++黒翼達の夜会++ Loneliness
++注意++
この小説には、少々グロイ表現が含まれております。
苦手な方は、ご遠慮することをお勧めいたします。
生きるために
私は強くなった
戦場に行って
負けを認めたら
死を意味するから
がむしゃらに
手に入れた力
私はいつの間にか
『孤独』
になっていた
* * *
しばしの休息は、いつもつかの間に終わってしまう。
遠くもなく近くでもない、非常に微妙な距離から、爆発音とともに火薬の匂いがした。
女は起きた。
一見幼いが、身体に浮かぶ凹凸は見事で、非常に曖昧だが魅力的だった。
今はところどころ切り傷だらけだが・・・
そして、その手には女には似つかわしくない、銀色の装飾銃が握られていた。
目の前はうっそうとした密林が広がっており、匂いはその奥からした。
泥と密集した草木の間を、まるで野生の獣のように、静かにゆっくりと歩を進めていく。
やがて、爆心地と思われる場所にたどり着いた。
そこには、草木が焼けてできたクレーターと、おびただしい人の焼けた死体が数体あった。
その中に、知り合いはいない。
仮にいたところで、弔いも何もしてやれない。
女は胸の前で十字を切り、焼け焦げ異臭の漂う死体の口唇にそっ・・・と手を触れる。
(―――まだ、十分も経っていない)
女は辺りを慎重に見回し、銃を握り締め警戒する。
パキッ・・・
左斜め後ろから枯れ木の割れる音。
女は手に握り締めていた銃で、迷わず撃った。
「パァン」と軽い音がし、数秒後にそれは地に伏した。
叫ぶ暇なく殺したのは、まだ小学生になるかならないかの年頃の少年だった。
少年の顔は苦痛にゆがみ、もみじのような小さな手には手榴弾が握り締められていた。
戦争は必ず多くの犠牲を出す。
それが悲しく。
それを止めることもできない自分が憎い。
答えを教えてよと本気で願ったのに
今だに出ない。
「ごめんね」
女がそう呟くと、ぽつんと水滴が頬を叩き、やがてそれは途切れない連打へと変わった。
++end++
ただ単に、戦争がもたらす悲しみを書きたかっただけの小説です。
この小説のキャラクターはいつの日かわかりませんが、連載小説に再度登場します。
見ていただけるとありがたいです。