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《殲滅の魔女》は虚弱体質 〜魔力無限の最強魔導師ですが、コミュ障なので学園潜入任務はお断りしたいです〜  作者: ことりとりとん


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22.魔王復活



 翌日、アズーラ中尉の家庭教師である程度勉強できたキアラは、先週よりは晴れやかな気持ちで学園に戻ってきた。


 キアラは元々魔法に関することを知ってはいるので、それを体系的にまとめ直して教えて貰えるとかなり分かりやすくなったのだ。


 そうして多少マシになった学園生活を送っていた週半ば。


「ちょっとキアラ、聞いた? 大変なニュースになってるって!」


「……なにを?」


 大興奮というかもはや怯えたような調子でカリナが話しかけてきた。

 もう授業は終わりなので他の生徒が課外活動へ行こうとする中、キアラはどこで勉強しようかな、と思っていたのだが。


「魔王復活、ですって。神殿に神託があったそうですわよ」


 ソフィアも心配そうだ。


「魔王復活が、もうすぐそこまで迫っているのですって。前回の討伐から20年近く経っているとはいえ、急に神託なんてあったら、怖いですわよね……」


「確か、完全復活までに討伐しないと大変なことになるんでしょう? 過去には魔獣の攻撃で、王国の人口が半分になるほどの大災害だったこともある、って聞いたわ」


 (うわぁ……呼び出されるのかなぁ……)


 噂話をするカリナとソフィアは、怖がっているけれどどこか他人事のようだが、キアラはそれどころではない。

 仕事が増えるかと思うとかなり嫌な気持ちになった。


「でも、魔王復活ということは、勇者が出現しますわよね?

 勇者が魔王を討伐すれば、王国の安全は保たれるのですって。強い魔獣を束ねる魔王に対抗できる魔法使いって、すごいですわよね!

 だって、魔導六師さまよりも強いんでしょう?」


 勇者が魔王を倒すことは、おとぎ話のようだが実在のことだ。

 数々の物語の主人公を飾る『勇者』は、全王国民の憧れと言っても過言では無い。


 (そうかぁ、魔王復活、そして勇者の出現……)


 まだおばあちゃんと一緒に暮らしていたころ、寝物語に聞いたことに、キアラの胸も高鳴る。


 (もしかして、もしかしてだけど……。

 私が勇者だったり、するのかなっ!?)


 魔獣に対抗できる自分なら、魔王討伐だって出来るのでは。それなら、自分が勇者の可能性だって……。


 キアラは心の中でほんの少しだけ期待する。

 別に勇者になって英雄扱いされたいわけじゃなくても、やっぱり『勇者』は人々の憧れで、キアラも例外ではないのだ。


「俺が次の勇者だあああ!!!」


 教室の後ろではしゃぐ男子の叫び声に驚いて、女子3人の肩がびくりと震える。


「さすがにお前は無いだろ! それならまだエルデの方が勇者だって!」


 軽く頭をはたく男子共の横に居るエルデも、そう言われたら満更でも無さそうだ。


「……まだ、魔族とかは、出てきてない、んだよね……?」


 実害が出たら、間違いなく自分が動員される。

 そんな立場のキアラは怖々ながら確認する。


「うん、まだ神託が降りただけみたい。でも、きっと時間の問題なんだよね……。ちょっと、怖い」


 カリナはオレンジ色の瞳をさ迷わせて、本当に不安そうだ。


「カリナちゃん、大丈夫ですわよ。学園は強力な結界で護られているもの。

 それに、魔王復活まで、まだ時間はあるでしょうし、魔境から魔族が来るのだったら、王都に来る前に予兆が沢山あるはずですわ。

 今わたくしたちが不安になってもしかたがありませんから、ね」


「そうね。じゃあ、予定通りバトルクラブの見学に行ってこようかな」


 教室を出ていく二人を見送ったキアラは、決意を新たにする。


 (魔王が出てきても、私が絶対討伐してやるんだ。

 この学園に私が居る限り、カリナやソフィアを傷つけさせたりしない!)


 今まで、キアラはただ命令されるがままに魔境の魔獣を討伐するだけだった。

 だが、キアラにも守りたい相手が出来たから。


 自分の魔法をもっと磨きたい。


「……よし。」


 せめて、座学はみんなに追いつこう。


 心新たに、アズーラ中尉に借りたテキストを挑むキアラだった。


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