ロア・ソベリル
この前お気に入りユーザさんの小説で、あらすじを見ただけで読みたいと思ったものがあって、自分も惹かれる何かがあるあらすじを作りたいと思いました。
一目見ただけで読みたくなるようなあらすじは中々難しいかもしれませんが、しばらく色々試してみて様子を見たいと思います。
あらすじやタイトルに変化があるかもしれませんがご了承ください。
「あんたがロア・ソベリル……か?」
「そだよー」
ロア・ソベリル。
ルカよりも一回り小さな体格で、小さな子供というのがしっくりくる様にジルは意表を突かれる。
しかし、日頃ルカが彼女を表すときに何と言っていたかを思い出して納得する。
(そういえばルカはクソガキって言ってたか……。ガキってそういうことかよ)
「久しぶりね、クソガキ」
「あ、やっほールカちゃん。リンちゃんだと思ったらルカちゃんだったから私びっくりしちゃったよー。ルカちゃんだって分かってたらもっと逃げ回ってたのになー」
「相変わらず間抜けね。ま、私としては勘違いしてくれて助かったわ」
ロアはジルが光のコアストーンを使用しているのをリンだと誤認してしまったのだろう。
その勘違いがあったため、こうしてすんなりと姿を拝むことができた。
それはそうとやはりこうして顔を合わせるのは嫌だったのかルカは不機嫌そうに辛辣な言葉を並べる。
「あ、ひっどーい。お姉ちゃんにそんな口聞いちゃダメなんだよ。ルカちゃんは一番下なのにー」
「作られた順番がちょっと早かったくらいで偉そうに……。あんたみたいなのが姉なんてお断りよ!」
人工精霊が作られた順番は火、水、風、光、闇の順番。
これらを姉妹に当てはめるのならばルカは末っ子ということになるが、見た目ちんちくりんのロアに姉貴面されるのは嫌なのか、分かりやすく顔を顰めている。
そんなシュールな光景を見てジルはますます戦意が削がれる。
この幼そうに見える少女が先程まで苛烈な攻撃を放っていた張本人とはまるで思えない。
「一つ聞いていいか?」
「んー? いいよー」
「君は何でこんな事してるんだ?」
「ん? こんな事って?」
「ここ最近の竜巻や突風は君の仕業なんだろ? 魔物は森から飛び出してくるし、町は対応に追われて迷惑してるんだ」
「へー、そうなんだー? でも、私は困ってないよ?」
ロアの起こす風がどのような害をもたらすのかを説明しようとしたジル。
しかし、当の本人はまるで関係ないと言わんばかりにきょとんとしている。
「ジル、諦めなさい。こいつはそういう奴よ。言葉じゃなくて力で黙らせる必要があるわ」
「そうみたいだな……!」
どのみち彼女をどうにかできなければ町に平穏は訪れない。
平和的な解決ができればそれが一番だったが、互いが互いを敵として見なす関係である以上それは無理な話だった。
「いいよ、やろっか。ルカちゃん相手でも手加減しないよ。私のコアもちゃんと持ってるみたいだし、それも返してもらおうかな」
「やれるもんならやってみなさい。逆にあんたのコアを根こそぎもらうわ」
ジル達が再度戦闘の意志を示すと、ロアもそれに応えるように凄みを見せる。
子供のような無邪気な笑みは一転し、獰猛な笑みを浮かべる彼女にジルは一瞬気圧された。
見た目は完全幼女でも、本質は風の精霊であるということをしかと刻んで、戦いに望まなければならない。
ジルは腕輪に光のコアストーンを三つ装着した状態で、ロアの出方を窺う。
彼女をルカと同格と認めたうえで、一切の油断なく彼女を叩き潰す。
そんな思いでロアを見つめていた。
「ふーん。その腕輪にリンちゃんのコア。さっきは私のコアも使ってたみたいだしー……そっちの人間から潰せばいいのかなー?」
そんな彼女もジルの姿を見てぼそりと呟く。
(は? 消えた?)
一挙手一投足見逃さないように窺っていた、はずだった。
一瞬でロアの姿はジルの視界からは掻き消えた。
風精霊が速さに特化した性能を有するというのはルカの説明で分かっていた。
否、分かっていたつもりだった。
想像を遥かに超える速さ。
目にも留まらぬスピード。
シンプルだからこそ強力な彼女の誇る武器。
「ぼさっとしない」
「やほー。よく止められたね」
「別にそう難しい事じゃないわ。性格の悪いあんたがやりそうなことよね」
「えー、ルカちゃんには言われたくないなー」
ジルの視界から姿を消したロアは、ジルの背後からものすごいスピードで襲い掛かる。
完全に不意を突かれて回避する術はなかったのだが、予測と反応でルカが間一髪間に滑り込む。
引き離す力――――斥力を利用した闇の盾を片手に、ロアを何とか弾き返す。
「何のためにその組み合わせを渡してると思ってるの? とりあえずフルガードしなさい。それで範囲攻撃よ。自由に動かせると速さが乗って面倒だから、当てるつもりじゃなくて行動を制限させるのを心がけなさい」
「分かった」
ロアを攻略するには彼女のことを知るルカの言うことを聞くのが手っ取り早いと、ジルは素直に指示に従う。
ジルを覆う頑丈な結界と、あちこちに散りばめられる光の弾。
それらがロアの行く手を阻む。
「わ、わっ、もうっ。鬱陶しいなー」
範囲攻撃でロアの道を制限すると、彼女の動いた軌跡がかろうじて捉えられる。
そしてロア自身、猛スピードで置かれた光弾に突っ込むのは得策じゃないと判断したのか、僅かにスピードを落として飛行する。
だが、速度をやや抑えることに成功したからと言って、彼女の無効化とは程遠い。
「ならこうすればどうかな?」
彼女が無造作に腕を振るうと、凄まじい勢いの突風が吹き荒れる。
範囲攻撃には範囲攻撃をぶつけて相殺するのは手っ取り早い。
「そう来るのは見えてるのよ」
「えっ、うわっ、ちょ、待って!」
「待たない!」
「きゃあ!」
ロアがそう対処してくることは想定済みだったルカは、広がった攻撃の薄い部分を見抜いて鋭い一撃で突破。その流れで一気に彼女に近付いた。
不意の接近を許したロアは驚きながらも後退しながら、ルカの連撃を何とか凌ぐ。
しかし、彼女の防御と回避にできた綻びを見逃さず、ルカは水の力で正確に一撃を叩き込む。
大きなダメージに至ってないものの、空中でバランスを崩したロアは隙だらけで、ジルも追撃を仕掛けようとする。
だが、ロアの立て直しが一歩早く、ジルの放った光の絨毯攻撃は素早く躱され空を切った。
「ちっ、惜しいわね」
「あっぶなー。ひやひやしたー」
「ちょろちょろしてないでさっさとコアを差し出しなさい!」
「やーだよっ!」
そう言って再度ジルに狙いをつけて突貫する。
しかし、今度はちゃんとガードの態勢をしっかり取って受け止める。
バリバリと光のオーラを風のオーラがぶつかり合って、辺りが白く塗りつぶされる。
ロアはその結界を貫いてジルの持つ光のコアストーンを取り上げようと風を噴出する。
だが、ジルが現在可能とするコアストーン使用時の最も防御の硬い形態は、崩されなければ抜群の安定感を誇る。
バキッッと鈍い音と共にロアを弾き返し、態勢を崩させる。
「っ! 今よ! 結界の中に閉じ込めなさい!」
ルカはたった今ロアを弾き返した結界を防御ではなく、捕縛で使うように叫ぶ。
ジルはその声が耳に届いた瞬間、精霊術の構築に移り、ロアの態勢が整う前に結界に閉じ込めることに成功する。
「ちょっと! 出してよ!」
「てこずらせてくれたけど……これでチェックメイトね」
四方を分厚い光の結界に囲まれて、ロアはもがくように暴れ出す。
しかし、竜巻を発生させても、暴風を巻き上げてもびくともしない。
自慢の加速も狭い空間の中では爆発的な勢いは生み出せないのか、ジルの結界を破れずに泣きそうな表情を浮かべる。
こうして逃げ場を奪ってしまえばあとは単純明快。
可能な限り威力の高い攻撃を叩き込むだけ。
そう考えて、ジルもルカも最大火力の精霊術を行使しようと魔力を練り上げる。
勝ったと確信し、自然と口角が上がる。
その時、背後から衝撃を受けてジルの身体は吹き飛ばされた。
平日の更新のアクセス数があまりにも伸びなくてモチベを爆下げする要因となっているので、毎日更新継続するか悩んでます




