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ゲーム内でチートと言われてきた能力をガン積みされて若返り異世界転移したおっさんですけど、性別が女の子でした  作者: echo


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86 従いはします

 そりゃね。

 王国なんだから、陛下の下知は絶対になってくるんだろうけど。

 貴族社会なんだから、上からのお達しは絶対なんだろうけど。


 「王太子殿下」


 そう。

 王太子殿下は。


 「上からのご命令が絶対で、全てを従える事が出来るとお考えになっておられますと、足を掬われる事にもつながりますよ?」


 国王陛下や王妃様のご命令を忠実に伝えているだけなんだろうけれど、私がへいへいと従うと思っていたら大間違いだぞ。


 「無論、フェンリルに首輪をつけられるなど、思っていない」


 私をフェンリルと呼ぶ王太子殿下は、当然のようにそう答えた。


 「だが、父上や母上は良いとしても、その他が黙ってはいない」


 一拍置いて、


 「お前が辺境伯家に養子入りしている以上、辺境伯家に命を出せば、お前も従うものだと思っているのだ」


 ほぉ・・・・・・。


 「私が、その柵を捨てる事が出来ないと、その方たちはお考えなのですね」


 「そうだ」


 「それは、舐められたものですね」


 「王国においては、国王の権威は絶対だ。貴族であれば、国王の言葉に意見は出来ても、異を唱える事などできないのだ」


 それが、この世界での、貴方たちの常識なんでしょうけれど。

 国王陛下の威を借る、キツネの常套手段なんでしょうけれど。


 「リズ」


 「なに?」


 「私は貴女の友人ではありますが、友人であるからこそ同じ土俵に立っていないといけないと思って辺境伯家の養女となりました。止むなし、です。だからこそ、ここまで頭を抑えつけられて、はいそうですか、と、承諾してきました。が、我慢にも限界があるという事を、貴女はご存知であるはずです」


 法の上に人が立たない日本社会で育った私に、国主などという権力で圧力をかけられたところで、黙っていると思わない方が良い。

 そこは、リーズディシア嬢も解っているはずだが。

 さて。


 「貴女の好きなようにしなさいな」


 果たして、リーズディシア嬢は、私に向かって、私の行動を認めるとはっきりとそう言った。


 「リズ」


 王太子殿下はそれを咎めたいようだが、


 「殿下。アイリには、譲れない線があるんです」


 リーズディシア嬢にそう言われ、


 「そうか・・・・」


 と引き下がる。

 さすが、フェンリルに首輪を付けられないと言っただけの事はある。

 王太子殿下も、私を縛る事は出来ないと悟っているようだ。


 「殿下」


 「なんだ」


 「義理立てはします。この場では、殿下のお顔を立てて、下知に従います。が、それを当たり前の事だと捉えておいででしたら、大きな誤りです。ご自覚ください」


 「では、お前の行動原理は、何だ」


 「情、でしょうか」


 リーズディシア嬢やホムンクルスたちやロスティが代表となる様な友人に対する情、西側の村や町で仲良くなった人たちに対する情、王都に来てから家人と築いてきた情、そんなもので、私は動いていると言っても良い。

 付け加えると、王太子殿下との子弟の情のようなものも、そこに含まれる。

 法が法として機能しているかどうかわからない封建主義の国家であれば、私を動かす行動原理は、そこにある。

 そこに、私は、私の居場所を見ている。

 そして、私を道具としてしか見ていないような相手には、当然だが、情など湧かない。


 「父上に、その事を伝えておこう」


 その王太子殿下の言葉に、


 「お願いします」


 と、私は僅かに頭を下げた。

 不遜と取られるかもしれない。

 不興を買う事になるかもしれない。

 だが、私とて、慣れもしない令嬢ごっこをして、貴族社会に溶け込もうと努力しているのだ。飲み込むところは飲み込んでもらわなければ、こちらとしても、どう対処して良いのか分からなくなる。

 というか、普通に怒る。

 まぁ、私の行動原理を不遜だという輩に限って、権力で支配をしようとしてくるような奴だろうから、質が悪いのだが。

 所詮は。

 理解しあえないのだ。

 まぁ、トップが理解を示してくれていれば、私として問題は無いのだが、


 「国王陛下は、私の頭を抑えつける事に対して、何も仰せにならないのですか?」


 国王陛下は、そんな人じゃないと思っていたんだけどね。


 「父上は、お前の事は私に一任しておいでだ」


 「なるほど」


 という事は、王太子殿下の権威を何とも思わないという貴族が、私の頭を抑えつけようとしているという訳か。

 なるほど。

 なるほど。

 私的に。

 いらなくね、そういう輩。


 「そうは言うがな、国の為に必要な人材を確保しておきたいという、国を想っての行動である場合もあるのだ」


 「私の場合、それが逆効果になるのですが」


 「そうだな」


 まぁ、私の場合は、という事になるのだが。

 この世界での常識は、知らん。

 知った事ではない。

 国王陛下に上奏して、私の力をわが物としようとする権力者が、私を想った通りに扱おうとしていると取れるのは、私としては業腹だ。


 「誰かは知りませんが、その貴族に、私は従う事はありませんからね」


 「あぁ・・・・・・わかった」


 「リズ」


 「なに?」


 「友達だからといって、私が言う事を聞くとは思わないことです。友人としての情はありますが、私は、私の意思で動きます」


 「解っているわよ」


 解っているのかね。

 本人がそう言っているから、これ以上は突っ込まないけど。

 さて。

 王太子殿下を見て、取り巻きの男子生徒たちを見て、その婚約者を見て、そしてリーズディシア嬢に視線を落とした。

 わざと。

 この面子は、大丈夫なのか、と。

 その意味を汲み取って、リーズディシア嬢は苦笑をして見せた。

 なるほど。

 即答は、できかねる、か。


 「できますか?リズ」


 抑える事は可能か?


 「やってみせるわ」


 次は苦笑もなく、リーズディシア嬢は答える。

 それなら、良い。


 「出来なければ、私は私の道を行くまでです」


 「ええ、解っているわ」


 「ご理解頂けているのであれば、なによりです」


 「王太子殿下が私の言葉に耳を傾けてくださるのですから」


 「そうですか」


 それは何よりです。


お読みいただき、ありがとうございます


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