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1ヶ月後消える僕の全て  作者: 桜井 雪
第五章 実行
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第二六話 (8日目) 「3秒後の未来で」 

 お久しぶりでございます、桜井です。

復活しました。

ぜひ、最後までお付き合いくださると幸いです。

 いつものように。

未来は簡単に、いとも呆気なくやってくるものだ。


 これが、来なくなるというイレギュラーを作るというのは、平和慣れし過ぎた僕には想像できない。

どうせ、僕一人、この世に居なくたって、殆ど全てと言っても過言でないような人々が困りやしない。

然し、ワクワクするし、待ち遠しい。


 マルクスは、僕がなんやなんやと少しだけ、思考していた3秒間も経たないうちに僕の顔から興味を逸らし、僕に向けての話(……多分な。)をし始めた。


 明日さんの家にいたら、僕が自由に相槌をつけないことを忘れてでもいるのだろうか。

家の誰かにバレたら大変なことなのではないだろうか?


 「あれは、“生神(イキガミ)”だ、少年。」


 僕が、僕に向けて彼が話しているのかわからないみたいな話(考え)様で接していたことがバレたのか。

彼は初期のデフォルト=語尾に少年

と呼ぶことをしたみたいだ。


 でも今はそんなことどうだっていいのである。

いやまさか、さっき明日さんが____


 「そうだ。あれは、あの日俺様達が見た生神。ミュランディーア・マトロッツァ。」

 「今度はあいつに取り入ったのか。」


 そう言って死神は生神に向けてか、自分の盲点だったところをつかれたからか。

少なくとも僕には聞こえる大きさで舌打ちをしていた。

眉間には(いやそもそも眉なんてないけども)シワが寄っている様子で、なんとも............


 そして、死神に、(そしてあんな天使の輪なんかつけたぬいぐるみに)舌という部位があることの方に僕は意識が一度吹っ飛んだが、それも今は気にしている場合ではなかった。


 あの日僕等に攻撃を仕掛けてきたヤツが、今度は彼女に近づいている。

今すぐにでも助けに行かなければ......


 「いや、辞めておけ。

 どうせ、又近いうちに対面することになるだろうがな。」


 そう言った彼の背中は、すでに不可解な光に包まれた。

そして不可解ではなくなった。

(どうせ行きと同じ仕掛けだったのだろう。)


 僕たちは町田家に帰って来ていた。

というか、あの円の中に帰ってきた。


 まだ何もわかっていないじゃないかと、なぜこんなに早く帰ってきてしまったんだと、僕は喚くが彼は何やら悩んでいる様子だ。

僕の“煩い”は気に求めず、僕の斜め上=上空をふよふよ漂っている。


 オロオロと辺りを見回すと、僕の姿が視界に入ったのか、シュッという音すら立てずにせっかちに消えてしまった。


 声をかけるが、返答はない。


 仕方ないから、1人で考えることにしようか。


 ......いや、今まで1人で考察することが成功していた試しがどこに、いつあったのであろうか。

数分も経たないうちになんの答えにも辿り着けず、ベッドにダイブする。


 眠くなって来た。


 でもやっぱり、机に向かう。

途中で、何やら紙の塊で足を滑らす。


 「痛っ」


 その辺に転がしていたシャープなペンシルが僕の足を穿つ(流石に過剰表現である。)。

靴下はすぐどっかにいってしまうから、履いていなかったことで、不幸のレベルが上がってしまった。


 ここ数年は殆ど外に出ていなかったし、転んでしまうほど焦って行動していることもなかったような身。

自分の血液を久しぶりに見た気がする。

というかそうであろう。


 なんだか、笑ってしまう。


  まあ良い。

外界、窓から木漏れる太陽光に照らされたそれと、転がっていた物らを見比べる。


 生き物と生を受けていないもの。

僕は、あとちょっとだけ、生き物だ。

そしてあと少しで、終わる。


 死に時は決まっている。

但、只其れを待つだけではつまらない。


 どうせそうと決まれば、僕は面倒に顔を突っ込む。

関係ないんだもの。

僕の今後に......


 あの、ぬいぐるみ野郎はじゃあ突っ込む必要が無いじゃないかと、どうせ変わらないのだからと言ってくるが、無視だ。無視!!


 好き放題しよう。

そう、なんでも良いんだ。

できてしまった1ヶ月を潰す暇つぶしがあればそれで良い。

世界が滅茶苦茶になれば、とても楽しいことだろう。


 面白い。


勇気はいらない。

気楽に孤独に、それが今の僕が持てる最大限度のモットーだから。


 その辺に落ちていた裏紙のプリントを手に、机に向かう。


 亡き父の万年筆を納戸から取り出して汚い字を紙に染み込ませる。


 シャープペンシルでも使えばよかったものをと思われて当然だが、これは僕“達”が解決しなければならない問題だった。

いや、ただ格好つけたかっただけかもしれないな。


 まあ良い。


 今日も終盤。

動き出した歯車はもう、誰にも止められやしない。


 少なからず人間には............


 太陽の橙が斜光となって窓を通り抜ける様子。


 あぁ、雨が止んだみたいだ。

どうにも僕にはそれが、鮮血の宣誓に見えて仕方がなかった。

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