9頁目
12部分完結予定の、9部分目。
時が経つのは遅いようで早いもの。1年前の出来事をついこの間のことと思ったり、逆に昨年の出来事を何年も前のことのように思ったり...
どちらにせよ、思い出せることがあるのはいいことだな〜と、作者は思います
ただ、ほぼ全ての思い出せる出来事...思い出がけっこう前のことなのに、少し前のことに思えてしまう。
そうなってしまったとき、とてつもない焦燥感を感じますよね...よね( ˙-˙ )
まあこの話は置いておいて、読んであげるよって方は下へ⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!
「......ぁふ......」
......これで、欠伸したの何回目だろう......
そんなことを考えながら、私はふと、白い天井を眺めた。
シミがぼやけて、なんだかぐちゃぐちゃして見える。あ、でもあれ、元からか......
「......」
......この時間、この時間が最近の私は大嫌いだ。寂しくって、哀しくって、辛い......今日はあの子も、春崎さんもいない。看護師さんやヘルパーさん達は他の人につきっきりで、今現在いろんな意味で落ち着いてる私のことなんかは、誰も気にしてない。
それに、家族は......
「っ......」
なんでだろ、今日はいつもよりもずっと哀しい。
......あの日、あの時、あの瞬間のことは、正直に言えば............辛かった。
12月の、世間がクリスマスだ年越しだって騒ぎ立てていた、ちょうどあの頃。
あの人達は、私をここに連れてきてすぐに、いっそ清々しいくらいにすっと帰ってった。あの子も、その中に混じってた。
冬の寒さを凌ぐための服のせいで着ぶくれした、肩の荷を下ろしてせいせいしてる人達が歩き去っていく背中を、ときどきこっちを振り返るあの人達の顔を、私は見てなかった。
その後ろの、遠く方の山のてっぺんに積もった雪を、笑って手を振りながら見つめてた。見てるしかなかった。
「......ふわぁ............」
......あの時の私は、あの人達のことを見ることができなかった。
別に今思い出しても、別に怒りも恨みも、悲しみも私はしない。
せいぜい怒るとしたら、誕生日くらいは自分でハンバーグ食べたいけど、食べられないことくらい。......って、これ別に誰も悪くないしな〜......
......今月は、あの子はまだ来てない。
「......忙しい、のかな......」
もう水すらまともに飲めない私は、これから先......
「あー、やめだやめだ......これ以上、こうしてると......余計なこと、考えちゃう......」
自分のほっぺたを弱く叩いて、私は本に視線を向けた。
「......早く、来ないかなー......」
自分でもわかってる、残された時間はあと少し。
......今年の末が、関の山。......あってるよね、関の山で......
とにかく、時間がない。私とあの子には......
そう考えて、私は静かに目を閉じた。
──────────────────続─────────────────
9/12 9月18日
ねえ、今まででどんな映画見た?なんのお菓子食べた?どんなことした?
...彼女の部屋に入って開口一番に言われたのが、これだった。
何でも、昨日何かあった(本人いわく何でもないらしいが、そんなわけないと僕は思う)らしいから、少しでも会えない時間に考えることのネタが欲しいんだとか。
僕としては彼女と話せて嬉しいばかりだから、嬉嬉として、いつもより気持ち高めで話していた自覚はある。
そして、彼女もまた、いつにも増してにこにこしながら僕の話を聞いていた。
これが、少しでも彼女のためになればいいなと思う。
ところで、来月は彼女の誕生日がある。何を送ろうか...早めに決めておくこと。忘れないうちに...いや、忘れるのは絶対に駄目。しっかりやること。
p.s:食べ物、飲み物は駄目だから、それ以外で選ぶこと