No.056〜No,060
No,056
今にも泣きだしそうな空
見上げて想う
この涙は
どんな想いの涙なのかと
嬉しさ
希望
慈しみ
哀しみ
憂い
怒り
新たに零れる涙はどれだろう
それとも違う涙なのか
空が泣き始めた
この身を濡らす想いの雫が
私の想いを
重なり合って流れるのか
混ぜて流れるのか
洗い流すのか
「 天零想泪 」 (天が零す想いの泪)
No,057
月の輝く夜に歩く
人が生み出す騒がしき音のない
静かな夜を歩く
立ち止まり天を見上げ
月の輝きを浴びる
静寂な夜に
冴え渡る月の光りが
凛とした月の音を生む
優しく吹く風の音と
月の音が混じり曲を奏でていく
その曲に
我知らずうちに
体が動き出す
ゆっくりと
緩やかに
花の間を渡る蝶の様に
風に吹かれ飛ぶ木の葉のように
舞い踊り始める
ただ月と自然が見守る中
暗き想いを
蒼き月光に包まれ
溶かしていく
月輝の舞
月音と風音が鳴り止むまで
舞い続けていく
「 月輝夜舞 」 (月の輝く夜だけの舞い)
No,058
ただ
純粋な想いで
無心で
穿心の想いで
無垢な心のままで
祈り
願い
問い
捜す
ただひとつに染まる想いで
だけど
其れは難渋なもの
ただひとつに染まらない
雑言
雑文
雑記
雑想
染まるのを拒む
力
ひとつに染まる想いは
どこまでも深く
導ける筈
いつも
そう在ろうと頑張っていく
「 一染導高 」 (一つに染まり高みに導く)
No,059
どこまでも
深く深く
落ちていけそうな蒼に染まった空
夏の煌きを
感じさせ始めた太陽
穏やかに吹く風に
包まれる季節
その季節に出会うたび思い出す
あの言葉を
あの人を
暗き闇の牢獄に
捕らわれ続けた日々
過ぎてゆく時も
瞳に映る景色も
耳に届く音色も
黒に染まってた
その牢獄の扉を
光りの言葉で開けて
光りの元に連れ出したあの人
あの人が光りをくれる度
過ぎゆく時も
瞳に映る景色も
耳に届く音色も
輝き始めた
今はもう
あの人の言葉を
聴くことは出来ないけど
光りの下であの人に
会うことも出来ないけど
あの人のことも
くれた言葉も
忘れない
あの人が
言葉をくれたのは
どこまでも
深く深く
落ちていけそうな蒼に染まった空
夏の煌きを
感じさせ始めた太陽
こんな
晴れた日だった
「 晴日懐想 」 (晴れた日に懐かしく想う)
No,060
立ち止まって
振り返るのも
大切なこと
今に戸惑いに揺れたなら
先に不安を感じたなら
現在に焦りを覚えたなら
未来に恐怖を見てしまったなら
立ち止まり振り返ろう
過ぎ去った季節を見詰め
流れ去った想いを呼び出し
輝き舞った希望を思い出し
破れ散った夢の残滓を拾い集め
前に向かう力に変えよう
今まで歩いて来た全てを見詰め
それを
力に
光りに
変えて
今を
先を
現在を
未来を
暗く覆う闇を
振り払い
再び歩き出そう
「 過見先歩 」 (過ぎたもの見て先に歩きだす)