ひとりでできる?
ある雨のしとしと降る日。部屋でタニアが風魔法を使って洗濯物を乾かしている。開けっ放しのドアからたまちゃんを従えたイザベラが、よちよち入ってくる。気が付かないふりをするタニアは、そっと重力魔法で洗濯物を浮かす。たまちゃん洗濯物にダッシュ。
「だーだー」
イザベラも真似る。しかし、黒い笑顔のタニア
「いつも懲りないですね。洗濯物は駄目ですよ。」
そう言ってもう少し浮かせる。たまちゃんジャンプ。
すかっ
届くか届かないかギリギリを保つタニア。ポケットから小さな毛糸玉を出しころがす。たまちゃん突撃続くイザベラ。しばらくするととろーんとするイザベラ。
「あらあらおねむですかイザベラ様。じゃぁお昼寝の前にちーですね」
あっさり捕まりおまるへ…
お昼寝から起きるとたまちゃんも目を覚ます。天気の悪い今日は、ベビーベッドの横にいたぷなちゃん。
とー っと背中に飛び乗るたまちゃん。イザベラが真似るもできない。出来るわけがない。
「だぁー」
ちょっと涙目のイザベラに尻尾で優しく背中に乗せる甘々のぷなちゃん。しかし伏せてしまう。
「だぁー」
手足をばたつかせ抗議するイザベラ。ぷなちゃんは、仕方なく部屋を出てマーリンの所へ…
「あら起きたのイザベラ たまちゃん。ぷなちゃんご苦労様」
そう言いつつ抱き上げると
「今、あなたの服が出来たのよ。どうかしら?」
と言って服を当ててみる。
「丁度良さそうね。ちょっと着てみよっか」
ボタンを外し始めると
「あー」
ぺしぺしマーリンの手を叩く。
「あら…」
手を止めると、イザベラは自分でボタンを外しにかかる。時間をかけて、ひとつボタンをはずす。にぱーと笑い誉めて欲しそうにキラキラの目でマーリンを見るイザベラ。
「じょうずに出来たわね」
笑顔のイザベラの頭を撫でる。
「だぁー」
やりきった感いっぱいのイザベラの声が、部屋に響いた。