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短編集~物語の1ページ~

そもそも俺らが強かったら勇者は要らないんじゃね?

作者: 一月睦月

「そもそも俺らが強かったら勇者は要らないんじゃね?」

 そう言ったのは帝国騎士団長である。少ない時間の昼休みに騎士団の同期と()()っていた。彼は一番統率力が取れていて、熱血のナイスガイなので、慕う後輩がたくさんいる


「そりゃそうっスよ。俺らが魔王を倒せないから勇者召喚なんてするんですって」

 副団長が言う。彼は騎士団の中でも魔法が得意なさわやかなスポーツマン気質の青年である。


「というか、魔王ってどんなヤツなんですかね?」

 小柄な青年が言う。騎士には珍しい弓を使う人物である。物腰が柔らかく、後輩の面倒見もよく親近感の湧く先輩である。


「そりゃあ、鬼のような恐ろしい形相をしているんだろ? それで大きな口を開けて人をガブリと」

「ちょ団長、少しイメージが古すぎませんスか!」

「副団、俺もそう思っていたなぁ。そういえばもう時間だぁ。午後は勇者の稽古じゃなかったっけ?」

 召喚されてきた勇者を鍛えるのも騎士団の役目でもある。

「あんな初心者、本当に魔王を倒せるんスか? 俺の魔法一つも防げない奴が本当に出来んスかね」

「伝説になっているくらいだから大丈夫じゃね?」

「団長は甘く見すぎ。あれくらいで倒せるんだったら俺らでも倒せますよぉ」

「じゃあ、今夜倒しに行ってみるか」

「良いっスね! 俺ら三人で行ってみるか」



「ここが魔王城!」

 目の前にそびえるは

「意外と小さいお屋敷だな……」

「もしかして魔王も財政難っスか?」

「そう見えて実は迷路とかになってんじゃね?」

「そりゃないやぁ」

「装備は備品しか付けていないからかなりやばい状態。マジで」

「マジか。じゃ、連携確認していきますか。俺は魔法だから後ろで剣でも振っているっス」

「俺は弓だから適当に支援しときますねぇ」

「前衛俺だけかよ」



「奇襲だ! 何をする! おい、おぬしら勝手に余の城に入るとは、何という狼藉」

 キィーキィーと甲高い声で言うのは魔王。

「ヤバい、団長の言った容姿そのままっス。鬼のような顔で口も大きいけどあの声マジでウケる」

「今、余の姿を見て馬鹿にしたとは、処刑する!」

「シリアス感が全くないねぇ」

「騎士団、行きますか」



――結局。

「魔王弱ぇな」

「一発だったっスね」

「呆気無かったね」

「これが世界を震撼させた原因?」

「これが小ボスで大ボスが居るとかパターン?」

「違うだろ。見ろ、暗雲が消えていく。平和が来たんじゃね?」

「来たっスー!」

「勇者どうする?」

「俺たちは知らん!」



 事実、魔王は国中が束になっても倒せなかったと思う。だが、この騎士団三人組は、規格外だった。勇者よりもハイスペックだったことは言うまでもない。ただ一つ言いたいことは、転生者や転移者がチートを持っているとは限らないのである。本人が気づかないだけで実は……。

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