第八章歪んだ殺意:カッコよさとは無謀な勇気!
この恐怖はババアを見ないとわからない!!!
走り去ったリンを迷いなく追いかけ、ゼッタイかないっこない世紀末ゴロツキに立ち向かったバット兄さんはかっこよかった。
震えるほどに・・・
だが同時に40代おっさんの俺はそれを素直にかっこいいと言えるほど若くはなかった。
ケンシロウがいなければ死んでいる。
そしてバット兄さんが守りたかったリンは奴隷として売られ、暗い目をして生きていくことになっただろう。
そういう危険がありすぎた。
端的に言えば無謀であり、無謀の中でも万に一つの勝算もない自己満足である。
もっともバット兄さんの事だから「ケンがいる」という考えが少しはよぎったかもしれないが「ケン、いこうぜ!」と声をかける事さえしなかったのは怠慢でしかない。
無謀ではなく策謀に長けたバット兄さんらしからぬ脊髄反射であり、プランのない行動である。
だが俺はこのことから一つの反省を学んでいた。
そう「四つの奥義でゴロツキ四人を粛清せよ!」についてである。
俺はこのミッションについてほとんどこのときのバット兄さんと変わらない行動しかしていなかったことに気付いたのである。
ミッションをクリアするために「何が必要なのか?」「どのような傾向のミッションであるか?」などという細かな分析による行動計画を作り上げることなく、なんとなくの感覚でやり遂げようとしていた。
いわばレベル最高まで上げて、最強の武器を持てば勝てるというようなアホな考え方で挑戦していたのだ。
だがミッションには時間制限があり、スキルゲージの蓄積により奥義が使用可能になるという制限があり、さらに奥義は一般客には使えず、ゴロツキが暴れ出すとスキルゲージを溜めるために必要なスタッフの接客体力が激減するという確定事項があった。
そうバット兄さんのように無策で駆け出せば目的を果たすことはできないのだ。
目的を果たすためには、そのためにどのように行動するのかを考え、最善と思える計画を立て実行してみて失敗したらどこを変更するべきかを分析し、行動計画を修正し、チャレンジするという事をするべきなのだ。
時間がないわけではない。
機会が一度だけなわけではない。
死にゲーと言われるダークソウルは俺にはムリゲーだが「龍が如く6」の尾道スナックをクリアした俺なら同じスタッフの作ったナイトクラブをクリアできないはずはないのだ!
こうして俺のナイトクラブ全クリアへの挑戦が始まった。
まず考えたのは「使うのにあまりスキルゲージを使わない奥義から使っていく」という指針だった。
まったく情けないことだがゲーム下手である以上、可能性を一つ一つつぶしていくしかない。
結果は失敗である。
理由を分析してしまうと「奥義を使うためにはゴロツキの客がいなくてはならず、ゴロツキの客が暴れ出せばその後一般客は入らなくなるのでスキルゲージが貯まるまでにゴロツキトラブルが発生しまくり、次の技を使うためのスキルゲージが貯まる頃にはスタッフの体力が激減し接客できなくなってその後はスキルゲージの貯まるスピードも激減し、結果として制限時間内に奥義を使い果たすことができない」からだ。
では「スキルゲージが満タンにしてからゴロツキを倒し始めてはどうか?」
これはつまるところ「最初の内はゴロツキの接客をちゃんとやって満足して帰ってもらう」ということになる。
ところがこれも最初は失敗に終わった。
なぜかというと「ゴロツキを満足させてしまうと今度はうわさを聞きつけた一般客ばかりが入ってくる」ようになるのである。
一般客は殺せないのでどうしたらいいんだと思っている間にタイムオーバー。
たまに入ってくるゴロツキにスタッフを付けずに怒らせてぶっ殺しても一般客が満足するので結果としてゴロツキが立ち寄ってくれなくなった。
しかしスキルゲージの貯まり方とメーターは十分だ。
ということは「最初はゴロツキを満足させてゲージを溜めるという方法は間違ってはいない」ことになる。
少なくとも「スキルゲージがたまって奥義が使えるようになったらすぐに使う」よりは成功率は高そうだ。
そうなると「スキルゲージが満タンになった時点でどうやってゴロツキを入店させるか?」ということが重要になってくる。
つまりスキルゲージが満タンになってからゴロツキが入ってきやすい店づくりをするということだ。
そう一般客を怒らせて評判を悪くしてゴロツキを招くのだ。
ところがこれも失敗した。
そうゲージを満タンにしてからゴロツキを招いてもそこかしこでトラブル発生で暴れられたらやはりスタッフの体力が減り接客不能になり、スキルゲージが足りなくなる。
そうなると「スキルゲージ満タン、奥義、一般客が入ってくるほどにちゃんと接客、スキルゲージが貯まったら一般客を怒らせてゴロツキが入ってきやすい店づくりをして奥義、さらに接客をちゃんとして」という流れが理想となる。
ちなみにこれは九割がた上手く行っていたが最後の奥義のときにゴロツキが入店するまでの雰囲気づくりからゴロツキが入店して暴れ出すまでの時間を間違ったため、一回失敗している。
そしてもう一度流れを見るために失敗を覚悟でゴロツキが入店してから怒り出すまでの時間を計算して、最後に成功したときは最初にゲージ3を使う奥義を使い、次に2を使う奥義を、最後はゴロツキの入店時間を短縮しなければどうにもならないと考え、ゲージ1の奥義を連続で二つを使うためにゲージが2貯まるより少し早い時期に一般客を怒らせ、ゴロツキの連続入店を誘発し、どうにか残り1秒で目標達成!
このとき最後の岩斬両断破を決めたケンシロウは黒服として深い満足に浸ったという・・・
その後もケンシロウはキュートスタッフであるヒナを活躍させるためにキュートの接客力(金巻き上げ能力)を上げるスタッフと体力回復スタッフさらにはブライトシールド(体力減少ストップ)というパーティバランスを考えたスタッフ配置をしたり、まさに黒服として一皮も二皮もむけ、俺は至極満足した。
そう行動は目立つほどかっこよくなくていい。
いや目立つようではダメなのだ。
黒服とは目標を達成するために事前に最適解を求め全能を尽くすことが大事なのである。
計画を持った挑戦と無計画な暴勇とは違うのである!
こうして一人前となったケンシロウは次々とミッションをこなし、気づいたときには3000万イディアルを稼ぎ出していた。
しかしさすがに13時間ぶっ続けのナイトクラブ労働は体に悪い(主に俺の目)のでとりあえずアジトに帰って睡眠がてらセーブすることにしてナイトクラブを出る。
まあ、ナイトクラブの営業をするかどうかはナイトクラブの前にいるヒナに話しかけて決定するのでエデン内の建物としてのナイトクラブに入るわけではないんだが・・・
ともあれアジトへ帰ってみると。
!!!!
アジトの前のベンチにババアの姿が・・・
いや今まで帰ってこなかったんで気づかなかったけど
「いやあ、あんたナイトクラブで働いて借金を返そうとしているらしいね」
「ああ」
「ならわたしはここにいるから返せる分があったら返しておくれ。なんだい? ここにいられたら気になるのかい?」
そりゃ気になるだろ。
ってか家の前で座り込みとか借金取りのヤクザか!?
半端ないプレッシャーだわ!!!
とおれは俺は思ったわけだがケンシロウは
「いや」
「そうだろうそうだろう。お前さんならそう言ってくれると思ったよ。わたしはここにいるから返せる分があったら話しかけておくれ」
ちなみに好奇心で話しかけてみると
10万イディアル返済する
100万イディアル返済する
1000万イディアル返済する
3000万イディアル返済する
返済しない
みたいな選択肢が・・・
いや3000万は幻覚だったかもしれんが・・・
ちなみにアジトで一眠りして朝になってもういないだろうと思ってアジトを出てみるとベンチにたたずむババアが一人・・・
寝ずの番とかどんだけだよ!!
怖すぎるよ!
つかアジトの前のベンチにべったりの借金取りのババアの姿を見るだけで気が滅入ってダメだ!
もう一回休んで夜にしよう。
もう一回、夜になればさすがにいなくなってるだろう。
が、夜にしてアジトを出てみるとベンチにたたずみ続ける借金取りのババアが・・・
いやもういいや。
こうしてケンシロウは改めて借金返済の決意を定め、ついでに二度とアジトに帰らないことを誓うのであった。
そして俺は密かに「このババア、絶対にケンシロウをハメたに違いない、いつか化けの皮を暴いてやる」とか思うのであった。
続くっ!




