31.表彰式
アズーラ中尉はまだ警戒しているが、何はともあれ何事もなく全試合が終了した。
それぞれの優勝は、団体戦が決闘部、1年生コンラート・エルデ、2年生ルーレスト・フォン・ガレス、3年生ルーク・ウェブ。
生徒会は入学時の試験成績上位者が選ばれるのがほとんどなので、魔力量が多く魔法の扱いが上手い。
大きな番狂わせもなく、順当な結果になったと言えるだろう。
各部門の3位までが表彰され、それが終わったら各学年の優勝者によるエキシビションマッチだ。
これは団体戦決勝と同じくらい盛り上がる花形競技で、まず1年対2年で試合をし、勝った方が3年と戦う。
……のだが。
「キアラ君、エルデ君を見ていないかい」
ルーレストがエルデを探している。
「……見て、ないです」
キアラはずっとコート脇に座っているので、エルデの姿は見ていない。
「もう表彰式なんだけど、どこへ行ったのかな」
「……探して、きます」
エキシビションマッチまでは時間があるので、一旦結界を止めてキアラも探しに動ける。
エルデの友だちの顔を知っているキアラの方が探しやすいだろう。
「……エルデ君、見てない?」
準優勝のノーマン・ブライトを見つけたので聞いてみたが。
「あれ、だいぶ前に生徒会の仕事に行くって言ってたぜ?」
やはり知らないらしい。
だが、エルデは初出場ということで生徒会の仕事は免除されている。
他に出場するメンバーも誘導やタイムキーパーはするが、魔力温存のために結界維持の魔力供給はしていないのに、仕事に行く、というのは変だ。
「……エルデ君、どこ行ったのかな」
いよいよ見つからなければ放送で探すか、と言い出した頃。
「すみません、遅れました」
エルデがようやく生徒会のメンバーの所へやってきた。
普通に皆と話をして優勝を称えあっているので、キアラも「優勝おめでとう」とは言ったが、何か、分からない違和感がある。
(……エルデ君、こんなんだったっけ……?)
別に、普通のエルデのはずだ。
それなのに、何か無視できないくらいの違和感があり、キアラは首を捻る。
しかも、何か違う気がする、という程度で嫌な感じは全くしない、不思議な状態なので、まあいいかと思い直す。
他の人は、特に何も感じていないようだし、今日のキアラは柄にもなく興奮しまくっているので、自分の方がおかしいのかもしれない。
そのまま大きな拍手に包まれた表彰式が終わり、みんなの注目の的、エキシビションマッチが始まる。
4面あるうちのキアラが維持している結界を使うので、この試合も最前列で見られるキアラはやっぱりお得だと思う。
だが、生徒会的にはキアラに負担がかかりすぎていないか心配だ。
「ねぇ、キアラちゃん。魔力使いすぎてない? わたくし、代わりましょうか?」
優しいルチアがそう言ってくれるが。
「……だいじょうぶ、です」
キアラとしては全然気にならない消費量だし、この特等席を逃したくない。
なので丁重にお断りして、学園最強を決める試合に期待して、深く座りなおした。




