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月と異世界と銃火器と  作者: 唸れ!爆殺号!
第二章 双輪のワルツ
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第二十三射 あの子と助言と恋バナと

「それで、私のところへ来た、と?」


「うん。なんかダメだった?」


「…………なんというか、君はもう少しものを考える知能を付けたほうがいいんじゃないかい?」


ポトリ、と点滴の雫が落ちる音。既に意識を取り戻しているにもかかわらず、彼女の体は体外からの栄養をうまく摂取することができないという。食事を戻してしまうのがその一番の原因だというが…………人生のほぼすべてを賭けた計画が失敗したのだ、まぁ分からなくもない。


彼女の名は桜木・スノウフル。つい先日まで『使者の茶会(ティーパーティー)』最高権力者、『序列一位(ホスト)』として信者をまとめ上げていた少女だ。元から小さかった彼女の体からさらに栄養すら失われたことで、いまやガリガリの超不健康体だった。そんな彼女はあの日弾丸に右肺を撃ち抜かれてから眠り続けており、最近になってようやく目を覚ました、とは聞いていたのだが、こうして会うのはあの日以来だ。


「おいお前、アタシの親友に喧嘩売ってんのか?返答次第でお前の人生が左右されることを理解してから返事をするんだな」


「単細胞にサターシャくん、そしてもう一人は知らない子だが………………君たちの行動は理解不能だよ」


「あ?今アタシにもケンカを売ったなお前?よし、サターシャどけ。こいつの本質が崩れるまで殴ってやる」


「やれるものならやってみるがいいさ。私は既に君たちの『先生』の後ろ盾を得ている、もしこの私に手を出せば君たちはそろって処分対象だがね!」


「鏡花!ステイ!桜木さんもやる気にならないで安静にしてなさい!あぁもう、何でこんなことになるのよ!!」


「ふ、ふぇ…………」


後ろであたふたしながら私たちを見守るスミスさんがただひたすらに不憫だった。



「ふぅん、演劇か。いかにも俗っぽくていいじゃないか。その内容が恋愛ものであるのにもかかわらず台本の助言を私に求めに来ていなければもっとよかったんだがね」


「まぁそういわずに…………その年であの教団をまとめてたんだから色恋営業でもしてたんじゃないかと思って。ね?」


「何が『ね?』なのか全くもって理解に苦しむが…………それに私の貧相な体を見てそんなことが言えるとは、よほど君の性癖は歪んでいるらしいね」


「なあサターシャ、やっぱり一発殴っとかないか?」


もうそのほうがいい気がしてきた。


先ほどの喧嘩ムードを桜木さんをベッドに押し返し、鏡花を一発殴ってなんとか解決したのに桜木さんはガンガン喧嘩を売ってくる。歩夢さんに対してはこんなじゃなかったのに…………


「さぁさぁ帰った帰った、悪いが私に手伝えるようなことは何一つないよ。もし病床についた病人役が必要なら誰より適任だとは思うがね」


もちろんそんな役はいらない。いや、あってもいいかもしれないけど。


「あの…………」


と、唐突にスミスさんが声を上げた。先ほどまで空気だったハズなのにいつの間に人体錬成したのだろうか。


「私、この人が必要な気がします。えっと、桜木さん…………でしたよね?」


「そういう君は…………」


「あ、私はレイン・スミスです。よろしくお願いします。それでさっきの話の続きなんですが、私、長年男女の尊いを摂取し続けてきた影響か、そういうオーラが見えるようになってきたんです」


…………へ?


「ちょ、皆さんなんて顔してるんですか!?本当です!本当なんですって!!」


あまりに荒唐無稽すぎて桜木さんすらフリーズしてるよ。


「…………わ、分かったわ。続けて?」


「す、すごく釈然としませんが…………それで、見えるんです。本当に見えるんですけど…………桜木さん、あなた思いを寄せている人がいますね?」


「…………っい、いないが?」


分かりやすいなぁ。あからさまに頬を朱に染め(何なら耳まで真っ赤だ。赤いガン〇ムもビックリだろう)、先ほどまで触りもしなかった髪をいじりだす始末だ。


「あ、でもそれって歩夢さんのことじゃない?前あった時歩夢さんにはすごい好意的だったし」


「い、いくら何でもそんな理由で恋愛対象まで狭められても困るのだが…………私の対象範囲に女性はいないよ」


くそ、違ったか…………やはり私の色恋センサーはかなりあてにならないようだ。


「じゃあ誰なんだ?この桜木とか言うやつはちょっと前まで悪いヤツらの元締めだったんだろ?その時の知り合いって線もあるぜ」


「流石単細胞生物は思考回路が単純でいいねぇ。人生…………いや単細胞生物生が楽しそうで羨ましいよ」


「…………ぜってえ殺す」


獣のように唸る鏡花をどうどうと何とか抑えながら私も思考を巡らせてみる。彼女との付き合いは長いほうではないが、そもそも彼女にかかわっている存在のほうが少ないはずだ。その中で男性は…………


「桜木さん…………つかぬことをお伺いしますが、そのお相手ってもしや…………」


先ほどから押し黙って色恋センサーをフル稼働させていたスミスさんが満を持して口を開いた。さあ、彼女の口から正解が飛び出すのだろうか?


「もしかして、ヘイムダルか?」


ただ、ちょうど思いついただけ、といった感じの軽いセリフだった。このセリフを発した鏡花自体もそれほど確信をもって言ったわけではないだろう。ただの、ほんの、思いつき。しかしそれは、単細胞生物のように単純な消去法から導き出されたその答えは。


「………………」


先ほどよりももっと赤くなりながら顔を伏せ、小さく震える桜木さんの小さな首肯により、正解であると証明された。


………………………………………………


「「えええええええええええええええ!!!!!!!???????」」


どうやら分かっていたらしく「やっぱりな」と言わんばかりに頷くスミスさんを除いた私と鏡花の驚きの絶叫が病棟中に響き、駆け付けたナースさんにこってり絞られたのはまた別のお話…………



どうも唸れ!爆殺号!と申す者です。もし私のもう一つの作品『あなたは神を信じますか?』をご覧になられているなら一日ぶり、それ以外の読者の皆様はお久しぶりです。今回の話は短めですがいったんここらへんで切って、次回は綺麗につながる感じにしようと思います。なぜか続きにしたくない時って、ありますよね…………ありません?

まあそんなことは置いといて、ついにこの作品『月と異世界と銃火器と』の総PVが1000を突破いたしました。いぇい!皆様いつも私のアホ丸出しの文章を読んでくださりありがとうございます。こからもどんどん続いていきますので応援のほどよろしくお願いいたします。

それではまた、次回の更新でお会いしましょう…………

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