表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1話

正文(まさふみ)ったら!」

「うん…?」

 俺は声が聞こえてきて目が覚めた。

 昨日夜更かししてゲームをしていたせいか、いつの間にか昼寝をしていたらしい。

  「 ちょっと!どれだけ寝てるの!たまには家事の手伝いぐらいしなさい!」

「え〜…」

 俺はニートだ。

 親のスネをかじり、

 一日中家でゴロゴロしてゲームをしている。

 それが俺の日常。

「ほら、せめて米炊いてくれない?米は廊下にあるしとってきて!」

「ごめん…眠たいからもう少し寝させて」

「本当にもう!これだからニートは!」

母さんは俺の事を愚痴愚痴言いながら、廊下に続く扉を開けた。

 「全く!米ぐらいニートでもや…」

「…?どうしたの母さん??」

 突然母さんの声が止まったので思わず聞いた。

「母さ…」

 返事が無くてもう一度声をかけようとした瞬間、母さんは後に倒れた。

母さんの腹部から血が流れていた。

「母さん!?大丈夫!?すぐに救急車呼ぶから!!」 

 グサッ

「…?」

 突然、俺の首筋が熱くなった。

 暑くなって……あれ??

 おかしいな…どうして、俺の身体がそこにあるの??

 頭がボーッとして何も考えられなくなった。

 そして意識が遠くなっていく。



「うわあああ!!」

「何!?突然大声出して!?」

 母さんがびっくりして俺の方を見た。

「首が…!首が無い無い無い!!」

「何言ってるのよ!」

突然奇声を出した俺の傍に母さんが来た。

「母さん!!俺の首ある!?あるよね!?」

「本当にどうしたの!?あるに決まってるでしょ!!」

 俺は急いで首に手を当てて確認した。

 しっかりと首は繋がっていた。

「あんた、さては寝ぼけてるのね??何?首を切られる夢でも見たの??」

「夢?」

「びっくりさせないでよね全く…、寝ぼけてないで家事でも手伝いなさい。」

「う、うん…」

なんだ…さっきのは夢だったのか…。びっくりした…本当に首を切られたのかと思って焦った。

 それにしてもリアルな夢だったな…。

「ほら、せめて米炊いてくれない?米は廊下にあるしとってきて!」

「ごめん、眠たいから…」

 あれ?なんかさっきもそんなこと言ってたような…。

「本当にもう!これだから…」

「やっぱり俺がやるよ!」

「そう?なら助かるわ」

 さっきの夢の内容を思い出してなんだか気味が悪い。

 廊下に続く扉を開けたら母さんは倒れたよな?誰かいたのかな??

 怖い思いをしたが、夢の続きが少し気になった。

 俺は廊下に続く扉を開けた。

 グサッ

「…は?」

 ナイフが俺のお腹に刺さった。

 俺はわけも分からずその場に倒れた。

 ナイフとお腹の隙間から血が溢れ出した。

 俺は不意に前に目をやった。

俺の前には仮面を被った全身黒ずくめのスーツを着た人が立っていた。

「…?なんか物音するんだけど、なんかあった?」

 そう言って母さんが廊下の扉に近付いてきた。

「母さん…き、来ちゃダメだ!!」

 俺はそう言ったが、母さんは聞こえてなかったのか廊下の扉に来てしまった。

「正文!どうしたのよ!?一体何が…」

 母さんは俺に声を聞けたが、全てを聞く前に母さんは首を切られた。

 身体から出る血がブシャーと音を立てて頭と身体が離れた。

「母さん??…う、うわあああ!!!」

 俺は奇声を上げた後、黒ずくめのスーツの人に頭を殴られてそのまま気を失った。



「うわあああ!!!首ッいいい!!」

 俺は奇声を上げて飛び起きた。

「何?突然どうしたのよ!?」

母さんがびっくりして俺に声をかけた。

「母さん!」 

俺は母さんに駆け寄り思わず抱きしめた。

「正文!?何よ〜本当に、どうしちゃったの??」

「母さん!早く逃げよう!!」

「ええ??」

「お願いだ!母さん!信じて貰えないかもしれないけど今凄く危険な状況なんだ!一刻も早く逃げないと!!」 

俺は戸惑う母さんの手を無理やり引っ張ってキッチンの付近にある扉を開けた。

交番に走って知らせないと!そしたら俺たちは助かる。

「母さん!急いで!早く交番に…」

ニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナ

 突然俺の頭にそう声が聞こえてきた。

 なんだこの声は…?

 俺は無視して母さんを連れて外に出た。

 そしたら突然、頭がとてつもなく痛くなり、俺はその場にしゃがみ込んだ。

 早く逃げないと行けないのに…。

 痛みのあまり、俺の身体が言うことを聞いてくれない。

 俺はそのまま意識を失った。



「う……」

 俺はまた目が覚めた。

「ちょっと!どれだけ寝てるの!たまには家事の手伝いぐらいしなさい!」

「またこの台詞か…」

 俺はボソッと呟いた。

「え?なんて言ったの??」

 母さんが聞いてきたが、俺はなんでもないと答えた。

 絶対にこれは夢じゃない。さっき感じた頭痛がまだ少し残っている。

 そして、ナイフに刺された生々しい感覚。あまりにもリアルでこれを夢だと言うには可笑しいぐらいだ。

 さっきは突然刺されて頭が真っ白になっていたが、何回も繰り返しているうちに少し落ち着いてきた。

 初めは母さんも刺されて、俺も死んだ。

 2回目は俺が刺されて母さんも死んだ。おそらく俺もその後すぐに死んだと思う。

 3回目は逃げようと外に出たが、俺の頭に直接話しかけてきた何者かに邪魔をされた。

 ニゲルナニゲルナと同じ言葉を連呼していたが、警察や周りの人に助けを求めることは許されないのか?

 というか一体何者なんだ?俺に話しかけてきた奴もそうだが、俺や母さんを殺した奴も誰なのか検討もつかない。

 俺は決して誰かに恨まれるようなことをした覚えはない。同様に母さんもだ。

 どうすればこの回帰は止まるんだ??

 俺はしばらく考え込んだ。

 そう考え込んでるうちに母さんはテレビを付けた。

ちょうど12時になり、母さんは昼の12時から始まるニュース番組を見始めた。

 ジカンギレジカンギレ

「へ?」

俺の頭に直接声が聞こえてきた。ジカンギレ…時間切れだって!?何で時間制限あるんだよ!?

 今度は一体何が…、

  ドーン!!

 廊下に続く扉が大きな音を立てて思いっきり開いた。

そこには、さっきも見た黒ずくめのスーツの人が居た。

 突然現れたかと思うと、そいつは一瞬の間に母さんのお腹をナイフで刺した。

「正文…逃げ…」

  そう言って母さんは地面に倒れた。

「ひ!殺さないで…お願いだから!何でもするから!」 

俺は地面に頭をつけて土下座した。

 黒ずくめの人は少し黙った後ボソリと呟いた。

「…ごめんね。痛くしないようにするから」

 そう言って黒ずくめの人は俺にナイフを振りかざした。




「はっ!!」

 俺は再び目を覚ました。

過去に戻ったのか確かめる為に時計を見た。

 今は11時50分だ。

 時間切れの声が聞こえたのは12時だったので猶予は10分間。

 それまでの間に俺たちはこの危機から脱しなければ行けない。

 逃げ出すことは出来ない。

 ということは、俺たちが今するべき事は、これから殺しにくる黒ずくめの人を倒さないといけないのか…。

 そして黒ずくめの人が最後に言っていた言葉。

 何か気にかかる。

 初めて声を聞いてわかったのだが、黒ずくめの人はおそらく若い女の人だ。

 僕たちを殺しに来た割には、想像していたよりも声も怖くなくて、悲しそうな言い方だった。

 もしかして、誰かに命令されて仕方なく殺したのだろうか…。ということは他に黒幕が居るのか??

 色んな考察が浮かび、頭の中が困惑してきた。

 …あ!しまった!時間があるんだった!

 考えるのも良いけど、何もしないまま死ぬのは絶対に嫌だ!

 前回は一瞬だったせいか奇跡的に痛みが無かった。だが、死ぬ時の痛みは想像を絶する物だ。何回繰り返してもこの痛みに慣れることは決して無いだろう。またそんな痛みを食らうなんて御免だ。

  俺は立ち上がった。

「ちょっと!聞いてるー?家事の手伝いぐらいしなさいよ!」

 「はいはい、分かった」

 俺はそう言ってキッチンに来た。

「母さんは野菜切るから正文は米を取ってきてくれない??」

 そう言いながら、母さんはまな板と包丁を用意した。

「あ!それ貸して!」

「何を?」

「包丁!」

 俺は母さんが持ってる包丁に指を指した。

「包丁って…、一体何に使うのよ?」

 母さんは疑うように俺の顔をジロジロ見た。

「えっと〜…米とか?」

「はぁ??」

 ますます不審そうに俺の顔を見た。

「もう冗談だって!!今日の料理は俺に任せて!野菜も切るから!」

「え?いいのよ。それぐらいは私が…」

「あ!この後、雨が降るらしいよ?さっきニュースで見たんだ!そういえば、外に洗濯物干てたよね??大丈夫かな?」

「なんだって!?」

 そう言って母さんは慌てて外に干してある洗濯物を取りに行った。

 俺はまな板に置きっぱの包丁を手に取った。

 これで突撃するか…。

 俺は廊下に続く扉を開けようとした時、あることを思い出した。

 あ!そうだった!金平糖!

 俺は金平糖の瓶が置いてあるテーブルを見た。

 その瓶はテーブルの上に置いてあったが、空になっていた。

 しまった!寝る前に全部食べたんだった!

 突然語り始めるが、俺は金平糖が好きだ。

 そして、俺にとって金平糖は勇気が出る魔法のお菓子なのだ。俺は陰キャなので授業中の発表会の時は人が沢山いる為、偉く緊張した。

 その時に金平糖を食べると、不思議なことに、緊張せずに落ち着いて発表出来たのだ。

 まぁ…普通の金平糖なので、魔法ももちろんかかってないし、気休め程度だと思うが…。

 けど金平糖の瓶は空だ。

 敵に立ち向かう前に食べたかったけど無いなら仕方ない!敵のことはほとんど分からないが、時間切れで死ぬぐらいならこのまま突撃した方が良いだろう。

 俺は包丁を強く握り締めて廊下へ続く扉を開けた。

 すると、そこには案の定、黒ずくめの人が居た。

 黒ずくめの人は素早い動きで俺に近付いてきた。

 動きが早すぎて追いつかない!やばい!

 俺は咄嗟にお腹を手で覆ってしゃがんだ。

「…っ!」

 俺が突然しゃがんだせいか、黒ずくめの人は少しビックっと体を震わせ一旦停止した。

 だが、次の瞬間、さっきの事は無かったかのようにまた素早い動きをした。

 俺は首を手で覆って守った。

 黒ずくめの人はそのままナイフで俺の首を切るのかと思いきや、

「貴方…」

 そう言って黒ずくめの人は動きを完全に止めて俺に話しかけてきた。

「…は、はい!?」

「貴方!どうして私の動きを読めるの!?」

「ええっと…それは…」

 俺は口をごもらせた。

「一般人だから可哀想だと思ったのに!本当は悪党だったのね!」

「なんでそうなる!?君こそ人を殺そうとしてる悪党だろ!!」

「ち、違うわよ!」

 そう言って黒ずくめの人は怒った。

 だが、思ってたより口調が幼い女の子みたいで戸惑った。

 「なぁ、もしかして小学生??」

「はぁ!?からかってるの!?」

「だって、見た目より声が幼いと言うか…子供だよね君…、多分」

 「…!!、そっか。バレちゃったか。バレたなら仕方ない。聞きたいこと沢山あったけどここでお別れだね。」

 そう言って黒ずくめの女の子?は俺にナイフを向けた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ