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ゲーム内でチートと言われてきた能力をガン積みされて若返り異世界転移したおっさんですけど、性別が女の子でした  作者: echo


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74 知り合いと友達とです

 「アクスルさんって、普段は何をされているんですか?」


 ロスティが、普段出さないような声を使って、おっちゃんに、普段何をしているのかを聞いた。

 冒険者なんだから、普段の生活なんて、魔物狩りか護衛かの二択だろうに。

 私は市井で流行っているという、コーヒーに似た飲み物を啜りながら、心の中でそう突っ込んだ。

 ロスティは自分の世界に入りきってしまっているので気付かない様だが、おっちゃんは私の三白眼に気付いているようで、


 「ああ・・・・普段は魔物狩りをしているな」


 私の方を気にしながら、そう言う。

 それに対し、ロスティは、


 「そうなんですかぁ。すごいですね」


 おっちゃんだけを見て、そう言った。


 「どんな魔物を狩っているんですか?」


 「ん、あぁ、普段はゴブリンとかオークとか、その辺の低級の魔物だな。強いゴブリンが出たとかなると、駆り出されている」


 「強いゴブリンとかとなると、この前のゴブリンキングなんかですか?」


 「ああ、あれはアイリが全部倒しちまったけど、その取り巻きとかは、相手したな」


 「すごいじゃないですか」


 「すごかぁねぇよ」


 「すごい事ですよ」


 謙遜するおっちゃんを、キラキラとした瞳でロスティは見つめる。

 それをおっちゃんは、手を振って否定して見せた。


 「本当にすげぇのは、アイリだよ」


 「アイリがすごいのは知っています。ゴブリンキングを全部倒しちゃったんですよね。でも、取り巻きもかなりの強さだった筈です。私は、そんなアイリと一緒に、肩を並べて戦う事の出来るアクスルさんもすごいと言っているんです」


 そんなおっちゃんを、ロスティは逃さない。

 おっちゃんの言葉を否定して、おっちゃんを持ち上げてみせる。

 参ったな。

 ロスティ、完全に出来上がってるわ。

 もうちょっと、冷静な娘だと思っていたんだけど。

 いや、予想外だった。

 まぁ、おっちゃんが大人の対応をしてくれているみたいだし、滅多な事にはなるまい。例えば、ロスティが孕んで、休学せざるを得ない事態になるとか。

 それも、


 「ロスティーニのお嬢ちゃんにだって、出来る事じゃないのか?相応に、強そうに見えるんだが」


 「やだぁ。ロスティ、って呼んでください」


 「あ、ああ。わかった」


 ロスティにしてみれば、休学しても問題無いと思っているのかもしれないのだが。

 しかし。

 おっちゃん、押され気味だ。

 Aランクの冒険者って、稼ぎも良さそうだし、モテたりしないのだろうか。勲章持ちになるから、待遇はSランクにも近しくなると言っていたはずなのだが。それとも、あれか?顔がいかつすぎて、それさえも一般女性にしてみると、稼ぎが評価対象になってないとかなのだろうか。

 娼館でも行けば良いんだろうけど、もしかして、娼館でも何かやらかした、とか?性的に強すぎるか弱すぎるかで、嫌な思いをして娼館に行かなくなったっていうケースもある。

 前世の私がそうだった。

 どっちにしろ。

 おっちゃんはおっちゃんで、女慣れしていないな。

 意外だけど。

 真面目なのは良い事だけど。

 その辺、ロスティは分かっているのだろうか。

 ロスティの見た目が可愛かろうが、性格が良かろうが、グイグイ行くと、この手の男は逆に一歩引くぞ。

 仕方ない。

 ここは、私が手綱を握るか。


 「ロスティ」


 「なに?」


 にこやかに、お前口挟んでくるんじゃねぇよと抗議してくるロスティの耳元で、私は小声でこう言った。


 「おっちゃんを落としたいのなら、少し控え目の立ち位置を確保する事をおすすめするよ。盲目になり過ぎてない?」


 「え?」


 そこでロスティは、初めておっちゃんの表情を二度見した。

 そして失敗を悟ったのか、改めて、


 「あはっ・・・あはははは」


 乾いた笑顔をおっちゃんに向けた。


 「すみません、私ったら」


 「いや、良いんだ」


 おっちゃんもそこは大人としての威厳を保ちたいのか、ロスティのそれまでのグイグイと押す態度を窘めず、お茶を啜る。

 そして、


 「可愛らしいお嬢ちゃんに懐かれるのも、悪くはない」


 と、そう言った。

 あ。

 そういう強がりを言う?

 そういう事を言う口には、


 「それじゃぁ、私は口を出さないけど」


 こうだ。


 「いや、待て、アイリ」


 おっちゃんが明らかに慌てた。

 やっぱりか。

 思った通りだ。

 そうなるだろうな。

 だから私は、わざとらしく、


 「おっちゃん、この飲み物、美味しいね」


 そう言って、コーヒーに似た手元の飲み物を飲み干す。


 「おぉ、そうか?もう一杯頼むか?」


 「ケーキとも合うと思うんだよね」


 「おぅ、好きな奴を頼め」


 「やたっ。ロスティ、好きなのを頼んで良いんだって」


 甘党の私は、ここぞとばかりに店員さんを呼んで、コーヒーに似た飲み物と、ケーキを二個頼んだ。

 ロスティは、


 「良いんですか?」


 と、一つ聞いて、


 「おう、好きにしろ」


 と言われて、ケーキを一つとお茶を頼む。

 それで良いんだよ、ロスティは。

 一歩引いて、遠慮する女の子の印象を植え付けておけ。

 多分、金銭の問題じゃなく、おっちゃんはそういう女の子の方が好きだから。

 多分、だけど。


 「じゃ、ご馳走になります」


 「アイリは少し遠慮しろよ」


 「私は、おっちゃんに遠慮するような所は、何一つありませんからね」


 「ロスティの嬢ちゃんは、もっと頼んでも良いんだぜ」


 「あはは・・・・私は、これくらいで十分ですよ」


 そうそう。

 そうやって、奢っても問題無いという程度に抑えておくのが良いんだ。

 多分、だけどね。

 おっちゃんはある程度成功した冒険者だろうけど、金銭面で無駄遣いをしない女の子の方が、ポイント高いと思うんだ。

 まぁ、付き合いだしたら本性が見えてくるから、合う、合わないは出てくるだろうけど、最初の印象はそれ位で良いと思うんだ。

 付き合うまでは、それで良いと思うんだ。

 恋愛音痴の、おっさんの感覚だけどね。

 ロスティ。

 最初は、そんなキャラ作りから始めていくと良いと思うよ。


 「そうかい」


 ほら。

 おっちゃんも満更ではなさそうだし。

 多分、それが正解だと思うんだ。

 多分、だけどね。


お読みいただき、ありがとうございます

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