『時、初春の令月にして、氣淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す』


 つまり、『人々が美しく心寄せ合う中で文化は花開く』といったような意味だが、ティ連やゼスタールとの邂逅は、まさしく種族が美しく心寄せ合う文化であって、並行世界の地球とはまた違った言葉通りの意味に今現在なっているという次第であるが、反面この美しき令和の元号を破滅させようとする事由も、これまた並行世界の地球では恐らく考えもつかないような状況で、この世界では発生しているわけである。


 さてそんな事由。つまり『偉いこっちゃ』な事件である『グロウム・ヂラール戦争』も、とりあえず一つの区切りをナントカつけることができたわけだが、この戦いは、聖ファヌマ・グロウム星間帝国の『興亡』になりかけた事件という以上に、今後の地球社会においても、色々な事案を含んだ出来事となる事件でもあった。


 まあその事案といえば、まずは現状誰でもわかる『サマルカ人聖人説』ともいうべきグロウム側の文明発生の起源にまで及ぶ話。で、『天の川銀河系』という視点で考えれば、その『聖人様』が、地球にもやってきていたという事。

 グロウム帝国と地球世界は、“超光速文明”基準で言えば正味ご近所である。つまり知的生命体の生存圏としては同じ土俵でみなければならない。

 もし時代の因果の理が少しズレていたら、もしかしたら地球はグロウム帝国の保護観察対象文明になっていたかもしれないのだ。

 で、その地球社会でいえば、『国際連合相互主権連携理事会UNMSCC』内で、此度のヂラール戦争に参加したLNIF諸国代表が、現状の報告をUNMSCC諸国へ行っていた。

 まあ確かにLNIFとはいえ、今回参加した航宙巡洋艦は事実上米国主導で建艦したものなので、作戦の主導権はUSSTCにあったわけなのだが、体裁……というわけではないが、その作戦主体はやはり米国なので、これが現在の地球における日本国以外の国際関係といったところである。  


 当然LNIF陣営の報告を深刻かつ真剣に受け止めるはCJSCA陣営。つまり中国・ロシアが影響力を持つ国家である……ただロシアはLNIFにもオブザーバー国として登録しているので、CJSCAとは微妙な関係だったりするわけだが……

 

 で、LNIF諸国、特に米国の報告……もちろんこの報告は単に原稿を読むだけのものではなく、USSTCや特危自衛隊提供の映像資料なども駆使したプレゼンも含んでの事だが、世界中に衝撃を与えることになった。

 かのヤルバーンが地球にやってきて、当時の柏木特命大使がイゼイラへ訪問した時に世界へ公表された映像資料等々をもって、当時の地球はその時を境にして『恒星間交流時代』に突入したわけだが、あれから一〇年。もう見慣れた宇宙空間や宇宙船の映像はいいとして、あの惑星サルカス戦時の戦闘映像以上に強烈な、これまたSF映像を超えたノンフィクションの映像に、流石のUNMSCC各国も戦慄を隠せない状況に陥ったのであった。


 まず第一にヂラールコロニーの巨大な生体要塞の映像、しかも合計三つ。

 月丘の銀ピカコマンドローダーのライブカメラが捉えた、千手観音の如き『マスターヂラール』の映像に、惑星サージャル大公領における、ズタズタにされた街の映像と被災したグロウム国民の映像。

 更にはグロウム帝国本星における、地上へ着床し、陥落寸前のヂラールコロニーに、それを殲滅するための核攻撃作戦にさらされたグロウム国土の映像。


 そしてサージャル大公の地球国家に向けた平和的メッセージに、ランドラ皇帝のメッセージ。


 そんな映像てんこ盛りが、UNMSCC議場で報告された。

 この報告を行ったのはLNIFの代表ということで、プレゼン能力に長けた、かの『ベルナール・オージェ』フランス元老院議員であった。この人選はLNIFの議長国が、今期はフランスということだからという理由からで、特に他意はない。

 で、このオージェ議員、彼も彼で言ってみれば第三者なわけであるからして、まず冒頭彼の言った言葉……


「私は今から……宇宙で起こっている恐るべき事実を皆さんにお話ししなければなりません。かくいう私も言ってみれば、これからこの場でお話する事に関しては全くの第三者であるわけですが、今、私がこのような立場でこの場に立たなければならない義務を課せられていなければ……フゥ、今頃私は家で氷水を額に当てて、寝込んでいることでしょう」


 こんな枕詞で報告を始めたわけで、当然その後に続く映像資料がアレなわけですから、国連史上に残るプレゼンとなったわけであった……


    *    *


 さて地球ではそんな状況で、更に日本ではそろそろ衆議院の解散総選挙があるわけで、フェルさん議員が帰国の途につかなければならないわけである。

 現在、ヂラール戦争が終結した状況において、特危自衛隊や、ヤルバーン州軍に防衛総省の主力が駐留する必要もとりあえずはなくなったわけで、状況を見てそれら主力は太陽系―地球圏や、ティ連の各所属基地へ帰還する予定になっていた。

 もちろんその帰還する諸々の中には、今戦争においての中枢を担った人工亜惑星要塞レグノスも含まれているわけで、今グロウム帝星宙域にはレグノスとの交代のために、超大型都市要塞戦略軍事宇宙ステーション『アウビダント』がやってきていた。

 

 さて、この『超大型都市要塞戦略軍事宇宙ステーション』なるもの。その大きさは、レグノスのような亜惑星要塞の如く、度を越したアホみたいにデカい代物ではないが、それでも全高五キロメートルに、直径一〇〇キロメートルの、ディルフィルドゲートを横倒しにして戦闘要塞化したような、そんなデザインの『要塞艦』とでも言うべきものであった。

 この要塞艦も、言ってみればその用兵法はレグノス要塞と同じような感じで運用されるのだが、レグノスのような亜惑星要塞が必要とされるのは、此度のようなよっぽどの状況であるわけなので、普段は『亜惑星要塞』の名の通り、拠点でどっかり構えている施設なのである。此度の戦闘のように、軍用艦艇の一種として扱われる事なんてのはほとんどない。

 つまり、本来は此度のグロウム戦争のような戦いの場合、この『アウビダント』型要塞艦が拠点として活躍するのが普通なのである。

 ということで今後はこの『アウビダント』がグロウムの復興作戦中枢を担う拠点として、この宙域に留まり、レグノスは地球文化圏境界へ帰還し、通常任務へ復帰する……つまりまた『日本国レグノス県』を中心に、ティ連と地球圏を結ぶ交通の要所として、そして地球から行くことのできる気軽な宇宙観光施設として、本来の任務に戻るという次第。


「ということで、境界線への帰還を確認してから、日本へ行くよフェル」


 レグノス要塞の、防衛総省長官官舎。

 ひとっ風呂浴びて、頭ガシガシやりながらジャージ姿の柏木長官。

 

『ンじゃ自宅へマサトサンが帰ってくるのもスグですね』


 先にお風呂を姫迦といただいたフェルさん。姫迦とポータブルゲームで遊んでたり。


「だな。フェルが帰ってから三日後ぐらいかな」

『ヨカッタですね~、ヒメチャン。ファルンパパもすぐにオウチへ帰ってくるデスよ~』


 久々の夫婦親子水入らずな一家団欒をできると喜ぶフェル。姫迦もキャッキャと喜んでいる。


 とま、こんな具合にフェルがサージャル大公領から、このグロウム帝国本星へやってきていた。

 勿論日本国外務大臣としての仕事があるからである。とりあえずはサージャル大公とファール首相のサポート、そしてランドラ皇帝の凱旋帰還を大々的に知らしめるためのサポートもある。


 惑星サージャル大公領の臨時政府勢は、本星脱出国民とランドラ皇帝も含めて、現在グロウム帝国本星に帰還していた。無論手ぶらでというわけにはいかないわけで、グロウム帝国本星を、それこそ惑星全土に渡って一気に復興させる勢いの、ティ連復興協力艦隊……いや、『大艦隊』を伴ってやってきていた。

 この艦隊も実際の指揮監督権は、グロウム帝国との交渉権を持つ『連合日本国』主導なのだが、先の臨時政府と自治都市連合との確執の件もあり、『臨時政府が要請し、集めてきた復興艦隊』という名目で、この場にやってきていた。

 まあとはいえ、その規模はトンデモレベルでのすごいものである。

 ティ連本部で有事の際使用するために常時待機している『人工大陸パーツ』をありったけ曳航して持ち込んでおり、現在グロウム帝国の主要都市部をカバーできるだけの生活圏確保を可能な状態にしている。

 従って、早速というところで、現在本星に残っているグロウム国民のほぼ全員を、対放射能防護用の地下都市からこの浮遊人工大陸に上げて、健全な生活環境へ戻す手はずを惑星規模で行っている。そりゃもう惑星全土、全国民レベルでの引っ越しだ、民族大移動ともいえるもので、グロウム・ティ連・特危全軍の協力で、この大移動をサポートしている。


 人工大陸の施設は、この星の文化風習をトーラルシステムが分析し、模した町並みが予め設定建築されている。

 グロウム国民は、仮設生活地区へ全員を一旦集めて宿泊させられてから、トーラルシステムが弾き出した、グロウム国民個々のパーソナルデータを可能な限り参照しつつ、基本くじ引きで、家屋が配給される事になっている。

 グロウム帝国は地球世界同様に、基本まだ貨幣経済国家なので、当然商売人は商売をする施設に。農民は農業畜産をする施設も必要になるわけなので、そのあたりもグロウム帝国の各政府機関と協議して割り当てられるようになっている。

 で、そのようにグロウム帝国本土の除染浄化作業と復興作業に一定の目処がつくまで人工大陸で国民は生活を行い、目処がついた時点で、本土への帰還作業が行われ、帝国で使われた人工大陸は帰還予定分を差し引いた一定数が、そのままグロウム帝国に供与されることとなっている。

 そしてグロウム帝国本星に完全復興の目処がつけば、今度は近隣諸国の復興に、保護観察文明の調査など、それはもう一〇周期単位でのティ連復興協力事業となるわけである。

 で、そんな復興協力ばかりやらされて、一体ティ連に何の得があるのか? という話になるのだが、グロウム帝国とは今復興事業の完了と同時に、ティ連への加盟参加をとりつけている。これがティ連にとって一番欲しいものであり、嬉しい事なのである。

 現在は近隣諸国との関係上、主権に関する問題に触れるのは、いささかややこしい話になりかねないということで、現在は友好・安全保障条約関係で留めているわけだが、こういう将来の点も既に確約を得られるぐらいの外交状況にはなっているのであったりする……


「フェル、ところで多川さん達はどうしてるの? 暁くん最近顔を見ないけど」

『ウフフ、それはもうタガワサンところは今頃一家団欒なんではないデスか?』

「はは、なるほどね。あの一家は多川さんもそうだけど、シエさんもド幹部将官だからなぁ。ウチ以上に家を空けるからなぁ」


    *    *


 とそんなトコロで、レグノス要塞の、多川一家の官舎を少々覗いてみると……


「どぉりゃぁぁああ! このシャンデルから華麗にハイ・ヨー・ヨーへ! ……って、あいたたたた、そこから来るか息子よ!」

「へへー、おとーはこの攻撃弱いもんねー」


 今、日本で流行ってるPVMCGの機能を利用した家庭用ゲーム機を持ってきてた暁クン。

 多川もお気に入りの戦闘機ゲームで対戦中。ゲームの名は、『エースなんちゃらⅫ』ぐらい。

 多川の乗機はF-15で、暁はF-35……さしもの特危自衛隊エースの多川も、ゲームの世界では暁の方が一枚上手。

 と、んなことやって親子遊んでると、


『オーイ、ダーリン、アカツキ、ゴハンデキタゾ。食ベナサイ』


 と、シエかーちゃん。エプロンつけて夕飯作ってたり。

 暁くんはかーちゃんのゴハンは久しぶりなので、その声聞いてコントローラほっぽって食卓につく。

 今日のメニューは、暁が大好物の、シエ母さん特製シチュー。

 暁はサージャル大公領で、グロウム人の友達ができた事とか、ランドラ皇帝のお相手役を姫迦と務めてた事とかを子供らしい自慢話で両親に話しながら、晩餐してたり。


「なに? ランドラ陛下と遊んでたのか暁! すげーなお前」

「うん。トランプしたり携帯ゲームであそんだりしてたよ。モグモグ」

『フーム、ダーリン、トイウコトハ、アノ国ノ実質ノ統治者ハ……』

「ああ、当面はサージャル殿下って事なんだろうな。柏木さんの話じゃ、今後のあの国の内政を考えた時、なんかイヤな左派勢力みたいなのもいるみたいだってんで、その動向もよく見て協力態勢をとらなきゃならないかも、とか言ってたしな」

『アア、ソノ話ハ私モ聞イテイル。トイウコトハ、今後モ何回カハコチラニ来ル機会ガマタデキルカモシレントイウコトダナ』

「情勢によってってところだな」


 と、そんな話もしながら久方ぶりの一家団欒である多川家。こういうところもキチンとしている子供は、親と離れていても真っ直ぐ育つのである。


    *    *


 ということで、次の日……


 フェルはエッサ・ガウゾ自治都市連合代表と、サージャルにファール達臨時政府と三者交えて今後の事を話し合う。

 当面は現状の通りサージャルが国家摂政をそのまま務め、ファールが首相で、エッサが副首相を務める事になった。これは、サージャルとファールの場合は、ランドラが既に当該役職を信任してしまっているため、この国の憲法にあたる『皇民約定法』により変更できない事もあっての事。自治都市連合のエッサも、ランドラの意向はそのまま御意にというところなので、そんな感じというわけである。

 ただ、その柏木が言う『左派』が、この方針に異を唱えているという話ではあるが……


 そして戦後の議会は、活動停止状態であった戦前の議会を一旦解散する形を取り、ファールとエッサが選抜した臨時政府側と、自治都市連合側の人物を暫定議員として一周期を目処に議員として就任させ、議会体制の再構築を行った後、行政を正常化するための『統一選挙』を行うことで合意した。

 で……こういう方針が、何故かポンポンと気持ちよく進んでいくわけであるが、これにはある人物が貢献しているからであるのは言うまでもない。


『ト、言うことだそうですヨ、ファーダ・セルカッツ』

『あ、はい。ではそういうトコロで良いのではないでしょうか、フェルフェリアダイジン』


 フェルはこの会合にセルカッツを連れてきて、勝手に『外務大臣顧問』とかいう役職を作って色々話をかっちーに振ってたりする。

 そりゃファヌマの使徒猊下が見ていらっしゃる前で無様な事は皆さんできないわけで、この会議も、グロウム帝国のマスメディアに中継されて、帝国全土に流されてたりする。

 っと、こういう作戦を考えたのは、もちろんフェルと柏木の二人だが、かっちーも『事が平和裏にいくのなら、そういう役をしましょう』と、意外と使徒猊下役に乗り気で手伝ってくれてたり。

 とま、そういうところで今後のグロウム帝国の国家方針もボチボチと決まっていくワケであった。


 で、今回の会合には、柏木とサージャルは出席していない。それはなぜかというと、柏木は基本ティ連防衛総省の長官なので、彼の仕事はヂラール戦争が終わるまでである。あとはグロウム帝国と交渉権を持つ連合日本国の管轄だ。

 サージャルの場合も、摂政。つまり皇帝の代行なので、内政は内閣と議会の仕事であるからして、サージャルが出ていくわけには行かない。この国は立憲君主制なのである。

 ……と、そんな理由から。


 で、サージャル大公はある人物を自身の執務室に呼んでいた。


「ネリナ・マレード少将、参上いたしました」

「ああ、提督。入ってくれ」


 パシリと姿勢を一つ整えて敬礼をするネリナ。少将閣下になったとはいえ、元が生真面目な彼女であるからして、その所作も美しい。


「はは、まあそう気を張るな提督。共に戦った仲だ。他人行儀な姿勢はやめてくれ」

「は、はあ、と言われましても……」


 まあそんな会話もしながらサージャルはネリナを応接室のソファーへ座るよう誘う。

 サージャルの付き人が茶菓子を二人に持ってきたり。勿論貴族様のお茶菓子である。そんじょそこらの品物ではない。

 

「これは……ポルマ地方の有名な菓子ですね。私が子供の頃、この菓子を父が買ってきてくれたときは、家族して大喜びしたものです」

「お、よく知っているな」

「それはもう。正直大人の『お給料』でなければ買えないようなお菓子ですから」

「うむ、ま、そうなのだが、これはティ連のハイクァーンという物質造成技術で作ってもらったものだよ」

「え? そうなのですか!」

「ああ。ま、つまり、チキュウのニホン国とティ連のおかげという事だな。こんな高級菓子が、あのハイクァーンというもので子供の小遣いで買えるコストで国民へ配給されている……話では、近年加盟したというニホン国以外の、ティ連という国家連合は貨幣経済を行っていないという話ではないか」

「はい。それは私も聞いております。最初に聞いたときはにわかには信じられませんでしたが……」

「わが帝国は……まあこういう言い方もなんだが、もう今やコテンパンにのされて、国自体がリセット寸前にまでいった状況になっている。国難ではあるが、ティ連との邂逅が、今後の我が国の国体を新しい方向へ進めるいいきっかけになるかもしれないなと、まあそんな風にも思ったりしてな」


 頷いて聞くネリナ。この今食べている菓子は、もしこんな国難的状況で、うまそうに特権階級が食べていれば、必ず庶民が革命運動でも起こしそうなほどの、本来そういった高級菓子なのだそうだ。それが今や復興中のグロウム帝国において、特危自衛隊と、現在グロウムまで遠征中の『陸上自衛隊』の設営する『すーぱーまーけっと』に来れば、ちょっとしたハイクァーン使用権のポイントでいくらでも作ってもらえるというわけで、今やこのお菓子も、街のガキンチョが鼻垂らして遊び呆けながら美味しそうな笑顔で、むしゃむしゃと食べてる、そんなお菓子になってしまってたりするのである。

 ネリナは、ゼルドア提督に助けられたあの時、火星で垣間見た衣食住ともに豊かなあの風景を思い出して、サージャルの言葉に納得する。

 彼も今は国家摂政としてこの機を好機として捉え、グロウム帝国を新たな国へ昇華させようと、そう思っているのだろうと思う。ま、彼女は軍人であるからして、活動家や思想家のような趣味は持ち合わせていない。国の決めた方針に従い、国家に貢献するまでのことである。そこは為政者にお任せといった感じだ…………と、そう思っていたのであるが……


「でだ、今回提督を呼んだのは他でもない。国家摂政権限として、君に新たな仕事をしてもらいたくてね」

「は、何なりと仰せください」

「うん、実は我が国は、ティ連―ニホン国に大使館を置くことになってな。大使を任命して派遣するのだが、提督には駐在武官としてニホン大使館へ赴任してもらいたいのだ」

「は!? じ、自分が、駐在武官? つ、つまり外交官になるのですか!?」

「うむ。というかよく考えてみたまえ提督。今の我が国において、ニホン国や、ティ連。そして……何と言ったか? “えるえぬあいえふ”、とか、ニホン国以外のチキュウの国家群と多くの人脈があるのは、君ぐらいしかいないじゃないか。本来なら大使職を与えたいところだが、それを軍部に言ったら猛反対を食らってね。で、駐在武官ということで妥協させた。ま、ということで、これは、もうはっきり言って命令だ。よろしく頼むよ、ん?」

「は、はあ……あ、いえ、はっ! ネリナ・マレード少将、駐在武官の任、拝命いたします!」


 まあそう言われれば確かにそうだ。

 彼女は火星でも、此度の作戦でも、ティ連やニホンに地球国家にと、かなりの人脈を結果論的に作っている。確かに自覚はある彼女。ま、なんとなく納得してみたりもするのであった……


 という事で、もう既に『駐日聖ファヌマ・グロウム帝国大使館』は、東京都千代田区あたりに施設だけは出来ているそうで、あとは大使とスタッフの着任を待つばかりである。そういうことでネリナは特危自衛隊の本隊が帰還する艦船に同乗して、地球へ向かうということになるのであった。


    *    *


『ではでは、後のことはよろしくお願いいたしまスですね』

「はい、おまかせください大臣」

『サイヴァル連合議長からも、あとの事はヤルマルティア政府のスタッフと連携して、一切合切をこちらで結成される復興機関にまかせるように、指示を受けておりますフリンゼ』


 要塞艦『アウビダント』に同乗してきた日本国内閣府スタッフと、ティ連本部スタッフ。これらが組んで『グロウム帝国復興協力委員会』が組織され、グロウム帝国が政府機能を円滑に回復するまで、独立した権限で、グロウムの復興を強力に後押ししていくことになる。

 あとはこの委員会のスタッフに任せて、今いる軍事作戦上のグロウムにいる部隊は全て交代で帰還する事になる。

 此度はそういったこともあって、今まで宇宙での作戦といえば、日本の自衛隊部門で言えば特危自衛隊のみの活躍が多かったのだが、今回、復興協力援助隊の意味も含めて、陸・海・空の自衛隊から選抜された部隊も、復興支援のプロとして現地入りしている。

 もちろん各自衛隊部隊の戦闘装備持ち込みも含めての話である。旭龍に、14式浮動砲などの装備も含んでの話。

 この判断には、やはり国会でも未だにやいのやいのと、今更説明する必要のない宴会芸もあった。

 表向きは春日の強力な推進ということになっているが、実際は、次期自保党総裁ほぼ内定の井ノ崎の根回しによるものであった。


 まあそんな背景もあっての話で、フェルさん大臣は、一足先にグロウム帝国を離れることになるのであった。

 今、レグノス人工亜惑星要塞のドックには、LNIF―USSTCの『ニール・アームストロング型航宙巡洋艦』が停泊している。

 それに搭乗する予定のフェルと姫迦ちゃん。

 見送りには、シエと多川に、暁くん。他、先程の委員会スタッフに……


『オ、アレハ、ランドラ皇帝ト、ファール首相デハナイカ』

「お、ほんとだ。すごいなこりゃ」


 フェルが帰還するのに、なんともまぁ内閣の首相と皇帝陛下がお見送りに来てくれるとはと。

 シエと多川も背筋伸ばして敬礼。脇に身を引く。するとランドラが、


『シエ殿、タガワ殿、いきなりおしかけてきたのは余の方です。そんなに畏まらずに』


 とランドラ皇帝。この物言いは、見た目中学生ではあるが、流石の威厳である。

 そう言われると二人も少し姿勢を崩す。


「おうさま! もう体はいいのか?」「もう大丈夫なの?」


 と、友達感覚でランドラに話しかける暁と姫迦。思わず多川夫妻にフェルは、「おいおい」と焦るが、ランドラも身内へ話しかけるように、


『うむ、もうすっかりこの通りだ。元気になったぞ。二人としばし会えなくなるのは寂しいが……』

「ぐろうむがちゃんとしたら、日本にもくるんだろ? “がいこー”とかいうのでさ」


 暁がそんな事を言うと、姫迦も横で「そうだそうだ」と頷いている。


『はは、まあそういうことだな。その時はまた色々遊ぼうぞ』

「おう、まってるからな!」「まってるよ」


 とハイタッチしてたり。流石子供は屈託がない。こういうところは最高の外交官だとフェルや多川夫妻も思う。ファール首相もニッコリ笑い、


『サージャル殿下も大臣のお見送りに来たかったそうなのですが、今、自治都市連合側の協議日程もありまして、くれぐれもよろしくお伝え下さいと言付かっております、フェルフェリア大臣閣下』

『イエイエ、恐縮でございますデス。お気持ちだけで十分でございまス』


 そして、別れの挨拶も終わり、フェルの護衛役が新たな仕事になった、IHDのクロードが「そろそろ、大臣」とフェルに耳打ちする。


『フェル、私達モスグニ帰還スル。マ、色々忙シクナルナ』

「そうだな。日本に帰ったら、此度の一件も精査研究されて、恐らく本格的な国際的軍事組織設立の話も出てくるだろうしな……って、フェル大臣は、それよりもまず選挙ですな、はは」


 そんな話も帰還すれば出てくるだろう。ある意味、今後の地球世界において、今回の事件が大きな分水嶺になるのは確実である。


『クロード、フェル達ヲタノムゾ』

「ウィ。了解ですよ、キャプテン・ウィッチ」


 親指を上げるクロード・イザリ。

 ……ということで、ニール・アームストロングに乗り込んだフェルと姫迦。レグノス要塞ドックを一旦出て、レグノスの生成するディルフィルドゲートの前で待機する。

 ニール・アームストロングには、まだジェフリー・マーカス艦長の補佐として、副長役の香坂裕『航宙重護衛艦ふそう』艦長が同乗していた。この船には香坂もそうだが、サルカス戦時に共に戦ったモーガン最先任上級兵曹長や、その部下といった知人友人もたくさんいるので、気が楽である……今、姫迦はUSSTCのマッチョ隊員に抱きかかえられて、「ブブブブ、ドバーン」とか言いながら戦闘機ごっこをやってたり。

 キャッキャ言いながら遊んでもらっている。フェルもコロコロ笑いながらその様子を見てたり。で、ゲートの準備ができるのを待つ。

 

    *    *


 レグノス要塞の長官室で、ニール・アームストロングの様子を超大型バーチャルモニターで眺める柏木長官閣下。

 なんともそのファイナル・フロンティア感マシマシの姿に、思わずニヤついてしまう……あの船に愛妻と愛娘が乗ってるわけだから、無事の帰国を願わずにはいられない。

 そりゃレグノスのゲートパワーを使えば、この空間から火星域までなんざ数時間である。だがフェルのお父つぁんの例もあるように、宇宙では何が起こるかわからない。それこそ家につくまでが出張である。

 昨日はそういうこともあって、姫迦を寝かしつけた後、まあ夫婦が夫婦ゆえの絆を確かめ合う某なんぞを色々と……

 そういう『体の挨拶』も済ませたので、ドックへ見送りにはいかなかった柏木。まあ実際予定があったので行けなかったから、肉体的挨拶をしたという話もあるのだが……

 

 ということで、その『予定』が柏木の部屋へやってくる。柏木の秘書のサムゼイラ人が、その事を伝えると、『予定』の人物がやってきた。


「お疲れさまです、柏木長官」と、礼して入室するは、月丘和輝であった。

『入りますっ!』っと、シュタと敬礼するは、プリル・リズ・シャー。

「……」「……」無言でスタスタと入室する二人は、シビア・ルーラに、ネメア・ハモル。


「やあ。いらっしゃい。呼び立てて悪かったね」


 柏木は超大型VMCモニターを背にして彼らへ振り向くと、右の平手をソファーの方へ指し、彼らを誘う。

 座ってくれとジェスチャーすると、皆が所定の位置へ着席。柏木も上座へ着席すると、体をVMCモニターの方へ向けて、家族の乗っている艦をこれまた眺める。


「申し訳ないね、もうちょっと待ってくれる? ま、一応旦那として、妻と娘が無事に跳んでくれるか、見ておきたくてさ」


 と柏木が言うと、


「ああ、そうでしたね。ニール・アームストロングにはフェルフェリア大臣と、娘さんが」

「そそ。それにUSSTCの船に乗ってってのもあるから」

『うふふ、心配なんですか? 長官』


 とプリ子が言うと、柏木は「いやいやそんな」と、ま、本音と建前を口では言わないが、表情で語ってしまったり。

 ま、大丈夫なのはわかってるが、色々と『地球独自技術』の工夫に、ほんの少しの不安がないわけではない。

 ……で、しばし後……レグノスのディルフィルドゲートが、亜空間境界面を形成し、その中へニール・アームストロングが進入していった。ま、もう慣れたもので、呆気のない話である。

 それを確認すると、柏木は皆の方へ体を戻し、


「いや、ゴメンゴメン。ま、そういうことで、此度の作戦では、みんなよく頑張ってくれました。感謝いたします」

「いえいえ、私達も任務でやっただけですから」

「いやいや、月丘君は、第一弾でマスターヂラールの発見と、第二弾では、そのマスターヂラールの破壊って、なかなかできませんよ……プリ子君も、あの妙な捕食器官からグロウムの国民を助けた事や、月丘君との連携作戦の功績。で、そちらのゼスタ―ルのお二人は、もう言わずもがなの、あのダイソン・スフィアの特攻覚悟な奪還。いや、ホントご苦労さまでした」


 いやいやそんなと謙遜する月丘とプリルだが、シビアにネメアはすまし顔。それがどうしたってな感じである。でもちょっとフフン的ニュアンスな表情が無きにしもあらず。


「で、此度みんなを呼んだのは他でもないんだけど、今回の『ヂラール戦争』で、いろんな疑義や可能性が出てきてしまった。ま、その件も踏まえて、みんなには地球に帰還した後の仕事の方針ってのもあってね。一応連合防衛総省長官としての、連合防衛総省案件という事で、という話なんだけど……」


 と柏木が言うと、月丘が、


「情報省……あ、いえ、白木班長にはお話通してもらってる事案ですよね。一応これでも私は日本政府の職員ですので」

「そりゃ勿論です。あと、二藤部大臣と、春日総理に井ノ崎さんにも話は通しているから心配いらないよ」


 するとプリ子が……


『ではでは、私達二人は今日付けくらいで、特危自衛隊への出向任務も終了ってことになるわけですかっ?』

「いや、実はその出向の件だけど、まだ当面現状維持でということでね。要するに情報省との掛け持ちかな? ま、それに関しての話も含んで今から説明するんだけど……あと、これに関して、シビアさんにネメアさんにも協力をお願いしたいことがありましてね」


 するとシビアが、


『ゲルナー司令より、我々シビアとネメアは本事案に対するカシワギ生体の指示に全面的に従うよう、事前に指示を受けている。既に委細了承済みである』


 隣でネメアも首を縦に振ってたり。

 普段、ゼスタ―ル人は、同胞の個体名称を『〇〇・カルバレータ』とか、『〇〇合議体』といった表現をするのだが、仲間を呼び捨てで表現するとはこれ珍しいと。何か心境の変化でもあったのかなと思うカシワギ長官。


「はい、ありがとうございます。こちらの要請が通ったみたいで幸いですな……では、シビアさんはこれまで通り総諜対にご協力いただけますか?」

『了解』

「ネメアさんは、ゲルナー司令から既に指示を受けていると思いますが、地球に行ってもらって、特危自衛隊の方へ出向という形で任官して頂きます。階級は一佐扱いということですので」

『了承済みである……だが、その件で一つ質問がある。チキュウへ行くことになれば、メル生体とは今後別行動になるのか?』

「ええ、そういうことになりますが」

『そうか。わかった……』


 なんとなく寂しい目をするネメア。柏木はそのあたりの事情を知らないので、『?』となる。言ってみればネメアとしては、初めてのゼスタール以外の友人となったメルフェリアと離れるのが少々寂しいといったところの、感情の発現といった感じだろうか。


「で、仕事の内容ですが、まあ本来なら白木から通達ってのが順序なんだけど、あいつが『めんどくせーから、お前から言っておいてくれ』って言われたので、説明するよ、ハハ」


 なんだかなぁと思う月丘。


「此度は二つあるんだけど、まず一つは、今回の件で偶然という形で判明したセルカッツさん達サマルカ人の起源の調査だ」

「サマルカさんの起源……ですか……はぁ、でもそれをなぜ我々が?」

『ですですっ、そういう内容なら、普通は防衛総省情報部のお仕事と思うんですけどっ?』


 プリルの話ももっともである。ってかそっちでやったほうが効率がいいんじゃないのかと。


「いやま、勿論そうなんだけど、米国の例の『ロズウェル事件』の件もあっただろ。で、どうにも地球もその件に絡んでる可能性が出てきてね……そうなれば防衛総省が迂闊に出っ張るわけには行かない。それこそ治外法権の問題も絡んでくる」

「ああ、そういうわけですか。で、日本にと……ということは、地球世界のどこかがサマルカと絡んでる可能性が出てきたという事なんですか?」

「ああ……ま、なーんかオカルトじみてきた話なんだが……“ドイツ”だ」


 その一言を聞いて、思いっきり目を細める月丘。プリ子はナンジャラホイな顔。


「いやいやいや、長官、ドイツって……まさかアッチ系の話なんですか? ウソでしょぉ~」


 月丘は空中に逆卍を指で書いて「御冗談を」と、そんな顔をするが……どうもフザケていっている話ではないらしい。それに、今回の任務も、何やらロズウェルとの絡みもあるようで、グロウム帝国の『かっちー案件』が出てから、結構深刻な話になっているという事なのだそうな。で、柏木は、


「まあ俺もそれ以上具体的な事は聞かされていないから、あとは白木から色々命令してくんだろう、そこは地球に帰ってからで頼むわ」

「はは、了解しました。って、なんか不安だなぁ……」


 まあ、なるようなれと思う月丘さん。ま、こればっかりは帰ってからだと。

 で、その話はそれとしてと……


「で、あと一つは何ですか? 長官」

「うん……実は……」


 と、柏木が話そうとすると、シビアが割って入る。


『カシワギ生体。そこは我々から説明したい。許可せよ』

「え? あ、そうですか。ではお願いできますか?」


 コクと頷くシビア。でもって月丘へ眼差しを向ける。ネメアもこれに同期。

 何かただならぬものを感じる月丘。


『ツキオカ生体。此度の「グロウム・ヂラール戦争」での戦闘データをゼスタールは色々な方面から、我々専門スールが分析した結果、ある行動を行う決断に至った』

「……はい、で、それは?」

『我々の母星、「惑星ゼスタ―ル」を奪還する作戦である』

「!!」


 その言葉を聞いて、柏木の顔を見る月丘。すると彼もコクコクと小さく頷いている。

 で月丘もその言葉で即座に脳裏をよぎるのは、地球世界の各国家が、ゼスタールの技術供与と引き換えに約束させられている、ゼスタールへの安全保障協力である。


「ま、まさかそれを即時発動させるのですか?」


 すると今度は柏木が「いやいや」と、


「はは、さすがにそれはないよ。俺もゲルナー司令から聞いた話なんだけど、彼らの母星を奪還する計画は、ゼスタール内で随分前から討議されてきてたみたいなんだけどね、彼らの……なんていうか、『使命』みたいなもので、あの『ヂラールの侵攻から知的生命を守る』っていうのがあるだろ。その関係で手が回らなくて彼らも後手後手できてたみたいなんだけど、ティ連に加盟出来たことと、地球社会との約束もできて、更に此度のヂラール戦争が良い予行演習になったみたいでさ、予想できる作戦状況も分析できたという話で、発動されたみたいなんだ」

「ああ、ではまだ準備段階ということですか」

「そそ。で、地球社会に公開されたゼスタール技術や、一部のティ連技術なんかが、きちんと管理されているか調査しなきゃならない。で、UNMSCC決定の違反国があれば、制裁処置なんかもね……そういうところでシビアさんと、ネメアさんと協力してってところでね」

「なるほど……了解しました」


 ま、この二つ目の話は、言ってみれば月丘達の通常任務というところでもある。だが一つ気になることをシビアは月丘に話す。


『ツキオカ生体。もし可能であれば、お前とプリ子生体は、我々とともに、一度「惑星ゼスタ―ル」への潜入調査を協力して貰う可能性がある』


 その言葉を聞いて月丘は、


「え? は、はぁ!?」『ひょえ? って、惑星ゼスタ―ルって、ヂラールのどどど、ど真ん中じゃないのですかっ?』


 プリ子も当然な疑問を訴えるが、ネメアが、


『プリ子生体。惑星ゼスタ―ルには、何もゼスタ―ル・カルバレータが一人もいないわけではない』


 ネメアが説明するに、彼らは彼らで、惑星ゼスタ―ルを放棄したあと、ナーシャ・エンデでの拠点構築に組織としての強化安定を整えた後、来たるべき時のために惑星ゼスタールへ偵察・諜報部隊を送り込んで状況監視をしてはいたそうである。

 なので、彼らはこの宇宙空間へどこからヂラールが攻め込んで来るかという監視もできているわけである……つまり、惑星ゼスタ―ルがヂラールの前線基地と化しているために、ある意味グロウム帝国の事件も起こったとも言える。


「ああ、そうなのですか……って、でもそれでなぜ私やプリちゃんが、そのゼスタールへ行かないといけないんでしょうか?」


 少々月丘も渋い顔。そりゃまあゼスタールさんとの協力体制の一環という意味もあるのだろうけど、一介の間諜が、んなヂラールの巣と化してるところへなぜに飛び込まなきゃあならんのかとそう思うのだが、シビアが言うには、


『ツキオカ生体の、インテリジェンスエージェンシーとしての能力を、ゼスタール合議体は極めて高く評価している。従って我々が完全なるサポートを行うので、惑星ゼスタールに駐屯するヂラール群体を効率よく排除殲滅する情報収集に協力してほしいとの、アルド・レムラー統制合議体からの要望でもある。検討せよ』


 という事。つまりゼスタ―ルは、総諜対のこの二人の能力を相当に買っているというワケ。

 すると柏木も笑って、


「ははは、こりゃ相当な人気者だな、月丘君は。やっぱりあのコマンドローダー姿がインパクトあったか?」

「いや長官、そりゃ関係ないでしょ」


 ということで、こればかりは月丘独断で決められる話ではない大きな作戦になるような事なので、一旦帰国してから白木達も含めて皆で相談するということになる。


「まあ事が肯定的に決まったら、白木から俺に話が来ると思うから、その時はティ連軍も全面的にサポートするので心配しなくていいよ。そんな日本政府だけの案件じゃないからさ、その時は」

「ですよね、確かに……シビアさん、ネメアさん。そういうことなので、正規に命令が下った時には、全力で働かせてもらいますので、そいうことで」

『了解した。事象が良い方向へ推移することを期待したい』『シビアに同意。くれぐれも我々がお前達の事を高く評価していることを留意せよ』


 とシビアにネメア。月丘先生にプリ子生体はゼスさん達の人気者である……


    *    *


 という訳で、『グロウム・ヂラール戦争』の“戦後”ともいえる事後の処理が、各方面政治的にも進む中、フェルとUSSTC部隊の帰国を皮切りに、ティ連と日本勢主力の本格的な引き上げが始まる。

 となれば、グロウム帝国側から、何か盛大なサヨナラセレモニーでもあるのかと思うが、実際そんな事やっている余裕すらないのが現状のグロウム帝国であって、そこはささやかに事務的な挨拶程度で抑えて、静かに英雄達は去っていく。

 と、そんなグロウム側関係者と、日本・ティ連関係者の挨拶もそうだが、身内でも別れがあって、共に戦い親しくなった戦友同士の別れもあったりする。

 そりゃ戦友同士の別れといっても、別れる単位が種族レベルで考えれば日本のティ連加盟で千万光年単位のサヨナラも現実となってしまうわけで、更に言えば、空間単位での『また会いましょう』も現実となる。

 そんな戦友同士がこの二人。


『メル。我々の次の赴任地はチキュウだ。お前は「別宇宙」の所属惑星へこのまま帰還するのか?』 

『うん。サスアをほったらかしにしてコッチに来ちゃってるからね。それに国のみんなも待ってるし……ネメア師匠も一度私の国へ遊びにおいでよ』


 ネメアもコクと頷いて、


『我々合議体も全員賛成でその提案を認可している。機会があれば是非に……それと、』

『ふみゅ?』

『我々……いや、私の事は今後「ネメア」で良い。「師匠」は不要である』

『うん、わかった、ネメア……んじゃ、そろそろ時間みたいだし、行くね』

『帰路の安全を祈る』


 メルフェリアとネメアはそういうと、お互い握手の後、抱き合って、メルはダル提督が用意した、別宇宙サルカス方面軍行きの大型戦艦へ搭乗する転送ゲートへと入っていく。

 勿論パイラ号や他のボルダ馬に、騎士団は既に搭載及び搭乗済みだ。あとは団長のメルだけである。

 メルは手を振って転送ゲートへ。ネメアも手を振り見送っていた……何百年ぶりかに喚起されたネメアの友情という感情。シビアともそれまでは『合議体』という同胞同士の友情と言うよりは、機械的なネットワークとしての、システムに近い『それで当たり前』の繋がりから、最近は『友人』に近い繋がりを互いに喚起しはじめたところだった。

 ネメアもシビア同様に、日本人や地球人、そしてティ連人達との接触によって、遠い昔に失った何かを取り戻しそうな、そんな感覚を微かに感じていたのは確かであった……


 ……ということで、月丘達も、今回は『宇宙空母カグヤ』で、地球へご帰還である。

 勿論月丘だけではなく、ナヨ閣下にシャル姐もご一緒。シエも暁と一緒にこちらへ乗り込んでいた。

 まあカグヤは別名『空母型豪華客船』としても有名で、月丘にナヨ、そしてシャルリは、休暇の意味合いもあって、この船で帰還することが許可された。シエは暁がいるから、多川に『カグヤで帰れ』と気を利かせてもらったわけで、此度は暁クンのオカンとして、こちらへ搭乗。

 で、グロウム軍人で、日本大使館駐在武官として赴任するネリナ・マレード少将も、日本大使館赴任のため、日本国駐在大使のグロウム人とともに、カグヤへ乗っている。


 多川は、まだ特危自衛隊威力偵察部隊の司令でもあるので、艦長のニヨッタ以下大見やリアッサに樫本らとともに『機動重戦闘護衛母艦やましろ』で日本へ帰国することと相成る。

 で、ニーラ教授大先生と、パウル艦長、で、柏木御大は、一番最後にレグノス要塞で、地球圏文明境界線へ。でもって定期便で日本へ帰国という次第。


 各人色々な思いを持って、皆して元のいるべき場所へ帰還していくのであった……


    *    *


 ということで、時間は光陰矢のごとく……ちょっとだけ流れ、一ヶ月後。

 日本国では、衆議院が解散し、衆参のダブル選挙となった。

 結果としては、幸いなことに、フェルが今現在もお世話になっている自由保守党が過半数を超える議席を獲得することになった。

 やはり、日本国がティ連に加盟して一〇年たった今、やはりあの時の柏木とフェルが中核となって奔走した成果というものは、野党勢力がなかなかに覆せるものではない。

 まあなんというか、仕方ないとはいえ、時のティ連外交の中核は、当時の外務省の白木や新見を中心に、ほぼ政権与党と、保守系野党の選抜された関係者が、こういう言い方も何だが、これもほぼ独占状態でやってきたわけであるからして、時の左派系野党が出る幕など全く無く、日本政府が結果、成果として出したものは、一〇年後の今現在でも、政権与党の成果として国民より根強い人気の根源となっていたりするわけである。


 まあでも確かに、あの時より一〇年後の今現在まで、自保党政権が安定した独裁状態に近い形で政権が続いているのもコレどうかという意見として確かにある。

 だが、これも言い方を変えれば、ティ連の一員として成果と結果を出した政党が自由保守党という政党であって、正直ティ連の中央も、日本の政党といえば自保党しか知らない人々が多いのだ。

 なので、かつては決して良い話ばかりではない自保党ではあったが、連合加盟を果たして以降、党の性格もかなり変化してきた政党になっているのもこれまた事実で、今現在では自保党も、フェルを皮切りに、ダストール人やディスカール人といった異星人系の国会議員も多数擁しており、重要役職に就かされる異星人も少なくはないのである……ちなみに、野党もティ連人議員の獲得を必死で働きかけてきたのも事実だが、声をかけたティ連人に尽く袖にされている……まあこれも、政府とヤルバーン州やティ連との関係を見れば、そうなるのも仕方がないと普通は誰しも思うだろう……

 なので一〇年前は『憲法改正』で、やいのやいのと言っていたこの党も、当の憲法改正も、ヤルバーンの登場で国民世論の後押しもあって、アホの一つ覚えみたいな野党の反対漫談座談会を尻目にすんなりと国民投票を経て可決し、今現在の連合加盟後の自保党は、いかにティ連との連携を模索するかという、そんな性格の政党に変化しつつあるのも事実であった。


 ……と、そんな感じの時勢下の話もあっての事。


 これまたどこかの議員さんが『ぎちょーーーーーーーー』と叫び、国会で、自保党の、当初の根回し通り……というか、党員投票でも圧倒的多数で新しい自保党総裁、『井ノ崎修二』元防衛大臣が選任された…… 

 ってか、なんかこの呼出役、かつてフェルがやって以降、どういうわけかティ連系国会議員にやたらとお鉢が回ってくるという事で、国会の名物になってしまってたりする。

 で、内閣の顔ぶれで、ティ連関係事案の主だった諸氏だが、フェルさんは、変わらず外務大臣兼副総理。これはもう与野党暗黙の了解でこんな事になってしまっている。

 防衛大臣は、これも変わらず鈴木が留任。情報大臣も、二藤部が留任。

 変わったところでは、ティ連統括担当大臣には、ダストール系デルン日本人が選ばれた。

 で、現在のこの世界の日本。文部科学省という役所は存在せず、異星人共存社会の時代に応じて、『文部学務省』と、『科学技術省』という構成になっている。この文部学務省大臣には、ディスカール系フリュ日本人が就任して、話題になった。

 更に今の日本、ティ連人系日本人に力を借りなければならない新しい役所も新設されており、例えば、

国内を統括する『国土交通省』に対して、新たに創設された『空間交通省』というお役所には、パーミラ系日本人の大臣が就任し、その管轄で財務省と大いに揉めに揉めた、厚生労働省管轄下の『ハイクァーン福祉庁』と財務省管轄下の『ハイクァーン管理庁』には、前者にサマルカ系日本人の長官。後者にサムゼイラ系日本人の長官が就任した。

 他、カイラス系や、ユーン連邦系の日本人も、党や省庁の、特にティ連関係の要職についており、今や日本も立派なティ連加盟国の政治体制、そして国体へと変化しているのであった。


 といういう事で、二〇二云年、春日政権に続き、新たな井ノ崎政権として始まった日本国。でもまあ井ノ崎総理も、この時代に総理になって、正直大変である。

 宮城県でかつての東日本大震災時に地元で奮闘した時も相当なものであったが、今は『グロウム帝国・ヂラール戦争』における地球規模の国際安全保障関係の、ティ連構成国としての調整役の責務もあるわけで、そういったところで彼の手腕を問われることになるだろう。


 そんな中、久しぶりに東京都ヤルバーン区の情報省内、総諜対。

 ひさびさに本来の所属場所に戻ってきた月丘さん……とはいえ、今日は通常の出勤というわけではない。実は月丘にプリ子は『此度の任務ご苦労さんご褒美』で休暇中だったのだが、シビアにネメアが『緊急の要件』ということで、総諜対で会いたいと、珍しく彼女達の方から招集をかけてきたのであった。

 まあ休暇中とはいえ、五日も休暇もらって、月丘にプリルもそろそろ休み飽きてきた頃だったので、ラフな格好で情報省にやってきた。ま、一応今日は休暇扱いなので、休日出勤手当は出ません。


「やあ、美加ちゃん。お久しぶりですね、はは」

『おひさですです、ケラー・ミカ!』


 プリ子はニッコリでシュタと敬礼し、月丘はグロウム帝国土産の、ファヌマ教徒がポピュラーに持っているお守りをあげたり。


「うふふ、お久しぶりです、月丘さん、プリルさん」

「もうマニペニーがすっかり板についてきましたねぇ……って、まだアルバイトですか?」

「うん、まあそうですけど、エヘヘ」

『ケラーも、いっその事、ここに就職しちゃえばいいのに』

「それはキツイですよぉ、プリルさん。ここに就職って言いますけど、ここで働くには国家公務員の試験受けなきゃいけないんですよ~」


 ありゃそうかと、頭をかくプリル。ま、そんな挨拶なとりとめのない話もしばし、


「もうみんな来てるのかな?」

「はい。えっと一三時に四階の会議室に来てくれって、白木さんが仰ってました……なんでも、グロウム駐在武官の……ネリ……」

「ん? ネリナ提督も来るのですか!?」

「あ、はいそうですね。そういうお名前でした」


 プリルと顔を見合わせる月丘。

 地球、日本大使館に就任早々であるネリナが呼ばれてるとはと……という事は、


「シビアさんか、ネメアさんが呼んだんだろうなぁ」『というコトですよねぇ』


 となる二人……一体何用なのだと、余計に訝しがる表情をする月丘とプリル。

 集合時間の一三時まで、暫し時間があったので、情報省食堂で昼食を摂る二人。今日の午餐は、プリルはカレーうどんに月丘はチャーシュー麺、でもってお昼を終えると会議室へ。


「どうも、白木班長」『おひさですハンチョー』

「おう月丘にプリ子。生きてたか! わはは」


 会議室上座に座って、皆を待つ白木。手を上げてにこやかに挨拶。

 まあちょっとの間だけど、総諜対のエースコンビを特危に取られていたわけで、仕事できる奴が戻ってきてくれてやれやれといった感じ……でも特危への出向扱いはまだ解けていないので、いつ『三等諜報正』から『三佐』にさせられるかわかったもんではないわけであるからして。


 で、白木にもファヌマ教のお守りを麗子の分とペアで渡して、雑談なんぞをしていると、集合をかけた張本人二人もやってきた。


『シラキ生体。シビア・ルーラ・カルバレータ。帰還した。着任を許可せよ』

「はは、はいはい、おかえりなさいシビアさん。任務ご苦労さんでしたな。って……ヒュ~……」


 シビアの後から入室してくるは、シエに勝てるセクシー合議体、ネメア・ハモル一佐。

 その雄姿、あいも変わらず露出度が高い。

 で、よく異世界から『どんな露出度だ?』と聞かれる創造主はこう語る。

『ツァラトゥストラは、褐色のアンドロイドみたいだと語っている』と……


 と、まあどうでもいいことは置いといて、そのお姿に白木も凝視してしまうわけで、「まま、どうぞお座りください」と、そのお美しさに思わず恐縮してしまったり。

 お茶を出す美加ちゃんも、女性同士ながら、ネメアの姿に見とれてしまう。

 で、同じゼスタールの、シビアの少年的な女子の姿とのギャップに、ゼスタール人も大概個性的だなぁと思わずにはいられなかったり。

 ネメアは初めてとなる白木に、あの口調で挨拶をしていた。が、ネメアとしては白木の事は初対面という感じではないのだそうだ。

 そこは流石ゼスタール人といったところで、いつも白木と対話していたシビアの経験体験を共有していたからである……白木もなるほどなと。逆に言えばシビアもグロウムで初対面の特危隊員にすぐ馴染めたのも、ネメアの経験を共有していたからという理屈。すごい種族だと改めて思う月丘達。


 で、これまた暫し親睦を深めていると、SPに警護された人物がこれまたやってきた。


「これはネリナ提督。日本国情報省へようこそ。私はこの部署を統括する白木崇雄と申します……」


 と握手して挨拶。


「ネリナ提督、お久しぶりです」『お久しぶりですっ! 提督』

『ツキオカ殿、プリル殿、その節はお世話になりましたな』


 同じ戦場を駆けた戦友とは、階級も関係なく、握手してハグ。で、


「シビア殿にネメア殿も、ご壮健そうで何より」

『ネリナ生体。再会できたことを我々は高く評価している』


 と、二人ともハグ。シビアにネメアはなんともぎこちないハグだが、その意義は理解しているようだ。

 で、月丘が聞いてみたい事なんぞを。


「で、提督。かれこれ一ヶ月経ちますが、地球はどうですか?」

『ええ、大変居心地の良い国で、とても気に入っております。なんというか……私達からみれば、非常に懐かしい感じのする文化ですから』


 以前にも柏木に語ったことがあるイメージを日本に抱くネリナ。ファヌマ人の文化も、雰囲気は地球全体のそれとよく似ているのだという。

 ネリナからすれば、ちょっと何百年か昔にタイムスリップかましたような、そんなイメージの文化だという。

 それが今や、かのティ連科学を吸収して、ティ連加盟国としてイゼイラのような国と対等以上に付き合っているのだから、大したものだとネリナは語る。


 で、そんな社交儀礼もしばし、白木がシビアに、


「ところでシビアさん、ネメアさん。今回のこの会合、というか集会ですかな……とりあえずこういう形で皆に集まってもらったわけですが……緊急という要件でしたな。で、着任早々のグロウム帝国駐在武官さんまでお呼びしたのですから、よっぽどの事とお見受け致しましたが」


 するとシビアは頷いて、ネメアと視線を合わせ、互いに頷く。で、切り出すはシビア。


『……まず、ツキオカ生体とプリ子生体の休暇時間を割き、招集したことを我々は遺憾に思う』

「ああ、いえいえ、丁度二人してヒマしてましてね。買い物にでも行こうかといってたところですよ。丁度良かったぐらいです」

『そうか。評価する……では、今回招集を要請した理由は、主にネリナ・マレード生体の所属政体、ファヌマ帝国に関係する事案であり、ニホン政体には、本件事案の担当外交権を持つ“国家”として、情報省という性質上、情報を提供する義務が我々にはあるために、この場所での集会を我々は希望した』


 まあ確かにそうですな、と頷く諸氏。


『では、情報の提供を開始する。記録せよ』

『あ、はいはい……どうぞっ』とプリ子がPVMCGで、撮影を始めると、

『まず……皆もすでに把握していると思うが、我々ゼスタールは、スールの集合体であり、合議体である』


 それは確かにと諸氏。


『従って、その合議体には、チキュウ人に理解しやすく言えば、リヒャルト・アイスナー生体のように、我々がスールとして保護しているゼスタール以外の知的生命体も多数存在している』


 その点は、『保護』という意味において少々同意が難しいところではあるが、これを反論してもこの議論に対する意味はないため、とりあえずスルーして、話の続きを聞く諸氏。


『そのスールの中に、我々が保護した、お前達ティエルクマスカ世界の各政体も恐らく認知していない星系文明の種族を我々はスールとして保護しているのだが……』


 ふむふむと聞く皆の衆。


『その中の、ある種族のスールが……グロウム帝国で我々が見た、あの壁画に表現されている「六本の腕を持つ存在に酷似した知的生命体を知っている」という情報提供があった。この件を報告するために、お前たちを招集した……』


 一瞬の沈黙の後、「えええええええっ?」となる諸氏。特にネリナ提督閣下は、『まさか!』な顔で静止している。


「本当ですか! シビアさん」と月丘。

『んじゃ、ネリナ提督だけじゃなくて、にゅーよーくから、ケラー・セルカッツも呼ばないとっ!』とプリ子……


 一応騒動の内容は知っているが、情報としてしか理解していないために、割と冷静にいられる白木班長。





 さて、意外なところからの情報提供で、また因果の糸が別の時空につながっていきそうである……






 


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