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ゲーム内でチートと言われてきた能力をガン積みされて若返り異世界転移したおっさんですけど、性別が女の子でした  作者: echo


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10 やっと来てくれたテンプレかと思いきやなんですよ

 ハンスさんの鍛冶屋を出て、私達は東の商業街にやってきた。

 宿を取る為だ。

 流石に良い時間になってしまったため、一晩をこのストーニアで明かす事にしたのだ。

 宿は、質も金額も良い所を取った。

 女二人では、犯罪に巻き込まれる可能性があるというメアリー・プルの意見を取り入れたのだ。

 治安は良いと思っていたのだが。

 夜になれば街は別の顔を見せるらしい。

 そこはまぁ、日本の常識は通用しないか。

 ま。

 一階の食堂に食事に行く位は、問題無いらしいけれど。


 「お嬢さん、一緒に呑まねぇか?」


 そうでもなかったらしい。

 三十半ばのおっさんに絡まれた。

 内心思った。

 テ・ン・プ・レ、キター、と。


 「いえ、結構です」


 澄まして断ってはみたものの、実は嬉しかったりする。

 だって、こういう絡まれ方をするのって、入門する際に声をかけられて以来じゃん?

 これは、一緒に飲むだけなら構わないかな、なんて思っちゃったりもしたりした。

 だってこの人、下心丸出しだけど、連れ込もうっていう所まで持っていく気が無さそうなんだもんよ。

 すっかり出来上がっていて、女を抱こうなんて気になってそうも無いんだもんよ。


 「まぁ、そう言う冷たい態度を取らず、な?一緒に飲もうや」


 ここでどう出たら良いか。

 メアリー・プルを見たら首を横に振っているが。

 ここは。


 「あ、そういうのは良いんで」


 テンプレ通り、断っておこう。

 そうしたらおじさんは、


 「んだよ。つれねぇなぁ」


 そう言って、素直に引き下がった。

 あ、ちょっと?

 ここは、もっと絡んでくる所でしょう。

 絡んできて、私の強さを見せつける所でしょう。

 あ、ちょっと?

 あー。

 行っちゃったよ。

 メアリー・プルはすまし顔で二人掛けのテーブル席に着こうとしているが、私は内心、がっかりしていた。

 骨のある奴、カモーン。

 と、周りを見渡しても、もう誰も私達の方を見ている人は居ない。

 っんだよ。

 もう良いよ。

 私はメアリー・プルに倣って席に着いた。


 「男に絡まれるのは嫌だったのではないのですか?」


 「嫌だよ」


 私は女の子の方が好きだからね。

 だからと言って肉体関係を持ちたいとも思わない。

 女の子は見て愛でているくらいが丁度良い。

 やはり、元がおっさんだからなのだろうな。


 「では、何故残念そうだったのですか?」


 それは、古き良き異世界転移ものの定番である事を知っているくらい、来たからには体験してみたいと思うくらい、私がヲタクだからだ。

 その私の主張を、


 「ちょっとよく分かりませんね」


 メアリー・プルは無表情に切り捨てた。

 分からないかー。

 ま。

 分からないよね。

 日本の文化だし。


 「それに、変に絡まれて喧嘩になって兵士が来たりしたら、よそ者である私達の方が不利になりますよ」


 「なんで」


 「私達は、短期滞在の完全なよそ者ですから」


 そんなものなのか。


 「あの男も市民ではないでしょうが、この宿に長期滞在している冒険者と見ました。ある程度宿も利用しているようでしたし、信用はあちらの方があると思われます」


 「そんな事ぁ、ないさ」


 と、メアリー・プルとの会話に横やりが入った。

 見ると、恰幅の良いおかみさんが料理を手に私達の横に立っている。私達の席に配膳をしながら、


 「あの男、Cランクの冒険者パーティの一員なんだけどさ、酒癖が悪くてこっちとしても困ってたんだよ。あんたが勝てる相手とは思えないけど、それでも問題を起こしてくれてたら叩き出せたんだけどね」


 そう言ってきた。


 「それが解っているから、必要以上に絡んでこなかったと?」


 「多分、そうだろうね」


 なんだ、つまらないな。


 「安心して良いよ。この店で絡まれるなんて事は、まず無いから」


 「そうなんですか」


 うーん。

 もうちょっと、安い宿にしておけばよかったのかもしれない。

 都会に来たからには、私はテンプレがある事も視野に入れていたんだけど。


 「アイリ様は、ご自分の魅力を、今一つご理解頂けていないようですね」


 「そうだよ。あんた位可愛かったら、夜寝ている時に襲われて、犯されるよ」


 うーん。

 それはそれで、嫌だな。

 睡眠はしっかりと取りたい。

 てか。

 宿に泊まっていても侵入されて犯されるの?

 治安、悪すぎじゃね?

 歓楽街とか、無いの?


 「ありますよ」


 「あるんだけどね」


 「アイリ様のような見目麗しい方は、かなり値が張りますから、Cランク以下程度の冒険者では手が出ないんですよ」


 「はぁ・・・・・・」


 私は溜息を吐いた。

 そっち側のテンプレか。

 悪人がある程度いる感じのテンプレか。

 私は完全な物理特化型の戦士だ。

 防犯の結界を張ったりする技術は、全く持っていない。

 この宿、防犯設備はしっかりしているんだろうな。

 おかみさんを見ると、


 「安心しな。うちはしっかりとお代を取る代わりに、防犯面もしっかりとしているからね」


 どうやら、警備のために人を雇っているらしい。

 それなら安心か。

 しかし。

 思った様には行かないものだな。


 「そんな、アイリ様が思うような、都合の良い治安なんてありませんよ」


 そうだね。


 「あんた、喧嘩がしたいのかい?」


 おかみさんの言葉に、


 「喧嘩をしたい訳じゃないんですよね。ただ、テンプレが・・・・」


 と、返す。

 私の望みはテンプレを体験する事だが、


 「まぁ、諦めておくれや。うちじゃ、そう言う事はあり得ないから」


 おかみさんの言葉で諦めざるを得ないという事を知らされた。


 「仕方ありませんよ。そういう宿を取ったのですから」


 メアリー・プルが私にそう言う。


 「それよりも、食事にしましょう」


 「そうだね」


 「期待してくれて良いよ。うちは食事が自慢なんだよ」


 「そうさせていただきます」


 そう言って、私はフォークとナイフを手に取った。

 食事はテンプレ通り、非常に美味かった。


面白ければ、ブクマ、評価の程よろしくお願いいたします

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