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ゲーム内でチートと言われてきた能力をガン積みされて若返り異世界転移したおっさんですけど、性別が女の子でした  作者: echo


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80 昨今の私です

 お義母様がストーニアに帰り、不穏になってきた西に騎士団が送られて二カ月、私はと言うと、


 「そこ、足を開かない」


 王妃様の淑女教育を受けていたりする。

 ピシッと足を扇で叩かれながら。

 ツッコミみたいなものだけど。

 地味に痛かったりする。

 パワハラ、訴えても、聞き入れられるなんて事はないんだろうな。

 そもそも、この世界に労基なんて無いし。

 そして。


 「王妃様。現状の西の状態なのですが、どの様になっているのですか?」


 「貴女の預かり知るところではないわ」


 西の情勢を聞こうとしても、にべもなく断られていたりする。


 「義理とはいえ、娘なのですから、知りたいと思う気持ちもあるとご理解して頂けるとありがたいのですが」


 情に訴えても、


 「貴女の身は私が預かっているのですから、私が良いと言うまで、西の情報を得ることを禁じさせて頂くわ」


 「良いですよ、リズや王太子殿下にお聞きしますので」


 「無駄よ。貴女に情報を渡さないように、言い含めてあるから」


 完全に情報をシャットアウトしてくるのだ。

 街に行ったとしても、王国中枢に流れてくる情報以上の物は得られまい。


 「はぁ・・・・・・」


 私はわざと溜息を吐いて見せた。


 「そんなに、拗ねて見せても、私は動じませんからね」


 分かっていますよ。

 ちょっと、反抗して見せたいだけですから。


 「アイリ」


 「はい」


 「貴女、解っているの?」


 「何が、でしょうか?」


 「貴女、今の王国に、無くてはならない存在になりつつあるのですよ」


 王妃様が仰せになるに、私はシンフォース王国の戦力として数えられる存在となってしまっているらしいのだ。一部では、王国の騎士の中隊を任せても問題無いという声も上がっているらしい。

 はた迷惑な話だ。


 「家出しますよ」


 「それを、頂点に座る私に言いますか」


 「私としましては、私に関係のある、手の届く人の命を優先したいのですよ」


 レベルはこの世界の最高峰に居る私でも、助けられる命と助けられない命があるのは、理解している。実際、ゴブリン騒動の時に、喪う命はしっかりと喪った。

 私は、お義母様やお義父様の命を大切にしたいと思っている。

 だから、西の情報は、非常に重要なのだが。


 「西は、安心して良いわ」


 「本当ですか?」


 「西の戦乙女を舐めないで欲しいものね」


 五千の騎士を与えておけば、王都で兵を募って応援に駆け付けるまで、必ず、王都が思う以上に、守りを固めてくれると、王妃様は語った。それどころか、状況によっては撃退する事もあり得る、と。


 「そのお言葉、信じてもよろしいのですよね?」


 「ええ」


 王妃様はにっこりと笑って、私の背後に回り、肩を扇で軽く叩いた。


 「背中が丸くなってる」


 それは、申し訳ありません。


 「ええ、それで良いわ」


 姿勢を正した私に、王妃様は言葉を続けた。


 「あとね、先の東との戦いで著しい戦果を挙げた貴女に言うのは申し訳ないのだけれど、貴女は所謂人質なのよ」


 おや。

 血の繋がりの無い私に、それ程の価値があるとは思えないのだが。


 「でも、今のストーン家に、貴女を与えてしまうと、造反を決意させるだけの材料が揃ってしまうの」


 なるほど。

 リーズディシア嬢も評価していたが、私という武将をストーン家が抱えてしまえば、西の連携次第で王権は倒れかねないと言いたいのか。

 いやいや。

 買かぶりだ。

 私一人程度で、この数万の戦力をほいほいと集められる国家を転覆させる事なんて、出来る訳がない。

 それは、この数カ月で、嫌というほど味わった。

 ゴブリン騒動、帝国との戦争、それは当然ながら、加えて、この数カ月で何度か試したのだが、十数人に囲まれてしまえば、三百ほどのレベル差があっても、簡単に打ち取られてしまう可能性がある事を学んだ。

 私一人の力なんて、たかが知れている。

 それは、王妃様もご存知のはずなのに。


 「戦い方次第では、貴女は一騎当千の武将になり得る、特別な薬にも、毒にもなり得る存在なのよ」


 それが結論か。

 と、いう事は、だ。


 「造反を疑える程度には、王国は切羽詰まっていないという事ですね」


 私の問いに、王妃様は黙って笑顔を作った。

 ああ、そうですか。

 それさえも答えられない、という事ですか。

 まぁ、良いです。

 西との貿易交流が、今の所は平穏無事に行われているという事は分かったし。


 「でも、ストーニアに危機が訪れた時は、私は一人でも、西に行きますよ」


 釘を刺しておくことは忘れないが。

 そんな私を、王妃様は笑顔のまま見返してきた。

 肯定、と取っても良いんだろうか。

 いや。

 ここは、肯定と取っておこう。


 「好きなように解釈しますよ?」


 そう言っても、王妃様は笑顔のままだし。

 ただ、王妃様は、


 「貴女の、行動原理は、どこにあるのかしら」


 と、聞いてくるのみだった。

 行動原理か。

 現状では、


 「友人知人の為に動きたい、それだけでしょうか」


 それのみ、なんだろうが。


 「いえ、立派な心掛けだと思いますよ」


 「そうでしょうか?」


 「ええ」


 そして王妃様は。

 ただ、と言い、


 「貴女が友人知人を、王国の東西に関わらず、作ってくれると嬉しいのだけれど」


 と、そう仰った。

 これは。

 王妃様がご紹介してくださった、あの攻略対象の婚約者たちと仲良くしてくれという事か。

 うーん。

 彼女達に悪い所は無いし。

 わかりましたよ。

 ええ。


 「承知いたしました」


 王国の東西を問わず、身分の上下を問わず、年齢を問わず、守りたいと思える友人知人を作っていきます。とりあえずは、ロスティに、おっちゃんに、王妃様がご紹介してくださった女生徒たち。あとは、王太子殿下の取り巻きとも言える、攻略対象。

 といった所か。

 あとは、街に降りて、茶飲み友達でも作るか。

 王妃様が、私が王国に残る理由を作って欲しいと言うのなら、作ろうじゃないか。

 王国の安寧に尽くす人材になったと信じさせる材料が欲しいと言うのであれば、信じるだけの材料を作ろうじゃないか。


 「ご安心を」


 私は座り直しながら、王妃様にこう言った。


 「リーズディシア嬢が王太子殿下との婚姻を結ぶ限り、私は王国に仇を為す事はありません」


 王国を守る盾にもなるし、鉾にもなるし、血を流す事も吝かではない。

 だから。

 ご安心ください。

 西の安全が担保されているのであれば、私は王都に残りますから。

 貴女の言う通り、友人の確保に努めますよ。


お読みいただき、ありがとうございます

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