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ゲーム内でチートと言われてきた能力をガン積みされて若返り異世界転移したおっさんですけど、性別が女の子でした  作者: echo


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69 王太子殿下の成長です

 「という訳で、ですね。私、リズと話す機会が減ったんですよ」


 私は、王太子殿下の急所に軽く棍を繰り出しながら、そう言った。


 「何を・・・・」


 と、私の棍を受けながら、王太子殿下は、


 「言っている」


 反撃をしてくる。

 まぁ、甘いんだけど。

 それでも、レベル差を考えれば、良い返しだ。同レベル帯の相手であれば、良いカウンターとなっただろう。

 同レベル帯であれば、だけど。


 「良い感じになって来てますよ、殿下」


 私はカウンターにカウンターを重ねて、王太子殿下の鳩尾に棍を入れて、誉め言葉を贈った。

 いや、本当に、避けるのも上手くなったし、反撃をしてくる所なんて、称賛に値する。

 レベル差を考えると、これは、本当にすごい事だ。

 天才、って奴なのかね、これは。


 「だが、お前には、まだ届かない」


 それはそうですよ。

 レベル差も、戦闘経験も、段違いで違うんですから。


 「でも、メイニー・プルには近付いていますよ」


 今度、相手をさせるのも良いかもしれない。

 メイニー・プルは敏捷にもかなり振っているから、良い相手になると思うのだが。今もレベルが上がって550位になっているけれど、うちのホムンクルス娘たちは、基本的に敏捷が上がりやすいようだから、王太子殿下の相手には丁度良いかもしれない。

 うん。

 真剣勝負、いや、木剣でだけど、やらせてみるか。

 ここら辺でで、自分の実力を把握させておくのも良いんじゃなかろうか。


 「戦ってみますか?」


 「ああ」


 私の言葉に、王太子殿下は一も二もなく頷いた。

 私は、入口で待機しているホムンクルスたちを見て、


 「メイニー・プル」


 と、声をかけた。

 手招きを一つすると、


 「はい」


 と言って、メイニー・プルが寄ってくる。

 そこで、


 「メイニー・プル。王太子殿下と戦ってみてください」


 彼女にそうお願いをした。

 いや、お願いというよりも、ホムンクルスの日頃の態度を見る限りでは、私の言葉は命令になってしまうのだろうが。

 やはりというか。

 当然のように、メイニー・プルは木剣を取ってくる。

 そして、


 「僭越ながら、このメイニー・プル、王太子殿下のお相手を勤めさせていただきます」


 と、剣を構えた。


 「よろしく頼む」


 王太子殿下も、メイニー・プルに倣って剣を構える。

 そして。

 私が一歩下がり、


 「両者、準備はよろしいですね」


 確認を取って、


 「始め!!」


 号令をかけた。


 「ふっ」


 敏捷の優位性を取って先に動いたのは、メイニー・プルだ。一気に距離を詰め、下段から王太子殿下に切りつける。

 それを、王太子殿下は半身になって躱した。

 上段から、横薙ぎ、反対からの横薙ぎ、と連撃を繰り出すも、メイニー・プルの一撃を、王太子殿下は悉く躱す。

 それを見て私は、目は良くなった、と感心した。

 さて。

 この攻撃を、王太子殿下はどう捌くか。


 「見える、見えるぞ」


 などと言っているが、敏捷で劣っているのは間違いがないのだから、躱すだけで精いっぱいのはずなのだが。

 その証拠に、王太子殿下は徐々に後退していく。

 時として、剣で剣を受けるという、反撃に繋がらない防御もするようになってくる。

 さて。

 どう出る?

 力の差はほとんど無いから、受けてもさほどダメージは入らないだろうが。

 と。

 自分が押されている事が分かっているのか。

 とうとう、というか、メイニー・プルが放った一撃を受けた瞬間、王太子殿下は剣をずらして、受け流しを見せた。

 反撃に出るつもりか?

 だが。

 それは悪手だ。

 そこでの反撃はいけない。

 受け流した瞬間に王太子殿下も気付いたようだが、その剣筋には重さが足りていない。切る気のない一撃、フェイントだ。引く事を想定して出した一撃だ。

 まぁ、その辺は経験なんだろうけど。

 メイニー・プルのつま先が、指一本分、力を入れた時より引かれている事に気付くべきだった。

 結果論だわな。

 王太子殿下の受け流しからの反撃と、メイニー・プルの引きからの一撃とが交錯する。

 そして。

 メイニー・プルの一撃が王太子殿下の喉に入る寸前で、両者の動きは止まり、決着がついた。


 「ふぅ・・・・・」


 王太子殿下が息を吐き、メイニー・プルが剣を下げる。


 「いや、参った」


 と王太子殿下が言った瞬間、周りから拍手が起こった。

 その場に居た騎士課程の生徒達が、王太子殿下の周りに集まる。王太子殿下はそこで、強くなったことに対する称賛の声を浴びた。

 追従ではない、本物の称賛の声だ、これは。

 王太子殿下は、一瞬戸惑ったような顔を浮かべたが、


 「強くなったのか、私は」


 そう言って、自らが持つ剣を見つめた。

 そして、


 「強くなっているのか、私は!?」


 私に向かって、そう言ってきた。

 私は一つ頷く。

 そこで王太子殿下は、


 「ははっ・・・」


 剣を見つめながら、薄く笑った。

 大丈夫ですよ。

 貴方は成長しています。

 内心で、リーズディシア嬢に置いて行かれる事に戦々恐々としていたであろうことは想像できていたが、安心して良い。

 リーズディシア嬢が成長しているように、王太子殿下も成長していますから。

 大丈夫ですよ。

 あとは、


 「内政面も、同じように成長して頂けたら、強い王様として戴冠に望めます」


 それだけだな。


 「そちらは、任せておけ。しっかりと勉強するから」


 ええ、そっちは協力する事が出来ませんから、ぜひとも、良い王様になってください。


お読みいただき、ありがとうございます

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