No.086〜No,090
No,086
時が惑い
時が狂う
そして
命の煌きが
暦とずれて
現に出でる
暦と時が重なって
出でる命の煌き
春を告げ
春を呼び
春を祝う
麗らかな煌き
暦と時がずれて
出でる命の煌き
春を告げず
春を呼ばず
春を祝わない
憐れで哀しき煌き
咲き誇る梅の花
蕾を付ける桜の木
時に惑わされて
在る煌きに
哀しみを憶える
「 狂季惑煌 」 (季きが狂い煌きが惑う)
No,087
春を告げる音
春を告げる色
春を告げる薫り
春を告げる煌き
世に少しずつ少しずつ
現れて
表れて
冬の気配を洗っていく
春を告げる山の命
春を告げる野の命
春を告げる海の命
春を告げる陽の光
世に少しずつ少しずつ
溢れて
表れて
春を実感させる
冬の終わりを告げるもの
春の始まりを告げるもの
その二つは同じもの
だけど
終わりを語るより
始まりを語るほうが
心が躍る
だから
こう言うのです
春を告げるものが
世に少しずつ少しずつ
表れ始めた……と
「 春告表世 」 (世に表れる春を告げるもの)
No,088
歌い継ぐ
詠い継ぐ
謳い継ぐ
季節のうた
心のうた
人のうた
命のうた
移ろい変る瞬間も
移ろい変った後も
継いでいく
一つの瞬間から
二つが重なる流れに
変るときに
断たれかける時もあるけれど
継いでいく
歌うこと
詠うこと
謳うこと
それは
命の迸りなのだから
「 絶否継詠 」 (絶たれるを否むとし詠い継ぐ)
No,089
出会いを祝ぐ華
別れを慰む華
季節を彩る華
淡く色づき
魅入らすかの様に
咲き誇る
儚げに
心揺らし
舞い散る
想いを巡らす華
想いに愁う華
想いが溢るる華
満開に咲き誇る姿は
華の海
月光に染まる姿は
幽玄の美
風に散り空に舞う姿は
華霞
人の心を
強く強く
抱く華
「 桜華心眩 」 (桜の華が心に眩しい)
No,090
淡く軽やかな
春の花
眩しく艶やかな
夏の花
翳み麗らかな
秋の花
儚く寂しげな
冬の花
どの花も
綺麗で
美しい
けれど
私の心に
優しさと穏やかさをくれる
春の花が
一番いとおしい
花の魅力だけではなく
春と云う季節の輝きが
よりいっそうの魅力を与えているのだろう
「 心愛春花 」 (心から愛おしい春の花)




