表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/52

ガールズトーク②

 イズから借りた氷のコアストーンを体外に放出し、その淡い輝きの中に秘められた大きな力にルカは目を細めた。

 その後、やはりそれを所持するのに自分は相応しくないとイズに返却しようとしたところ、イズが首を横に振って拒否した。


「何のつもり?」


「一つはやっぱりルカちゃんが持ってるべきだと思う」


「……さっきも見たでしょう? 私は氷のコアとは適合率が低い。コア一つ取り込んだところでそれほど力は得られないわ」


「でも、ゼロじゃない。それに……ルカちゃんに宿る力はそのまま兄さんの力にもなるんでしょう? だったら絶対持ってた方がいいよ」


「……あんたはそれでいいの? コアを手放して何にも思わない訳?」


 ルカが所持する闇のコアストーンは全盛期の半分以下。

 自身の力が失われることへの忌避感はよく知っている。

 だからこそ簡単にコアストーンを手放そうとするイズを怪訝そうに見やる。


 単純な力の消失だけでなく、イズにとっては大切な思い出の代物。

 それも踏まえて、氷のコアストーンを譲ろうとするイズはルカにとって信じられないものだった。


「……いいんだよ。それに、私知ってるんだよ?」


「何を?」


「ルカちゃんがその気になれば私のコアなんて簡単に取り上げられる」


「それは……そうでしょうね。あんたの存在は精霊としては淡すぎる」


 イズは精霊でもあり、幽霊でもある。

 そのどちらの性質と併せ持つと言えば聞こえはいいが、その実どちらも中途半端。

 氷のコアストーンへの適正だけで見ればルカを大きく上回っているかもしれないが、氷の精霊としては未完成。


 闇のコアストーンの数は少ないながらも着実に他の属性のコアストーンを集めているルカと純粋な戦闘力で比べるのならばその差は明らかだろう。


「だからだよ。私が兄さんの力になろうと思ったらこうするのが一番……そうでしょ?」


「決意は固いみたいね」


「……うん。私はルカちゃんみたいに強くないし……一つ分けるくらいならどうってことないよ」


「そう……ならありがたく()()()おくわ」


 ルカは返却しようとしていた氷のコアストーンを再度取り込んだ。

 それはあくまでも借り物。他のコアストーンとは違って、力を貸してもらう。

 そのような認識でコアストーンを取り込むのはルカにとって新鮮な気持ちだった。


「この力をうまく使えば……レイを滅ぼせるわね」


「レイ? 誰それ?」


「水の精霊よ。コアは半分ぶんどってるけど今頃どうしてるのかしらね?」


 以前レイがリンと手を組んで襲ってきたのを退けて以来、彼女の音沙汰はない。

 水の力の大半はルカの元にあり、レイが何かしらのアクションを起こしていなければ水のコアストーンの総数もルカの方が上だ。

 氷という新たな力を手にした今ならばレイとの戦闘もさらに楽に事を運べるだろうと悪い表情を浮かべながらぼやくルカにイズが食いついた。


「水の精霊ってことは相性は私の方が有利なんだよね? それなら私でも勝てるかな?」


「ええ、瞬殺よ」


「本当?」


「あんたがね」


「私だった!?」


 ルカの言葉足らずによりぬか喜びをさせられたイズだったが、それもつかの間で希望は即絶たれた。

 仮にレイがコアストーンを失い戦力的に見て弱くなっているとしても、イズが敵うような相手ではない。多少の相性の不利などひっくり返せるだけの実力がレイにはあり、悔しながらルカもそれを認めざるを得ない。


 そんな油断ならない相手にイズが挑もうなどとはルカに言わせれば百年早い。

 精霊として未完で大した力もないイズが、ルカ達と同列に並ぶのは無理があった。


「あんたはとりあえず幽霊体と精霊体の比率を自在にコントロールできるようになる事ね。いつまでも無意識に幽霊になられてたらこっちも困るわ」


「そんな事できるの?」


「知らないけど多分できるでしょ? 最初イズが私達に声をかけてきた時、私はあんたがどこにいたのかまったく分からなかった。でも、こうして薄ぼんやりとしたあんたの姿が見えるってことは二つの状態を操れるはずよ」


 ルカが初めてイズの姿を見た階段。

 彼女が降りてくる姿を目視してなお、彼女がどこから現れたのかは分からなかった。

 それは完全な幽霊状態の透明。


 そして、ルカがイズから精霊の気配を感じ、氷のコアストーンに干渉した際の半精霊状態。更には手が透けたり足が透けたりと幽霊の性質の変化によって、彼女の姿が物理的に変わる。


 その変化が無意識に起こされているのならば、おそらくイズの意思で調節も可能だろうというのがルカの考えだ。


「よし、ちょっとやってみるよ。むむむむ…………」


 ルカの話を聞いて自身の二つの霊体をコントロールすべく意気込んだイズ。

 目を閉じて唸るように念じると、彼女の姿はスゥーと空気に溶け混んでいった。


「どうかな? ちゃんとはっきり見える?」


「いいえ、消えたわ」


「あれ? 見えてない? 私ここにいるよ〜」


「見えてないけどそこにいるのは分かるわ」


「そっか。うーん、幽霊に戻るのは簡単そうだけど、完全精霊体になるのはちょっと難しそうかなー?」


 精霊体を濃くして身体をはっきりと浮かび上がらせようと試みたイズだったが、念じた思いとは逆に彼女の身体は幽霊体に寄せられて透明になってしまった。

 それはこれまで精霊であるという自覚を持たず、幽霊状態で過ごした年月が長いからだろう。


 イズにとっては意識した霊体調節は初めての試み。

 初めから上手くできるとは思っておらず、できたら幸運程度に考えていたルカは、姿を消したまま自身の周りを動くイズの気配を目で追ってどうしたものかと考える。


「精霊の存在を強く意識する感覚……か。コアの力が鍵となるのかしら?」


 精霊としての存在が濃くなる感覚を掴んで欲しいルカは、自身に置き換えて考える。

 自分が精霊として高まる瞬間はやはり、コアストーンが増幅した時。


(それをイズに感じさせればあるいは……。まぁ、ものは試しね)


 ルカはおもむろに水のコアストーンを一つ取り出した。

 それをじっと見つめて、そうすることによる結果を予測できないままに、ルカは姿の見えないイズへとそれを放った。


打ち切りにするか悩んでます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ