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1ヶ月後消える僕の全て  作者: 桜井 雪
第一章 始まり
7/30

第五話 (3日目) 「学校探検」

何も考え無しに生きてきてしまったから、気がついていなかったが、僕が中学校の校舎に入るのは実は初めてだな、、、、、、

こういうのって、学校探検っていうんだっけか。

小学生になりたての頃に、2年生に連れて行ってもらった記憶がボンヤリと蘇ってくる。

濃霧がかかったかの様に鮮明では無いものの、あの頃は良かったな。

そう思ってしまった。

「あ、、、、、、れ。な、、、、、、ん、、、、、、で。」

今にも溢れんと、大量の雫が僕の目に溜まる。

そして、やがて、流れ落ちた。

僕は、今更ながらにあの頃に戻りたい、時間を巻き戻したいと思ってしまったのだ。

「まあ、時間は戻らない。」

、、、、、、そんな事は、知っている。

、、、、、、知っていた。

つもりなのに。

なんで。

明日さんは僕が、弱弱な余りに泣き出してしまったのを見て、なんだかオロオロと挙動不審になってしまっている。

まあ、そもそもの挙動自体、異常だったのだが。

「んぁ、、、、、、あの、はい。」

明日さんは、僕にハンカチを渡してくる。

受け取っておいた方が、いい、のか?

「気持ちだろ。受けっとっておけばいいじゃ無いか。君は、本当に訳のわからないところで迷うな。」

「あ、、、、、、リガ、とう。」

僕は正直にハンカチを受け取り、涙を拭った。

「ふっ。」

何がおかしいんだ。

「君が、あの少年、町田亜威留が、声に出して感謝の言葉を述べたからな。」

はぁ。

もうイライラを超えて怒りも鎮まってしまう程に、、、、、、呆れ返るな。

“マルクス•アイレス”には!

でも、まあ?

それがマルクスって死神である。


「よ、よっし!」

「じゃあ、中に入ろうか!」

「あいるくん。」

「ふ、、、、、、ふぇ?」

腕を掴まれて引っ張られる。

「せ、、、、、、んせ、、、、、、」

「うわ!」

「ご、、、、、、めん。」

「気付かれない様にしないとね。

抜き足、差し足、忍足〜ってね。」

こんなに小声で喋られたのかよ。

初めからそうしろよ。

強か煩いんだよな。

、、、、、、っ、まあいいや。


「と、兎に角、早く進も!」

そ、そうだよな。

行こうか。

3年生の教室は、、、、、、何階だ?

と、取り敢えず、一階を捜索しよう。


僕達は学校中、いろいろな場所を回った。

先生が居たら、廊下の角に隠れた。

特に、ヒヤッっとしたのが、階段の踊り場を曲がって進んでくる先生に、気づかず、先生のすぐ前まで行ってしまった事だ。

間一髪の所で、先生は別の方向に行き、明日さんが引っ張って後ろに引き戻してくれなければ、今頃、先生のなが〜いお説教の時間であったろう。

そして、僕達は自分達の3年生の教室の前の廊下にいる訳だが、、、、、、

一度も学校に入っていない僕らには何組が自分の教室かなんて分りゃしない。

「えと、、、、、、あいるくん何組?」

あ。

言っていなかった。

行きに言うべきだった。

僕が俗に言う“不登校”なのを。

どうしよう。

「行ったほうがいいんじゃ無いか。

忘れちゃったじゃ済まされないからな。」

分かってるんだよ。

、、、、、、分かってる。分かってるんだ。

ただ、、、、、、

ううん。

言おう。

ただ何だ。

言い訳をして何になる。

誰の特になる。

損得じゃ無いが、今必要なのは、本当のことを言うことだろ、自分!


そして僕は正直に、このことを全て話した。

(マルクスの事は言えなかった。)

彼女は最初は動揺を見せたものの、直ぐに理解してくれた様で、(多分)さっきまでと態度を変えなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

何故、この界隈にはこんなにも学校に行かない様になってしまう人が大勢位いるのであろうか。

かく言う私も、その一因なのだが。



僕達は、明日さんの家の前で別れ、明日もここで会おうと、約束をした。

これで、明日も学校に行く理由ができてしまった。

これで良かったのだろうか。

いや、きっとこれでいいんだ。


長かった1日も過ぎ、夏の快晴の空はまだまだ蒼く澄み渡り、キラキラと輝いていた。

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