表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/24

No.061〜No,065

No,061


大切な


本当に大切なものを失くした



その辛さに


その重さに


その傷みに


堪えきれなくて


人が寄り付かない


場所を捜し


街を駈ける



そして


山に近い


清流の川辺で


想いに閉じこもり佇む



にわかに空が


黒く厚い雲に覆われていく


一滴が落ちてきて体を濡らす


それが合図だったかのように


一斉に


凄い勢いで雫が落ちる



夕立に


いくら体を叩かれても


揺らぐ事なく想いに涼む



幾程の時が経ったのか


構わずに沈んでいる


一際


大きな雷鳴が鳴り響き


それが合図だったかのように


雨が止んでいく



雨が止みどれほどの時が経ったのか


夜の闇の中


瞳の端に


かすかな光りを感じ


周りを見渡す


淡く


切なく


儚げに


舞い光る


蛍の演舞場の中にいた



風の歌も聴こえない静寂の中


ユラリユラリと舞う幽玄の光りに


目を奪われる



雲を割り出た月の光りと


幽玄に舞う蛍の光り


その光景が


想いの鎖から一時解き放つ



月の光りと蛍の光りが溶け合い


止んでいた風の歌が響きだし


夏の光宴が始まった


 「 夏日切儚 」  (夏の日の切なさと儚さ)




No,062


私の背には羽がある


遠き日には


皓く輝き羽ばたく事の出来た羽が


今は


暗く汚れ傷つき羽ばたく事の出来ない羽が



皓く輝いてた羽を持ってた


あの日々に想ってた


この羽があればどこにでも行けると


森の中を抜け


丘を翔び越え


霧を抜け


草原を通り


地平線の彼方までも


限りない蒼き空の果てでも


世界の果てにでも


行けると想ってた



でも今はもう


羽ばたく事はない


暗く汚れ傷ついた羽



だけどあきらめていない


再び


この羽が


皓く輝き羽ばたくことを



今宵もまた


森の中にある


月のかかる広場にいく


月の雫と


森の命の露で


羽を洗い


風の調べで乾かす


いつの日か


輝くことを願って



 「 翔羽再願 」 (再び羽で翔ぶのを願ってる)




No,063


月の光りもない


夜の闇の中


誰もいない海岸に立つ



心の昏さが


夜の闇を深くする



ただ闇にのなかに立つ


吹きすさぶ風の


静かになぐ潮騒の


リズムが


感情に乱れる


鼓動のリズムと


混じり合い


融け合っていく



水平線の彼方から


少しづつ闇が晴れてゆく


その晴れてゆく闇を見詰めている



闇が晴れ


水平線の彼方から日が登り始める


傍らに置いて在った鞄から


いろいろなものを取り出し


登る日に向かい


放り投げてゆく


指輪


珈琲カップ


写真立て・・・



全てを投げ込み


大きく息を吐く



置いて在った鞄を掴み


日に背を向けて


胸を張って歩き出す


前に進む為に



 「 闇裂進棄 」  (闇を裂き棄てて進む)




No,064


木の枝に


咲く淡き色の花


風の舞踏曲に乗って


ユラリユラリ


クルリクルリ


フワリフワリ


ダンスを踊ってる



彼方に聴こえる


密やかな


蝉時雨



夏の灼熱日差しが


木漏れ日となり


優しき光りが


踊る花を差す



風景が


光景が


情景が


佳景が


私を幻景に誘う



 「 夏煌幻見 」  (夏の煌きに幻を見る)




No,065


私の秘密の場所


君にだけ


そっと教えてあげる



暗く濁った澱が


溜まった心


皓く染なおす


光りの園



風に吹かれ


月に挑む


想いに沈む為の


天上の楼閣



明日を希み


彼方に


夜と朝の狭間を臨む


水の滸



最後に


弱さも


喜びも


悲しみも


悩みも


全て見せれる


新しく出来た場所


それは……


……君のいる場所



 「 密想彩場 」  (想い彩る密やかな場)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>詩集部門>「風のうたう謡いの集」に投票 「この作品」が気に入ったらクリックして「ネット小説ランキングに投票する」を押し、投票してください。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ