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予定外の介入

 連携。

 仲間内で誰かの攻撃にさらに攻撃を重ねたり、離れた場所から援護したり、連携の形は様々。

 しかし、どんな連携に置いても一つだけ確かなことがある。


 それは仲間に合わせる、仲間が合わせてくれるという信頼。

 積み重ねた修練と、それによって紡いだ絆が高度な連携を可能にするのだ。


 だが、そこに異物が混じったらどうなるか。

 当然、どんなに優れた連携も、見る影もなく成り立たなくなる。

 シュウは、シュウ達は失念していた。


 たとえ自分たちの連携がどれだけ完璧で、仲間の呼吸に合わせて絶対に仲間に当てないような援護が可能だったとしても、その仲間にかつての仲間だったジルは含まれていないということを――――。

 仲間の魔法が彼に突き刺さり、さらには自らの持つ剣の描く軌道に入るジルを見て、シュウは思わず目を瞑った。











 意識外から訪れた突然の被弾。

 それによって倒れ込むとまではいかなくとも態勢を崩されたジルの頭は真っ白になりグルグルと回る。


(何だ? 何が起きた? ルカは?)


 色々と考えなければならない中、初めにジルが行ったのは相方である闇の少女、ルカの心配だった。

 自身が受けた攻撃の正体が分からない。ならば近くにいる彼女にも害が及んでいるかもしれない。

 そう思いながらふらついた足に力を籠め、膝に手をついて彼女を見やる。


 そんな彼女の驚いた表情。

 彼女の視線はジルを通してその先、忍び寄る影に釘付けになっていた。


「どけえぇっっ!」


「っ? ルカっ?」


 その後、これまでに見せたことのないものすごい形相でジルを突き飛ばす。

 そして、入れ替わるような形で、止まらない刃をその身で受けた。


「……は?」


 ジルはルカに突き飛ばされたことでようやくその影を見る。

 そして、目の前の光景が受け止められず、呆けた声をこぼす。

 ルカの身体は人間のそれとは違う。

 魔力とコアストーンにより構築されている身体なため、鮮血が舞うなんてことはない。


 しかし、斬り飛ばされた腕が宙を舞うのを見て、ジルはひゅっと息を呑んだ。

 次から次へと訪れる混乱に、ジルは冷静な判断ができなくなっていた。


「ちっ、あんた邪魔!」


 ルカは片腕を失ったことなど気にも留めずに、突如現れた彼女にとっては見たくもなかった胸糞悪い顔の持ち主を蹴り飛ばす。

 そのまま、倒れ込んだジルを担いで飛び退こうとするが、それを黙って見過ごしてくれるほど、敵は甘くない。


「なんか分からないけど、助けてくれてありがとー」


 この状況で最も得をしたのはロアだ。

 ジルが肉体的にも精神的にも崩れたことで、彼の構築した結界は既に無くなっていた。

 そんなジルをフォローするのにルカも手一杯なため、攻撃される心配もなく、ただただ安全に危機を脱したロア。


 状況をめちゃくちゃにかき回してくれた第三者の登場に感謝を述べる。

 追い詰められる側から追い詰める側へと変わった彼女の凶刃が牙を剥いた。


「ぐはっ!」


「ちっ……きゃっ!」


 ロアの作り出した風の刃。

 それが竜巻となりジルとルカの身体をかち上げ、ずたずたに引き裂いた。

 ジルの身体に無数の裂傷が刻まれ、赤い雫を垂らしながら墜落する。

 ルカも受けたダメージが大きすぎたのか、その身体は一つのコアストーンを吐き出した。


「あっ、えへへ。これで七つ。あともうちょっとであの頃の私を取り戻せるね」


 都合の悪いことに弾き出されたのは風のコアストーン。

 それを拾い上げたロアはすかさず取り込んで恍惚の表情を浮かべる。


「……ぐっ、最悪ね」


 ルカは苦しそうな表情を浮かべる。

 残った片腕で落ちゆくジルに触れ、重力反転で浮かせ地面に叩き付けられるを防ぐ。

 しかし地面にゆっくりと下ろされたジルは血を流しすぎているのか意識を失っている。


「ルカちゃんどうする? 私のコアは返してもらったしー、見逃してあげてもいいよっ」


「……くそ」


 このまま終わらせるつもりは毛頭ない。

 だが、立ち向かえるのが自分だけかつどう動くか分からない乱入者の存在もあり、ここから立て直すのはとても難しい。

 そう判断したルカだが納得はいっていないのかギリギリと悔しそうに歯を鳴らす。


「何も言わないってことはもう終わりでいいよね。じゃ、機会があればまた遊ぼうねー」


 ゴオッと強風が吹いてロアの姿が遠ざかる。


(追いたくても追えない。こいつがこんなんだと勝ち目はないし、何より風のコアを失った今機動力で完全に劣る……)


 ギュッと握りしめた拳を地面に叩き付ける。

 拳の跡はくっきりと出来上がっていて、ルカの怒りがどれほどのものか見て取れる。

 その怒りをぶつけるべき相手は飛び去ってしまった。

 だが、振り返ればその矛先を向けるべき者はまだいる。


「ねえ、あんた達。いったいどういうつもり? 返答次第では……ぶっ殺すわよ」


 ゆらりと立ち上がったルカは冷え切った低い声で威圧する。

 凍てつく視線で彼らを睨みつけ、感情のままに滲みだす闇のオーラを解放した。

クリソベリルの宝石言葉

自然体、マイペースなど


マイペースなロアにピッタリでした

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