No.051〜No,055
No,051
夢を見ている
夢だと解っている
目の前に
今にも泣きそうな
悲しい顔をした自分が立っている
どうしてそんな顔をしているの
今を楽しく過ごしているのに
哀しい顔したまま首を振る自分
あきらめたことを責めてるの
逃げ出したことを
人を傷つけたことを
哀しい顔をしたまま見つめる自分
心騒ぐまま
目の前がぼやけてくる
そして
目が覚める
泪を流していたことに
気付き
心揺れる
「 夢明真心 」 (夢が明らかにする真なる心)
No,052
歌を歌おう
忘れし歌を
時が流した歌を
大地に埋もれた歌を
風が包み隠した歌を
水の底に沈む歌を
心で押し潰された歌を
再び
今という光のもとに
見出して歌おう
忘れじの歌を
時に流されぬ歌を
大地に響く歌を
風を渡る歌を
水面に輝く歌を
心を誇る歌を
大切な大切な
自分を織り成す
光の歌
光の元で歌おう
高らかに
軽やかに
朗らかに
誇らしく
忘れし歌を
忘れじの歌を
歌おう
「 歌無忘在 」 (忘れることの無い歌も在る)
No,053
雨に濡れながら歩く
心から零れ落ちた雫を
流すことを願い
心に深く刻まれた傷跡を
沈めることを願い
雨に打たれて歩く
雨に濡れる花を見て
交差点を行きかう傘の花を見て
水溜りに浮かぶ波紋を見て
新緑を打つ雨音を聴きながら
雨の
儚さ
切なさ
優しさ
きらめきを
感じて歩く
この身の
弱さ
暗さ
哀しさを
洗い流すことを願い
雨に濡れ歩く
「 洗雨傷雫 」 (雨が洗う傷みと雫を)
No,054
会いに行こう
見知らぬ景色に
初夏の森に
碧り薫る風に
煌き輝く海風に
名も知らぬ綺麗なものに
会いに行こう
傷ついた昨日を
重たい荷物を
放り出して
ただ前を向いて
心を
光で包むために
「 会光景色 」 (光の景色に会いに)
No,055
永い夢から醒めたような
薄闇の中
流れ落ちる雫に
濡れた手で
胸を掻き抱く
失ったものの重さで
心に開いてしまった穴に
零れ落ちる雫が
暗き想いが
混じり合い溜まっていく。
光が差し
暗き想いが消えて行き
溜まった雫が綺麗に輝く
幾度もの
喪失と邂逅を繰り返した
今
心は零れ落ちた雫の湖になっている
底まで見通せるのか
表面しか見えないのか
光が暗き想いを消し
深く見通せることを
いつでも望んでいる
「 心湖澄希 」 (心という湖が澄むことを希む)