No.041〜No,045
No,041
雨に散っていく
桜の花びら
雨の川に流れていく
濁り荒れる川に
花びらが水面に
落ちる端から消えていく
切なさと儚さを覚え
心騒ぐ
雨は上がる
けれど
風に吹かれて散っていく
湿った風に乗って
風に流される
花びらを
手に掴もうとするけれど
すり抜けていく
手に出来ぬ哀しみのまま
風に運ばれる花びらを見つめる
ふと
歌が浮かんでくる
悲しみと儚さの歌が
「 散桜儚音 」 (散る桜の儚い音)
No,042
手紙を書こう
色々な想いを綴る
友への
自然への
好きな人への
明日の自分への
色々と綴った手紙
誰にも見せず
誰にも語らず
誰にも知られず
そっと外に持ち出す
海岸で手紙にそっと
火をつける
灰になってしまった
手紙を
そっと掴み
澄んだ青空に
手を掲げ
そっと手を開く
風に乗って
舞い散っていく
心のかけら
天に
海に
大地に
散っていく
「 心散天海 」 (心が散る天に海に)
No,043
風散桜華 (風に散る桜の華)
碧薫命芽 (碧り薫る命の芽ばえ)
知憶胸震 (知らずに憶える胸の震え)
半春反心 (春半ば反する心)
嬉哀混彩 (嬉しさ哀しさ彩り混ざる)
刻移心揺 (刻が移ろい心揺れる)
切儚希喜 (切なさが儚さが希みが喜びが)
入混生死 (入り混じる生と死)
半春命想 (春半ば命想う)
悟命流転 (悟る命の流転を)
深澄刻優 (深く澄んだ刻の優しさを)
「 命巡春色 」(命巡る春の色)
No,044
春半ば
咲き誇る花々
いろいろな花が
色々な心に染める
白き花
心洗う光
紅き花
心震わす力
紫の花
心安らぐ祈り
黄色い花
心包む陽だまり
淡く凛とした花
心涼やかにする詩
艶やかに咲く大輪の花
心奪う怪盗
爽やかに薫る花
心導く風
色とりどりの花が
心を
極彩色に彩る
花と共に
生きていく
「 花生心彩 」 (花が生む心の彩り)
No,045
花が咲く
街に
野に
山に
人に見られ
人に意識されず
人の手が触れ
人の力を得ぬ
ひっそりと艶やかに咲く
街の花
人をなごまし
人を惹きつけ
人の欲望に利用され
人の愚かさ見つめる
涼やかに可憐に咲く
野の花
人に知られず
人に関わらず
人に脅かされず
人に触れられず
淡く凛と咲く
山の花
どの花も同じ花
だけど人が
在り方も美しさも
見失わす
自然のままと
人の手がかかるのと
どちらが本当は美しい
花はなにも答えず
ただ咲き誇る
「 咲華在咲 」 (華は咲くただ在りて咲く)