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ゲーム内でチートと言われてきた能力をガン積みされて若返り異世界転移したおっさんですけど、性別が女の子でした  作者: echo


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31 今日から授業です

 「別に、自己紹介がある訳じゃないんですね」


 と、席について私が言うと、


 「そうだね。高等部とは違うから。仮にここで自己紹介をやったとしても、取ってる授業がまちまちだから、アイリの存在が学院全体に伝わる訳じゃないし、ね」


 と、シャラ・スーはそう答えた。

 大学に編入してきたようなものか。

 広い講堂の後ろの方の席で、私は全体を見渡した。

 隣にはシャラ・スーのみ。

 ロスティの姿は無い。

 代わりに、少し離れたところにエルフィン嬢の姿が見えた。魔術課程であろう同級生らしき女の子と一緒に座って話をしている。

 この戦争史の授業は、騎士課程の生徒も魔術課程の生徒も、どちらも取るという訳か。


 「基礎教養の授業だからね。さすがに皆この授業は取るよ」


 「その割に、ロスティやリズの姿が見えないのですが」


 「ロスティは優秀だからね。前期で単位を取っちゃったんだよ。で、リーズディシア様は別格。あの方は高等部で大学院の範囲をやり終わっているから、課業は免除なんだ」


 へぇ。

 一年の半分で単位を取ってしまっているのか。

 そんな事も出来るのか。

 何気にこの身体、記憶などの頭を使う作業も得意としているようだから、私も後期で単位を取ってしまうか。

 しかし、リーズディシア嬢は優秀なんだな。


 「さすがに幼少期から御妃教育を受けているだけあって、勉強に関して言えばあの方は他とは違うよ」


 と、シャラ・スーは、前を向いたまま頬杖をついてそう言った。

 そうか。

 それについていかないといけないのか。

 リーズディシア嬢の友達としては、この基礎教養くらい、簡単にクリアしてしまわなければいけないのか。

 頑張るか。

 と、そんな話をしていると、教壇の方の扉が開いて男性の教授が入ってきた。

 同時に講堂内の空気が締まり、ピリッとした雰囲気が流れる。

 教授は教壇まで歩き、全体を見渡して、名簿や教科書などを置いた。


 「休暇は楽しめたかな?腑抜けていないかな?まだ課業の準備が出来ていない者は、三つ数える間に準備をしなさい」


 と、そう言う。

 そして、


 「アイリ・ジル・アイリーン・ストーンは居ますか?」


 名前を呼ばれる。

 なので、


 「はい」


 と言って席を立った。


 「後期から編入してきたからといって、前期の内容は頭に入っていないという言い訳は聞きませんからね。そこは心しておくように」


 「承知いたしました」


 「では、座ってよろしい」


 「はい」


 そこまでやり取りをして、私は席に着く。

 シャラ・スーが、


 「目を付けられてるね」


 と、小声で私にそう言ってきた。

 まぁ、結果はテストで出すしかない。

 目を付けられていようと付けられていなかろうと、関係無い。

 全力で当たるのみだ。

 知識にチートは関係無いからね。


 「では、授業を始める」


 と言って、教授は課業の開始を宣言した。

 が。

 あれ?

 教授の話を聞いていると、アイリーン義母様から教えられた内容を話している。

 あれ?

 ここ、聞いたぞ。

 課業を半ば無視して、私は前期から今までの教科書をぺらぺらと捲っていった。

 これ。

 辺境伯領でアイリーン義母様から叩き込まれた所じゃないか。

 後期の内容もぺらぺらと捲っていく。

 こちらの内容も、叩き込まれた内容が書かれていた。

 基本となった本が違うから気付かなかった。


 「どしたん?」


 シャラ・スーが私の行動を気にしてか、声をかけてくる。

 それに対して、私は、


 「いや、この課業って、一年でこれだけの内容を教えるのかなって思って」


 「そだよ」


 これは、一度教科書にしっかりと目を通さないといけないな。

 意外と、アイリーン義母様は、私に色んな事を教えてくれていたのかもしれない。それも、大学院で苦労をしないため、十分すぎる内容を。

 ありがたい。

 これなら、小さなところを再確認するだけで済みそうだ。

 これならやっていける。


 「シャラ・スー」


 「ん?」


 「私、槍だけの小娘じゃなかったみたいです」


 「なんだい、そりゃ」


 だって、教科書の中身、全部分かりますから。

 例えば今受けている戦争史。

 この大学院で学習する内容は、高等部で習う戦争史をさらに深く掘り下げた物になるそうなんだけど、アイリーン義母様から教わった知識は、この戦争史の教科書のもの以上の内容だった。

 より実践的な、実際に戦争の前線に立つ者としての立場から教えてもらっている。

 この分なら、戦略や戦術の課業でも、後れを取る事はあるまい。


 「なに?アイリもあっち側の人間?」


 「っぽいですね」


 シャラ・スーは前を向いたまま、


 「そっかー、アイリも、あっち側か」


 そう言って、頬杖を突いた。

 悪いね、シャラ・スー。


 「あたしにも勉強を教えてよ」


 そのくらいの知識でしたら分け与えますから。

 頭に叩き込むのは自分でしてもらうけれど、手伝いはするから。

 じゃぁ、


 「ロスティも呼びましょうか」


 「あの娘には諦められてるんだよね」


 「諦められるほど、勉強ができないのですか?」


 「まぁ、ギリギリ及第点なんだけどね。もうちょっと余裕が欲しいかなって思っているんだ」


 「どうして諦められたんですか」


 「ん-、仲が良いから、かな」


 と、自分の我儘が出るし、ロスティが甘やかすから、とシャラ・スーは言った。

 心外だな。


 「私は、シャラ・スーと仲良くしていると思っていたのですが」


 「でも、アイリは甘やかさないでしょ」


 「それは、やるからには厳しくいきますが」


 「ドSだもんね」


 「それは風評被害になるので、今後言わないでいただきたいものです。殴りますよ」


 この娘は、私の事をドSと思っているのか。

 こんな優しいおじさんを捕まえて、ドSとは、風評被害も甚だしいんだが。

 そんな会話をしていると、


 「そこ、うるさいですよ」


 教授に叱られる。


 「すみません」


 二人揃って謝った後、顔を見合わせて、二人で微笑みあった。


面白かったらブクマ、評価の程よろしくお願いいたします

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