表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壊れた物語  作者: 松明
12/14

追記


 夏期休暇中の大学で、何度か山口とすれ違えた。彼は高い身長に加え赤く、大股で胸をぐいと張り、肩を前後させて大きく歩くので、毎回すぐに気付けた。

 わたしはその度にいくつか質問をして、彼はそれに答えたり、答えなかったりした。彼かわたしが冗談を言うと、ひゃはははは! と、周りが振り向くほど大きな声で笑った。それは少し、恥ずかしかった。

 川野弘人がなぜ彼に執着するのかを聞くと、「自虐ネタばかりやる、イジラレる俺を下に見てたんだろう。その下であるはずの人間が自分を見下してるのが、認められないんだろ」と答え、川野との共通点を聞いたときは「自己愛が強すぎるところと空気が読めないとこ。それから、痛々しいところ」と答えた。真面目に答えもしたが、あいつ俺に惚れてんじゃねぇの? なんて冗談を言ってまた、ひゃははは! と笑ったりもした。

 日の下で見る彼の目元には、深い隈が見えた。きっと、関羽のように尊大に歩き、張飛のように大声で笑う彼の精神は、荀彧のように脆いのだ。

 川野が死ぬかもしれないとわかっていて殴ったのかを聞くと、俺はそんなに機転が利きそうに見えるんか? と言って、苦笑いした。

 川野弘人は、すでに帰国している。明日はついに、川野に話しを聞く日だ。

 川野弘人の山口亮太への執着は、どこから来るのだろうか。そして彼は、どんな男なのだろうか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ