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寄り道ありマス  作者: 九木十郎
プロローグ
1/21

もの凄く縁遠い台詞に思えた

 時々思う。


 夢は叶わないからこそ夢なんだ。


 将来への希望や展望なんてうシロモノは、ほんの一時の慰めでしかなくて、現実には叶うコトの無いタダの幻なんじゃないかって。


 宝くじと一緒だ。当選確率などゼロに等しいし、当たった当人が本当に居るのかどうか判ったもんじゃない。ネットとかじゃあ頻繁に取り上げられて居るけれど、ソレはヤラセかも知れなかった。


 まぁそれでも皆無だとは言わない。でも大多数じゃないのは間違いなくて、レッドデータアニマルよりも稀少な存在なんだと思う。少なくとも僕の周りには居なかったし、僕自身でないことも確実だ。


 世間で成功者なんて人は、天賦てんぷの才だの不屈の精神だの先見の明があったのだのと仰々(ぎょうぎょう)しく騒がれているが、それは普通じゃ先ず在り得ないから騒がれるのであって、誰しもがホイホイ叶うのなら見向きもしないに決まって居る。


 僕の朝食のトーストが上手くキツネ色に焼けたからといって、ニュースになんか為らない。それと一緒だ。


 現実ってヤツはひどく手強くて意地悪で、あざ笑いながら僕らを問答無用に押し流すだけなのだ。どれだけ必死に抗っても容易くひっくり返され、もみくちゃにされてお終い。

 まぁ、悲鳴を上げる自由くらいは在るみたいだけれど。


 嗚呼、なんて無力。普通の人間は生まれもった特別な何かなんて持っていないのである。


 でも、あらがうのが全て無駄と言うほど悲観的でもなかった。


 満員電車の中でも身じろぎすれば少しずつドアに近づけるし、自分の降りたい駅で降りることも出来る。流石に電車の行き先を変えることは出来ないけれど、毛先ほどのささやかな願いなら叶えることは出来るのではないか、そういう事だ。


 無論、大きな願いを叶えるには実力と才能が必要なんだろう。

 他はそうだな、運だろうか?だがそれ以上にコツコツと積み重ねたその結果であると思いたい。でなければ、日々悶々と当て所なく積み上げるだけの者は空しくなる一方だ。


 むしろそれが分っているからこそ、みんな夢を見てしまうのかも知れない。


 仕事が終われば様々なエンターテイメントやコンテンツの中で夢を見て、あるいはウサを晴らし、一時の現実逃避にささくれた気持ちを癒して再び月曜の朝を迎えるのだ。

 奇想天外な運命の岐路、降って湧いた幸運、スペシャルなサプライズは物語の中だけなのである。


 運命に抗う熱き魂の持ち主、なんて派手派手しいヒトはゲームかアニメの中にしか存在しない。


 でもしかし情熱か。


 情熱ねぇ。そうか、そういうモノもあったな。


 でも今の僕にはもの凄く縁遠い台詞に思えた。

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