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《殲滅の魔女》は虚弱体質 〜魔力無限の最強魔導師ですが、コミュ障なので学園潜入任務はお断りしたいです〜  作者: ことりとりとん


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24.手芸部と魔法陣



「ねぇ、キアラちゃん。課外活動は生徒会だけにするつもりなの?」


 ある日の放課後、今日も勉強をしようかと思っていた所にソフィアが声を掛けてきた。


「……ぅん。でも、手芸部に、誘われた。ルチア先輩に」


「ルチア先輩、って生徒会会計のルチア・レステーゼ先輩ですわよね? それは、生徒会の方とお近づきになるチャンスではありませんこと!?」


 何だか知らないが、ソフィアのテンションが上がった。


 キアラとしては、近づいてどうするんだ、という気がしないでもないが、ソフィアはごく普通の貴族だ。

 魔法学園の生徒会に入るということはそれだけの価値があると認められているし、将来の就職にも影響する。


 つまり、チャンスがあるなら行っとこう!となるわけである。


 ちなみに、ソフィアがキアラと仲良くし始めたのは学年2位なら生徒会入りは固い、と見たからではあるが、今では普通に良い友達だと思っている。

 学年2位で、天才と名高いコンラート・エルデと同じくらい魔法が使えるのに、座学があんまり出来ない所とか、引っ込み思案なのに友達想いな所とか、可愛いな、と思っているソフィアなのだ。


「キアラちゃんも、いつかは就職するでしょう? その時のために、やっぱり貴族の付き合いは勉強しておいた方がいいと思いますわよ! 行きましょう!」


「……ぁ、ぅん……」


 キアラは、設定上も実際も、もう就職している。

 設定では民間の薬屋なので転職の可能性もあるが、実際には魔法兵団なので、貴族の付き合いが必要か?と言われると微妙な所だ。

 でも、キアラは戦闘以外の部分を他人任せにしすぎているのかも、という自覚が生まれてきた所なので、対人能力を上げておいた方がいいとも思っている。


 なので、大人しくソフィアについて手芸部へ向かった。一人では行きづらくても、こうしてグイグイ行ってくれる友達と一緒なら、キアラでも行きやすいから。


「ようこそ、手芸部へ〜」


 中ではザ・貴族!というようなお嬢様方がテーブルを囲んで手芸をしている。

 キアラには縁遠い光景だ。


「ここ、手芸部では、貴族の嗜みとしての手芸はもちろん、魔法陣の固定化研究もしていますわ。それぞれお好きな分野に取り組んで頂けたら、と思っておりますわよ」


 穏やかに微笑む先輩が紹介してくれる。

 手芸組と魔法陣組は分かれているようでソフィアは人数の多い手芸組へ行ってしまったが、キアラは手芸には興味がないので魔法陣の方へ行く。


 それに、ルチアはこちらに居るのでふらふらと近づいた、というのもある。


「あら、キアラちゃん、来てくれましたの。嬉しいわ。

 今日は魔法陣の固定化刺繍をしていますの。

 皆は趣味として手芸をやりたいのですけれど、それだと予算が下りませんからね。魔法研究もして、学園内での地位を上げてこそ、予算が貰えるのですよ」


「……はぃ」


 さすが会計、ここでも予算のお話だ。


「……魔法陣、教えて欲しいです……」


 キアラは魔法陣に興味があるので、予算にも貢献できて一石二鳥だ。


「あら、そうなの。じゃあ簡単に説明するわね。魔法陣学でもうやったかもしれないけれど」


 そう言いつつも丁寧に教えてくれたルチアの説明によると。


 普通に魔法を行使するのではなく、魔法陣として固定化することにはメリットもデメリットもある。


 メリットとしては、術者がそこに居なくても、その魔法を発動出来る点と、展開速度が速い所だ。

 デメリットは、固定化の手間がかかる所と、固定化した魔法しか使えない所、わずかではあるが維持のために魔力を消費し続ける所。


「……そう、なんですね」


 魔法陣学は主に魔法陣を書く時の図案の式についての授業だから、それが実際どう運用されているのかを知れたのはキアラにとって非常に良かった。


「じゃあこれ、小さなものから刺繍を始めて貰えるかしら」


「……はぃ」


 道具と布切れを渡され、図案を写して刺繍をする。

 淡々と針を進めていくこの作業は、キアラの馴染んだ錬金術にも近いものがあって何だか心が落ち着く。


 それに、手を動かしていると頭はヒマなので、色々と考えを巡らせる時間があるのも面白い。


 (これ、魔法を固定化出来るのなら、アズーラ中尉の結界術を魔法陣にすることって出来るのかな?

 もしそれが出来たら、私の魔力暴走が起こった瞬間に防御して貰えるんじゃ……?

 そうしたら、誰かを間違って攻撃しちゃうことも無くなるかも)


 次に魔法兵団に帰った時には必ずアズーラ中尉に聞いてみようと心に決めた。


 もしそれが出来たら、他の人と話すことが怖くなくなるかも、と微かな希望を抱いて。


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