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ゲーム内でチートと言われてきた能力をガン積みされて若返り異世界転移したおっさんですけど、性別が女の子でした  作者: echo


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19 思わぬ所に落とし穴がありました

 城のあてがわれた自室でお茶をしていると、


 「アイリ様、辺境伯様がお呼びです」


 辺境伯家のメイドに、そう言われた。

 はて。

 淑女教育はお義母様がやっているから、義父様はノータッチのはずだが。

 何の呼び出しだろう。


 「執務室の方へ」


 そう言われたので、私は一人、義父様の執務室へとやってきた。

 ノックして、


 「アイリです」


 そう言うと、


 「入りなさい」


 渋い義父様の声で入室を促された。

 入室するとソファを勧められる。

 素直に座ると、義父様も執務机から立ち上がり、私の前に座った。

 金貨を二枚、テーブルの上に置く。


 「アイリ」


 「はい」


 「この二枚、見分けがつくかな?」


 そう言われて、金貨を手に取って見るが、その両者に違いは見つけられなかった。


 「いえ」


 「だろうね。私にも、もはやどちらがどちらだったのか判らないくらいだ」


 「この金貨が、どうかされたのですか?」


 「この金貨の片方は、先日、貧民街から出回ったものでね。調べてみると、アイリ、君の懐から出たものらしいじゃないか」


 「あぁ」


 そのお金ね。

 それがどうかしたのだろうか。


 「それが、どうかされましたか?」


 「一万枚もの金貨、君は何処から手に入れたんだい?」


 私が金貨を持っていたら、何かおかしいのだろうか?


 「アイテムボックスに入っていた金貨を、そのまま使用しましたが」


 「あと、幾ら持っている?」


 「26億ほどですが」


 「そんなにあるのか」


 何か、おかしい事でもやっただろうか。義父様は、天井を見上げて溜息を吐いた。私がこの世界に来た事情は、すでに話してある。アイテムボックスに装備が入っていた事も、すべて話してある。今更お金が入っていた所で、何で溜息を吐くのだろうか。


 「それは、溜息も吐きたくなるよ」


 と言って、義父様は私に辺境伯家の、というか、この国の事情を説明してくれた。

 現在、辺境伯家は国境の警備を主な任として国から任されている。特産品は魔物の素材程度らしい。

 国の要衝ではあっても、何かを産みだす土地ではない。

 で、国は国境の警備を任せるにあたって、国庫から予算の二十五分の一を出している。

 その額、金貨で1億枚。

 それで人を雇い、騎士を養い、領地を運営しているのだそうだ。

 そこで予想がついたので、私は義父様に質問をした。


 「つまり、私個人が、国が鋳造したわけでもない、訳の分からない所から26億もの金貨を出したら、経済に影響を及ぼすという訳ですか」


 「物価が高騰して、金貨の価値が下がるだろうね」


 そして、それは辺境伯家だけではなく、国全体に影響を及ぼす可能性があると義父様は言った。

 参ったな。

 私は騎士を雇うつもりだったのだが。


 「いや、それを王都でやられると、辺境伯家に翻意ありと取られて粛正の対象になるからやめて欲しいな」


 ふむ。

 貴族ってのも、意外と柵に囚われていて、大変なんだな。


 「まぁ、神様から賜ったお金だから、私としても使うなとは言い辛いんだけど、出来ればあまり物騒な方向で使うのは考えていて欲しいかな」


 騎士は三十名を辺境伯家から貸し出すから、と義父様は言った。

 うーん。

 これは。

 金貨はとりあえず封印かな。

 仕方ない。

 義父様の言葉には従っておこう。


 「分かりました」


 私は立ち上がりながら、


 「お金に関しては、少しずつ出していく事にします」


 「物分かりが良くて助かるよ」


 義父様とやり取りをして、執務室を後にした。

 しかし。

 うーん。

 参った。

 リーズディシア嬢の話では、最初に婚約破棄が行われた際に五十名ほどの王太子直属の騎士と渡り合わなければならないとの事だったので、三百ほどの私兵を集めていたら数で圧倒できると思っていたのだが、それは叶わないらしい。

 フェンデルトン家の騎士が三十と、辺境伯家の騎士で三十。

 数は互角になるだろう。

 リーズディシア嬢を安全に公爵領に逃がすためには。


 「お帰りなさいませ」


 「メイジ・プル」


 「はい」


 「騎士を強くするためには、何をしたら良い?」


 この世界でのレベルの上げ方を知らないといけない。

 練度で圧倒するしか無いからだ。


 「訓練するしか無いかと」


 「そう・・・・・・」


 訓練、か。


 「メイジ・プル」


 「はい」


 「皆に伝えてください。各自、一年の間に戦闘の練度を上げておくように、と」


 「心得ました」


 まずは身近な所から始めて、


 「騎士の訓練は、私が行います」


 騎士は私が鍛えよう。

 王都に行って。

 王太子の直属の騎士がどの程度かを知らなければならないな。

 やる事は腐るほどある。

 そもそも、内乱は起こらないかもしれない。

 起こさせないために、何かが出来るかもしれない。

 起きた時の備えをしておいて、出来るだけ内乱を避ける方向でいかないと、他の国からの攻撃は免れないという事は聞かされた。

 そうなれば、まず戦地になるのは、ここ、ストーニアだ。

 さて。

 王太子を誑かしているという女性も調べないといけない。

 ただ王太子を欲しがっているだけの小娘なのか、権力を握ろうとしている誰かの駒なのか。

 王太子も馬鹿ではあるまい。

 十七八で立太子を行っているくらいだ。

 相応の教育もされているはずだ。

 リーズディシア嬢との婚約破棄を一方的に行って愛に生きるなど、許されない事くらい理解している、と思いたい。

 はぁ・・・・。

 溜息を吐きたくなる。

 今のところ。

 希望的な観測しか出てこない。

 五日後から、私は王都に行く事になる。

 何が待ち受けているか。

 この目で確かめないといけないな。

 リーズディシア嬢が予見した未来を変えられると良いんだけど。

 さぁ。

 波乱含みの学園生活が始まる。


面白かったらブクマ、評価の程よろしくお願いいたします

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