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ゲーム内でチートと言われてきた能力をガン積みされて若返り異世界転移したおっさんですけど、性別が女の子でした  作者: echo


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70 街へ行くのです

 「アイリってさぁ」


 騎士課程棟で昼食を摂っている時に、ロスティが、そう切り出してきた。


 「やっぱ、辺境伯家のお嬢様なんだよね」


 「何を藪から棒に言ってるんですか」


 「いや、普通に考えたら、私なんかが一緒に、こうやって、ご飯を食べてて良いようなご身分のお嬢様じゃないんだなって思って、さ」


 何を言い出すかと思えば、そんな事か。


 「ロスティだって、貴族のご令嬢じゃないですか」


 「私は、貧乏男爵家の三女だよ。身分が違うって」


 自分で騎士の身分を手に入れないといけない立場にある、とロスティは、そう言った。そう言われてみると、私は恵まれているのかもしれない。リーズディシア嬢が私を迎えに来なかったら、と思うと、ここまで名前は世に出ていなかっただろうと思う。

 まぁ、名前を出したかったかどうかは、分らないが。

 良かったこともあれば、手が届かない事もあるからだ。

 例えば、平民の生活がどういうものなのかを、私はほとんど知らない。

 それを語ると、


 「じゃぁさ」


 といって、ロスティはパスタを飲み込んだ。


 「平民の生活を、覗きに行かない?」


 ほう。


 「ロスティは、平民の生活を知っているのですか?」


 「貴族とは名ばかりの、貧乏男爵家の娘だからね。暮らしは、王都のちょっとした金持ちと同じ程度だよ。相応に、平民の中に溶け込んでいたりするんだ」


 ロスティと街の人の間に、身分差の様なものはない、と、彼女は語った。

 それなら。

 ロスティに街を案内して貰えばいいか。


 「ロスティ・・・・・」


 「ん。解ってる。平民がどんな生活をしているか、見て回りたいんだろ?」


 「ええ」


 「任せておきなさいって。ロスティーニ姐さんが、案内したげるよ」


 「それは、ありがたい」


 ということで、翌日の放課後に、ロスティに街を案内してもらう事となった。


 ※


 翌日。

 放課後になって。

 帰りの馬車とホムンクルスたちを戻していた私は、徒歩で、初めて学院の門を潜った。驚いたのは、ロスティ他、意外と多くの生徒が、徒歩で下校していた事だ。馬車の中からだと、多いなと思っていたくらいだが、実際に徒歩で下校する生徒に混じってみると、思っていた以上なのだ。


 「意外とね、下級貴族の子弟は、徒歩なんだよ」


 「それにも驚きましたが、学生の数が、思っていた以上に多くて」


 「居る所には居るもんなんだよ」


 「その割に、学食は混雑しませんよね」


 「そりゃ、課程ごとに食堂が違うから」


 騎士課程の生徒は騎士過程の棟から出ないから、ほとんど顔を合わせる事が無いとの事だった。

 制服も、若干違いがある。

 この前、茶話会でジュリーネ嬢が着ていたような制服や、シェリアエル嬢が着ていたような制服も見受けられる。

 見た事が無いと思っていたのは、私が、他に興味が無かったからなんだろう。

 しっかりと、学院の制服だったようだ。


 「ああ、あっちはね」


 シェリアエル嬢やレアノーラ嬢が着ていた制服の娘を指差して、


 「軍務課程の制服だよ。軍人の中でも、書類仕事を行う勉強をしている子たちだね」


 「じゃあ、あっちは?」


 ジュリーネ嬢が着ていた制服を指差すと、


 「あっちは、政務課程だね。政務の事を勉強する過程だよ」


 そう言って、ロスティは私に教えてくれた。

 なるほど。

 色々と、課程があるのは知っていたけれど、魔術課程と騎士課程の違いがあるように、その他の課程にも違いがあるのか。

 その色とりどりの制服の中、騎士課程の制服を身に纏った私たちも歩いていく。

 ちらちらと見てくる子も居るが。

 そこが気になるが。


 「あー、気になる?」


 「ええ」


 「まぁ、我慢する事だね。アイリは有名人だから、皆、興味があるんだよ」


 「あぁ・・・・・・・」


 そういえば。

 私、有名人だったね。

 顔、割れてるんだね。

 ゴブリンキング戦を実際に見た人もいれば、叙勲の式典を見に来た人も居るだろう。何なら、先の帝国との戦争の帰還の際に、ほぼ先頭で馬に乗っていたから、それを見たという人も居るだろう。

 全部学院の制服を着ていたから、よく目立っていたはずだ。


 「これって、街に出ても、こんな視線を浴びるのでしょうか?」


 「さぁね。私としては、そこまで有名にはなっていないと思うけど」


 そう言われて学院の門を潜った私たちは、街へと繰り出した。


 「とりあえずは、下級貴族街を通って」


 閑静な邸宅街を通って、


 「駅馬車を拾って」


 馬車に乗り、


 「んでもって、一等平民街」


 人通りが多くなってきた街並みを通って、


 「で、一般的な平民街に到着だよ」


 人で賑わう停留所で馬車を降りた。

 私が知っている大都市と言えば、福岡市内とストーニアと帝国の帝都くらいのものだが、それに匹敵するか、それ以上の賑わいを見せてくれている。

 まぁ、王国の首都だしな。

 当然っちゃ、当然だ。

 とりあえず納得していると、ロスティが、


 「どこか、行きたいところって、ある?」


 と、聞いてきたので、


 「武器屋と、冒険者ギルド、かなぁ」


 自分の興味のあるところを言うと、


 「わかった」


 と言った後に、


 「武器屋と冒険者ギルドに行った後に、喫茶店でも行くか」


 と、ロスティは目的地を一つ追加してきた。


 「喫茶店、かぁ」


 「最近できた、評判の店があるんだよね」


 「へぇ」


 「アイリは、そういう所の方が似合いそうな見た目をしてるのに、武器屋と冒険者ギルドとか、頭の中は戦いの事しか無いんじゃないの?」


 「興味が無い事はないんですけどね」


 そんな会話をしつつ、私たちは歩きだした。

 冒険者ギルドか。

 久しぶりに、おっちゃんに会えると良いんだけど。


お読みいただき、ありがとうございます


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