§ 009 ~論文の行方~
「ディアナ!起きろよ!朝だぞ!そしておいらは、腹が減ったから何か食わせろ!」
といってチトセは昨晩の大勢の人の前でした名推理の反動で倒れてしまったディアナを起こすのだった。
「ぅ、ぅるさ~い!」
そう言ってディアナはベッドから立ち上がり、毎朝のルーティンをこなし始めるのだった。コーヒーを入れてそれを一口飲むとだんだん覚醒し始めて、さっそく昨晩のことを思い出す。
「!!チトセ、あの後どうなった!」
とディアナが聞くと、
「あー、そのことなんだが、国王さんが起きて朝食をとってから玉座に来なさいって言ってたぞ。」
「そ、そうなの。わかったわ。さっそく朝食にしましょう。」
そういって、今日はメイドが朝食を持ってくるのを待たずに、ディアナの旅のバックに入っている木の実などを取り出して、それをチトセと一緒に食べるのだった。木の実だけでは腹は膨れないのだが、正直ディアナはこんなことは気になどしないのだ。
軽い朝食をとったディアナとチトセはさっそく玉座へ向かおうとすると。
コンコン「おはようございます。ディアナ様。朝食の準備ができましたので、持ってまいりました。」
ちょうど出ようとしたところに朝食を持ってきたメイドが部屋に来てしまったのだ。
「す、すみまー」
「すまんが、今から玉座に行くから朝食はいらないよ。それに、もう軽い朝食をとってしまったので大丈夫だ。」
とチトセが先に朝食を断ったのだ。
「分かりました。それでは私はこれで。」
そういって、メイドはおそらく食堂へと戻っていったのだった。
「ありがとうチトセ。てか、急に私を助けるとか、本当にチトセ?」
「いや、あんたがしゃべると2秒で言えることが、5秒くらいかかって時間の無駄だからだ。俺は、はやくあのユリという女がどうなったのかを知りたいからはやく玉座に行きたいだけだ。」
「そっか。」
そういって、ディアナとチトセは早速玉座へと向かっていくのだった。
行く途中ディアナは人と会うのが嫌なので、少し遠回りをして玉座へ向かいたいのだが、今すぐにでも昨晩のことを知りたいチトセはディアナを引っ張って強引に近道の方で行こうとするのだが、ディアナに抱っこされてしまったチトセは抵抗することができずに、しかたなく遠回りの道で行く事となってしまった。
コンコン「ウィリアム様。おはようございます。ディアナです。」
「入っていいぞ。」
そういわれたのでディアナは扉を開けた。
「すまん、君たちはここから出てくれないかな。」
とウィリアムが護衛に支持をし、ディアナが玉座に入るのと同時に護衛たちは玉座から出ていくのだった。
「昨晩はよく眠れたかな?」
「はっ、はい!」
「そうか、それならよかったよ。」
「ディアナの論文はどうなったんだ?」
とチトセがため口でウィリアムに話しかけるので
「こらチトセ!国王様とお話しするときはちゃんと敬語っていってるでしょ!」
「まーよいではないか。」
「でも…」
「ディアナよ。まず、わしから謝らなければならないことが3つほどある。」
「なんでしょう?」
「まず、あんなコソ泥のメイドを我が城のメイドとして雇ってしまったことに対してだ。そして、二つ目は、アスファラ・ユリを逃がしてしまった。」
「「!!!」」
「どういうことだ。」
「尋問室へと連れて行く途中に急にユリは暴れだしたらしく、その時に護衛がやられてしまい。簡単に逃がしてしまったのだ。」
「そ、そうですか。」
「そして3つ目は、ディアナの論文はまだ見つけることができていないのだ。」
「なに?!家宅捜査組は何をしていたんだ!」
「おそらくだが、家宅捜索をしてる途中に脱走したユリが家へ戻り、そこで兵士を何人も殺してしまったのだ。」
「つまり、今はユリについても論文についても全く何もわからない状態ということですか?」
「そうなる。ディアナよ。心よりお詫び申し上げる。」
といい、ウィリアムは膝をついてディアナに謝罪をした。
「あっ、あの!どうか謝らないでください!私が論文を机の上に放置していたのが悪かったのです。」
「いや、お主は何も悪くない。こちらの不手際で悪党メイドを雇い、それに見抜けなかった。お主の活躍がなければユリは今も何か悪いことを考えながらメイドをしていたに違いないのだ。」
「そうですか。」
「お詫びと言っては何だが、なにかお主の要望があれば聞きたいと思っている。できることならなんでもしよう。」
「本当ですか!?」
「うむ、わしに二言はない」
「そ、それでは、潜入捜査の任を解いてください!」
「それはできないから、それ以外でお願いする。」
「!!!なぜですか?なんでも聞いてくれるのでは?」
「わしはできることならと言った。潜入調査の任を解くのはもう決まったことだから、わしには何もできないのだよ。」
「そんな」
とディアナは泣き崩れてしまった。
「まあ、なんだ、潜入調査の任が終わればお主の給料を2倍に増やそうではないか」
「本当ですか!」
給料が2倍になることを聞いたディアナは、こぼれていた涙を一瞬にして引っ込めて
「それでは、潜入調査の任務を頑張りたいと思います!」
「う、うむ。頼むぞ」
「おーい、ディアナ。お前多分こいつに騙されてるぞ」
「チトセ君。わしを詐欺呼ばわりするのはやめてくれないかな」
「そうだよ、それはひどいからちゃんと国王様に謝って。」
「はいはい、すみませんでした。」
こうしてウィリアムと話し終わったディアナとチトセは玉座の間を出て自室を出ていくことにした。
自室へ戻ったディアナたちはこれからしばらく潜入する学園の入学試験を受けるために勉強を始めるのだった。
半年後、ディアナは無事試験に合格し潜入調査が始まるのだった。
しかし、それはまだまだ大変な一年の始まりに過ぎないのであった。
~~~~~ 第一章 【 完 】 ~~~~~
こんにちは。こんばんは!ディアナです!
これにて第1章は終わりとなります。ご愛読ありがとうございました!!
次回からは第2章!と言いたいところなのですが、筆者さんが大きな学校の入学試験とかで忙しくなるそうなんです。なのでしばらくこの『永円の旅』の投稿はお休みさせていただきます。
次回の投稿は2023年10月1日(日)になります!
この投稿はもう一度この第一章をリニューアルして投稿し始めようと思っています。一年以上間は空きますが必ず投稿しますのでぜひ気長に待っていてください!
また、この1話から9話までは2023年9月30日(土)まで公開しているので、いつでも戻ってきてください!
それではまたお会いしましょう! by ディアナ