第二話 (2日目) 「計画を練る」
僕は小学校5年生の半ばから不登校だ。
つまり僕は、4年近く学校に行っていないことになる。
別に、今更、そんな事に対してああだこうだ言いたい訳じゃない。
ーーっ。
然しだな、このままでいいのだろうか。
僕が最後に学校に行ったのは、小学校6年生の最終日卒業証書を貰うために行った時であった。
とは言ったものの、(言ってないな。考えているだけだ。)
僕が卒業式に出る事はなかった。
教室に入ってもいない。
クラスメイトに会うことが怖かった。
僕は臆病だ。
一度何か良くない事が起きたからと言って、他のことまで全否定してしまう癖がついてしまっている。
また、そろそろ僕も進路を考えなくては。
とは一応、思っていた。
だって、義務教育が終わってしまうのだから。
まあそれもこれも、もうあと1ヶ月で死ぬのだから、関係ないのだったな。
それはさておき、僕がこんなことを考えているのには理由があった。
昨日の夜の事だ。
マルクスに、後1ヶ月しかないのだから、学校に行ってみたらどうか。
と言われた僕は、絶対に、行きたくない。
そう考えていた。
いや、考えていない。
僕の頭はダイヤモンドでできているかの様にカチカチに固まって、価値観が狂ってしまっている。
(僕のこの腐った無価値な脳みそが、そんな高い物でできているわけもないが。)
マルクスはその後、僕が寝るまで何も言う事はなかった。
言っていたのだとしても、僕には聞こえていなかった。
何か僕に言ったとしても、考えを変えないと、諦められてしまったのだろうか。
だとしたら、少し寂しい。
人に諦めれるという事は、地獄だ。
第一に僕は、人と付き合うことが怖くて、逃げて、諦めた。
だから、凄く悲しい。
またもしくは、僕はほっておいても、成長するとでも考えたのであろうか。
そうこうしているうちに、いつの間にか僕は、眠りについていた。
…………こんな事があったからだ。
そこで僕は、数年間何にも考えず、只々変わらない毎日を過ごしていた為に、錆びてしまった僕の脳を使って考えた。
そして思いついた。
僕を排除しようとしていた奴等を見返して、今度は底辺から、頂点に上り詰められるのは、僕の番なのではないかと!
「安直すぎるだろ。」
マルクスはそう言うだろう。
僕が安直で、アンチョビで?
他の人間の様に1つの物事に対して多面的に考える事ができるほど優秀ではない。
そう、勿論、所詮僕は出来損ないの只の馬鹿野郎だ。
それだけは自覚しているつもりだ。
だから何も考えず、行動する。
これが今までの、そしてこれからも、僕の鉄則だ。
もう、此処から消える僕にとっては、もうどの様になったとしても、無駄になってしまうものも、取り返しのつかないことも無いのだから。
そして、今日は日曜日だから、マルクスを“使って”計画でも立てて、明日から僕の今までのキャラをガラリと変えて学校に赴いてやる。
久々に笑った。
、、、、、、気がする。
よし、そうと決まれば早速考えよう!
、、、、、、うーん。
、、、、、、うーん?
、、、、、、何も思い浮かばない、、、
そうだ、マルクスがいない。
出てこない。
昨日は散々なまでに出てきていたのに。
何処かに行ってしまったのだろうか。
、、、、、、もしかして、昨日のは夢だったのであろうか。
、、、、、、それとも、マルクスは僕を裏切ったのであろうか。
もしくは、本当に僕を置いて何処かに行ってしまったのであろうか。
信じた僕はなんて馬鹿だったんだろう。
友達=裏切り者だと知りながら。
約束=破る物だと知りながら。
どうして考えることをやめた。
そうだ。
何故か僕には、昨日のマルクスの顔が、哀しそうに見えたんだ。
マルクスに感情なんてものはないのだから、思い違いだとは思うが。
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その頃のマルクスは、、、、、、
この少年は本当に馬鹿だ。
だから見捨ててしまおうとは思わなかった。
可哀想だと言う気持ちがわかった気がする。本当は分かってはいない。
何故なら、人間とは一生、いや、俺様の一生が終わったとしても、死神と分かりあう事が不可能な生物なんだ。
こんなに無口で喋らず、自分の中にだけに気持ちを溜め込んだ考えすぎた少年には会った事がなかった。
だから、俺様は何を言えば良いのかわからなかった。
分からなかったから、変なことを言ってしまっては、この少年の人生を変えてしまうから、姿を隠すしかなかった。
これは、完全に子供のような言い訳だ。
もう既に俺様はこの少年の人生を変えたのだから、これ以上やっても、特に変わらない筈なんだ。
14年しか生きていない少年よりも、俺様の方が考え方がお子様だった。
俺様の様な大人な子供にこの少年の人生を操作する権限が有るのであろうか。
否、無いな。
然し、この少年を裏切りたくない。
最後の一つ、お望みの“死”くらいは叶えさせてあげたい。
もう、今までの様に人に嫌われたくはなかった。
俺様はまるで、かぐや姫みたいだ。
よし、そうと決まれば、話かけよう。少年に。
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「少年。」
びっくりした。
てっきりマルクスはいなくなってしまったのかと思っていた。
「居なくなる訳ねぇだろ。
契約なんだからな。
俺様を使ってとは少々違うが、俺様も君のために明日のことについて考えてやる。」
それもそうか。
契約、したんだったな。
あと、、、、、、聞いていたのか。僕はマルクスを“使う”とかと思っていた事を。
アイツに聞こえないくらいの小さな声で僕は呟いた。
「マルクスは、ツンデレだな。」
「ん?何か言ったか。」
いいや。
「そうか。君はいつまで経っても無口だな。」
そうだな。
とその時、母が昼食を届けに来た。
いつもの様にもう僕には何も言わない。
然し、僕はいつもとは違う行動をとった。
少し部屋のドアを開けた。
部屋から離れようとする母にこう言った。一言だけ。
「明日、学、校に、いk、、、、、、つもり、d、から、、、、、、」
何年も話していなかったのでどう言ったら良いのかわからなかった。
さっき声を出した筈なのに、人に伝えるとなると、違うもの、、、だな。
声は、上手く出ないし、不器用だった。
ちゃんと話すことすらできなかった。
母の目が怖くて、顔を見ることもできなかった。
然し、後ろ姿から、母の頰が上がり、泣いている様にも見えた。
やはり、もう見捨てられてしまったのだろうか。
そうして、僕とマルクスの2人は、ブルーに光る月が沈み、新たな光が差し込んで来るまで、明日についての作戦を入念に練った。




