シェイク マイメード
「俺が、やってみるよ」
昇は、そう言って選挙カーに向かった。その政治家の噂は、こんな話だった。
他人のツキを奪うというのだ。
奪い方は、握手だ。
握手した相手のツキを奪うのだ。
彼が、政治の表舞台に立ってから、もう何年も経つが彼は、まだ鰻登りの勢いだった。
ネットの噂では、彼は、自分より能力の低い者からしかツキを奪えないということだった。
昇は、大学の友達と、この噂を検証した。
テレビで彼を見たり、彼の出版した本も読んだ。
昇は、その政治家より自分が優れていると判断した。
そして、今、彼の選挙カーの近くにいる。
昇は仲間と、一緒だったが、何故か皆、彼と握手をすることを躊躇った。
(始めの場面に戻る)
昇は選挙カーに近づき、彼に握手を求めた。
快く、応じてくれた。
昇は、仲間の元に戻った。仲間は、口々に身体に異常がないか、聞いてきた。
特に異常は、なかった。
また口々に言う。
「デマだったな」
「クダラねぇ」
そう言って流れ解散した。昇は、自分のアパートに帰ることにした。
皆と別れた時、何故かドッと疲れが出た。
アパートの前の自販機で缶コーヒーを買う。
ルーレットがスタートして「アタリ」になった。昇は、初めてのことでアタフタしていると、押してもいないのに同じコーヒーが出た。
昇は、両方の手に缶コーヒーを持ち、自分の部屋に向かった。
昇は、笑った。あの政治家をテレビや新聞、ネットで見るたび、もっと笑えるような気がした.




