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ゲーム内でチートと言われてきた能力をガン積みされて若返り異世界転移したおっさんですけど、性別が女の子でした  作者: echo


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45 サイド アウルディール

 「殿下」


 との呼びかけに対して、執務机で書類に目を通していた私は視線を上げた。


 「フェイト、か」


 「はい」


 「どうした?」


 「会議のお時間です」


 「もう、そんな時間か」


 私とした事が、変な確認をしたものだ。

 会議の時間を知らせてくるのは、いつもランドだったので、つい、聞き返してしまった。

 もうランドは居ないというのに・・・・・・。

 知っていても、身体が馴染んでこない。

 まだまだだな、私も。

 私は立ち上がって、今まで確認していたゴブリン騒動に関しての書類を一瞥し、執務室を後にした。

 長い廊下をフェイトと共に歩いていく。

 ここでも、ランドの不在を感じてしまう。

 やはり、幼少の頃から共に育ってきた仲間なので、あの男の足音がしない事が気になる。

 もう。

 切り替えろ。

 奴は、もう居ないのだ。

 私は前を向き、会議室へと足を進めた。

 会議室に到着し、フェイトが扉を開けてくれる。


 「アウルディール・アマル・シルフィーネ・シンフォース、参りました」


 私は会議室に足を踏み入れる。

 そこには既に、出席者が全員揃っていて。


 「遅かったな、アウル」


 と、父から軽い叱責を受けた。

 私は言い訳をすることなく、一言申し訳ありませんと言って席に着く。

 そして、朝の会議が始まった。


 「まず、先日のゴブリン騒動で、王都が受けた損害と、事後処理における出費なのですが・・・・・・」


 財務大臣が、まず口を開く。

 会議の内容は、主に先日のゴブリン騒動の件だった。

 損失や、騎士団員の補充、ゴブリンの調査など、多岐に渡って話し合われていく。

 そんな中、私に関する議題が一つ上った。


 「さて、王妃様から上奏があった件ですが・・・・・」


 来たか、と私は思った。


 「ミリーネという娘について、だな」


 父王陛下が確認のために口を開く。

 そして、私に、


 「さて、アウル。ミリーネという娘は、どの様な娘なのだ?」


 そう聞いてくる。

 私は率直に、好感を持てる要素のある娘ではあるが、側室になる為には相応の教育が必要だと伝えた。


 「妃としては、教育する分には問題無いと言っているし、何より、正室となるリーズディシア嬢の推薦であるから仲違いの心配は無いと思っているが、その娘の出自は問題とせざるを得ないと言えるのではないか?」


 「御意」


 そこで宰相が口を開いた。


 「東部出身の側室ともなれば、バックに東側の侯爵家辺りがつく事になりますし、政界の中枢に東側の諸侯から人材を入れる事になりますが、その辺りは、王太子殿下はいかがお考えでしょうか?」


 「現在の王政と大差なく治めていきたいと考えている」


 現在のシンフォース王国は、東西の諸侯が満遍なく、不満が出ないように、人材の配備がされている。東西の利益を求めても、公平に利益が行くように出来ている。

 私もそれに倣うだけだ。

 リズの兄にあたる次期フェンデルトン公爵を副王とする事は確定しているが、それ以外は東西を問わず能力によって地位を約束するつもりだ。

 ただ。


 「王権を背後から操ろうとする者に関しては、容赦をする気は無い」


 ミリーネ嬢の後ろ盾になって地位を得ようとする者には、容赦なく権力を削がせて頂く事になるだろう。


 「順当に行けば、ミリーネ嬢の寄り親の寄り親に当たるジルベール家が養女として迎えて輿入れとなるのでしょうが・・・・・・」


 「あの家であれば、中央に興味が無いので問題無いのではないか?」


 「順当に行けば、ですな」


 「では、どこかから横やりが入ると仰せか?」


 そこで黙っていた重鎮たちが口々に意見を出してくる。

 そして、


 「ホッパドキア家」


 という財務大臣の言葉に、全員が口を噤んだ。

 しばしの沈黙の後、


 「あの家が、出てきますかな」


 宰相がそう確認するように口を開いた。


 「可能性は、あるな」


 父王陛下が、それに応える。

 ホッパドキア家。

 東の雄で、先日のゴブリン騒動の時に、騎士団を応援によこすという名目で、王都に子飼いの軍隊を入れようとしてきた家だ。アイリ嬢が早急にゴブリンキングを討伐してくれたから必要ないと断る事が出来たが、対応が遅れていたらどんな事態に陥っていたか分かったものじゃない。

 さて。

 次代のホッパドキア侯爵は、権力を欲する人物であるのか。

 今の段階では何とも言えない。

 ただ。

 あのゴブリン騒動は人為的に起こされた可能性があると報告が来ている。

 つまり。

 ホッパドキア家の領内ではゴブリンの大量発生が起きていない事から、怪しいと思われている。中央の政権を奪取してやろうという意図が、微かに透けて見えるのだ。

 偶然、かもしれない。

 忠心、かもしれない。

 だが。

 私がミリーネ嬢を見出したのは偶然かもしれないが、それに乗って来る可能性は、充分に、ある。

 怪しいと睨んだ時点で間諜を放っているが、報告が来るには、まだ時間がかかる。


 「ジルベール侯爵家とホッパドキア侯爵家に親交は?」


 「先代の時代にホッパドキア家からジルベール家に娘が出されているし、四代前にジルベール家からホッパドキア家に長女が嫁に出されていますね。血族としては強い結束があると思って良いかと」


 「となると、同盟に近い、か」


 「東の守りとして固まってくれている間は良いが、こうなってくると、ホッパドキア侯爵家が足掛かりとするには、良い条件となってしまいますな」


 「とはいえ、養子縁組にこちらが口を出す訳にもいくまい」


 東側出身の財務大臣が、そっと溜息を吐いた。

 面倒な事になった、と思っているのだろう。

 まぁ、それはそうだろう。

 自分の故郷が、戦火に見舞われる可能性が出てきたのだ。


 「やむをえませんな」


 財務大臣が口を開いた。


 「こうなってしまった以上、リーズディシア嬢との婚姻を早めて、ミリーネ嬢の方はリーズディシア嬢から遅れて二年後、位に考えておかねばならないのではないでしょうか」


 「そうだな」


 父王陛下も、その意見に頷く。

 やはり、そうなるか。


 「良いな、アウルディール」


 「はい」


 リズとの婚姻が早まるのは嬉しいが、ミリーネとの婚姻が遅れると言うのは私にとっては残念な事となった。

 まぁ、仕方あるまい。

 王家に産まれた以上、婚姻に自由がないのは覚悟の上だ。

 むしろ、想い人二人を嫁に出来ると思ったら、私は恵まれている方だ。父や母のように、互いを想いあう番のような関係の方が珍しいのだ。

 待たせたな、リズ。

 済まないな、ミリーネ。

 私は心の中で二人に言葉を贈った。


 「では、次の議題に移りますが、王太子殿下、そろそろお時間では?」


 「そうだな。私に関する決定も聞けたし、そろそろ学院に行かせて頂くとしよう」


 私はそう言って会議の席を立った。

 フェイトが扉を開けてくれたので、私は一例をして会議室を出た。

 廊下を歩きながら、


 「フェイト」


 「はい」


 「ランドが抜けた穴は大きい。お前の信の置ける男で良い、私の側近になれそうな男を早急に見繕ってくれ」


 「畏まりました」


 「頼んだぞ」


 「殿下」


 「なんだ」


 「その、アイリ嬢ではいけないのですか?彼女は武に優れていますし、頭も切れるとの事でしたので、都合は良いかと。それに、それなりに殿下も信を置いておられるのではないでしょうか?」


 「彼女はリズの側近だ。嫁から彼女を取り上げようなどとは思わない」


 「そうですか、それは残念です」


 「なんだ、フェイトはアイリ嬢を認めていないと思っていたのだが、違うのか」


 「側近の武人としては、彼女以上の人間は居ないと思っただけです」


 そんな会話をしながら、私達は執務室へと向かった。

 アイリ嬢、か。

 あんな化け物、私ごときが扱えるかよ。

 リズだから、何とかなっているんだ。

 私は、私の分というものを弁えている。

 フェイト。

 お前やランドくらいで良いんだ。

 天才と呼ばれる程度で良い。


お読みいただきありがとうございます

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