白銀遭逢
俺の名前はフレッド。人格はクズ。職業は聖騎士。
迷宮都市リノレガミン。大陸唯一の迷宮を持つ国家。
そこでいつも通り俺はソ・ロ・で迷宮に潜る。目指すは第二層。
そこで行うのは魔物相手への暴力、殺戮、強奪、蹂躙。
人間相手に行ったら間違いなく地獄に送られるであろう暴虐。通称、狩りだ。自分で言うのも何だが迷宮探索者、通称冒険者なんてクズにしかできねえ。殺戮と略奪という許されざる行為を日常にして生きていられる人間なんてどこかネジが外れたクズだけだ。
それから1時間程狩りをしている時に気づいた。人らしき影が首刈り兎の群れに襲われている。
その上周りの冒険者は誰も助けに行く気配は無い。知らない冒険者がくたばろうと何も損は無いからだ。この悪意の迷宮で他者を助ければ確実に足元を掬われる。迷宮内では善意なんて吹けば飛ぶようなクソの役にも立たないチンカス未満のゴミだ。
何より下手に他者を助けようと善意を振り絞った結果死んでしまうなんて最悪の死に方だ。
悪事を行って死ぬ。これは良い。必賞必罰に伴う当然の結果だ。
善行を行って得を得る。これはものすごく良い事だ。
では善行を行って死ぬのは? これはダメだ、理不尽過ぎる。
そもそも下手に善意を出したところでメリットは無い、やる理由もない。
それでも……それでもだ。暴虐に晒される中誰にも助けてもらえないのはキツイよな。分かるよ。
気づいたら足が前に出ていた。
クソッタレ、てめえらが助けにいかねえから俺が助けに行かないと行けなくなるじゃねえか、何でお前ら俺なんざよりは善良でまともなのにいかねえんだ。
そして何でカスの俺が善行なんかしてるんだ。
もう良い、クソッタレ 一回だけ……アイツにたすけられた一回分だけここで返す。
倒れた人間に駆け寄り白魔術第三位階〝雷撃魔術〟を詠唱する。
拡散する雷により複数の敵を粉砕する範囲魔法が首刈り兎達の命を刈り取った。
もうこれはだめだろうなと思いつつも首刈り兎に群がられていた被害者に近寄る。
倒れていたのは10代後半に見える少女であった。そしておっぱいがデカい
黒髪黒目の本当に今まで見たこともない美しい少女だ。そしておっぱいがデカい
本当に美しいものを見た時人はどうなるのだろう。俺の場合は背筋が凍り体温が上昇するという矛盾が体内で行われていった。
心臓に手を当てることで心音確認をする。よし! ある! やった! そしておっぱいがデカい! デッッッッッッッッカ!!!
…見惚れている場合じゃねえな早く連れて帰ろう。
後世に伝えられる英雄フレッド、通称〝白銀〟の英雄譚はここから始まった。
未来の英雄が現美少女の元ネカマのおっさんに恋する地獄絵図が始まったとも言えるが。