第二○話 (6日目) 「単発時間遡行-1」
記念すべき、第二十話!ちょっと文字数多めです。
やっと6日目が終わった......長かった............
一部、内容をまとめるのが難しく、遅れてしまい申し訳ない限りです。
分かりやすくなかったらごめんなさい......
メランディは、マトロッツアの方へ歩み出る。
白金色を身に纏った彼は、矢張り美しかった。
2人は殆ど同時に口を開いたが、若干メランディの方が早かったから、マトロッツァの方が口を閉じた。
戦闘は必然だから、もう話し合う必要すら感じていなかったのだろう。
どちらが先手で話しても両者、文句はなさげだった。
「その子に手を出すのは辞めてくれないか?」
「なるべく僕も君とは戦いたくはない、寧ろ仲良くさせて欲しいと思っている」
「嘘も大概にしてちょうだい。無理な提案よ」
「仕方ない」
メランディはそう吐き捨てると、腰に沢山刺さっている中から、一本の剣を抜いた。
いや、違う。
あれは刀だ。
メランディは僕には目視できないほどの速さでマトロッツァに切りかかる。
実際には棟打ちしただけだ。
相手は本気なのに、手を抜いていて大丈夫なのだろうかと心配になった。
剣と杖のぶつかり合う、金属音だけが響き渡っている。
僕には彼等がどのように対戦しているのか見当もつかなかった。
......まあ、僕が目視できなかっただけなんだが。
?!
しかし、僕は何かに攻撃された。
それだけは分かった。
ヒシヒシと体中が痛みを訴え、なんだかインフルエンザとか、コロナウイルスとか、えぇっとな?
そういうのに蝕まれるように体温が上がっていく事が感じられる。
まずい気がするな。
そう思えるうちは良かったのだが、何かが吸い取られてゆく。
徐々に体から力が抜ける。
普段の運動不足が祟ったのかなんなのか。
体力は限界だ。
目の前の景色が眩む。
「やめろっ!」
メランディがそう叫ぶ。
だが僕は、何か言っているのだろうと判断するのでさえ難しい状態にあった。
情けないが多分、意識が、飛んだ。
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次に僕が目を覚ました時には、鬱陶しい程元気そうに嗤っているマルクスとメランディがこちらを覗いていた。
今では、いつも通りマルクスが健在なことがとても嬉しかった。
僕は人生で初めて幸せと思ったかもしれない。
ついでに、僕等はあの不思議な空間から脱出できたらしく、無念なことに気絶してしまった僕は、ベッドの上に横たわっていた。
よく考えると、どうしてこんな状況になっているのか?、
............何があったのか?
僕はマルクスたちに事情を聞いた。
要するに、こういう事だ。
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時は、数時間前に遡る。
まあ、つまり?
僕が意識を別世界に送っていた時の話ということだ。(絶対、気絶してない......と言い張りたいところだが、今度は少しというか?なんと言えばいいのか?ま、無理そうだな...悔しいが。)
僕を攻撃......いや、僕に力を与えたのが、ミュランディーア=マトロッツァという、メランディの対として置かれている、生を司る神であるらしい。
そして、メランディはマルクスの先輩に当たる神で、サンフューネと昔は仲が良かったのだが、ここ数100年は敵対しており、今回の一件のように、ぶつかり合うことも少なくないという。
敵対し始めた原因は、サンフューネが身に余る力を持ち始めた事であったらしい。
力を持て余し始めた当初は、その力を天界祭事や、天界保持など、人々や神々の補助に使っていた。
だが、徐々に時を重ねるにつれ、その力を放出仕切れなくなり、次第に暴走し始め、彼女が彼女であることから遠ざかっていった。
このまま進行していくと危険であると判断し、1度目に封印を試みた時にはウェルト=エルストリアたち神々は若く、実力不足であった。
そこで、彼等が生前にいた国(ゼウロサルク⦅ゼーロスアルク⦆)の天使族の中から実力のある者たちを集め、封印にあったった。
結果は、不完全な封印ができただけであった。
しかし、多くの負傷者を伴った。
その中に、僕の父も......いたらしい。
メランディとウェルトには沢山詫びられ、散々なまでに彼の英雄振りを伝えられた。
が、僕は僕の父の顔を知らない。
何せ、物心つくまえになくなっているのだから。
だが悪い気はしなかったし、そんな父がいる事が寧ろ、誇りに思えた。
話を戻そう。
これでは結果に見合わない。
多くの反感を買い、神々は地上の人々に叩かれることになってしまう。
そう考えた彼等は、完全封印に成功したと国家に発表した。
この先の対事で協力を仰げなくなる事を覚悟の上での決断だった。
つい数十年前、サンフューネとメランディの親神であるウェルトが、これ以上このまま見過ごすとこの世界が破滅してしまうと判断。
ゼウロサルクの人々には隠密に彼女を封印する計画を立て、実行することとなった。
しかし、封印自体はうまくいったのだがサンフューネは封印に細工をし、1回目の封印者の中、1番強力であったヒトの、末裔である僕があのファイルを手に取るように仕向けたのだという。
またしても僕はウェルトたちに謝られた。
平謝りとは思えなかった。
そんなに謝られると、こちらが申し訳ないしくらいだし、どう反応して良いのかわからなかった。
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まあ、こんな感じだ。
サンフューネはというと、僕に力を与えるという形で力を一時的に失ったので、マルクスとメランディ、ウェルト達が封印をしたらしい。
「今度こそはうまくいったよー!」
「やったー!」
ウェルトが疲れ気味な様子だが、声を上げる。
「浮かれてると、まーた、エライ目に会うからなー。」
マルクスは、喜んでいるこの雰囲気を無理矢理にでも崩そうとする。
「いいじゃない。」
「だってー、最近職務が大変なんだよ?」
「そんなことはないな。いっつも遊んでばかりじゃないか。」
「むぅーー。」
ウェルトとマルクスが張り合う光景は、実に愉快だった。
僕とメランディは微笑った。
この幸せの味を噛み締めながら。
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今ではすっかり無駄な口ばかり聞くようになってしまったマルクスの傷は、主にウェルトが癒やし、
僕に託された、マトロッツァの持ちきれなくなった力は精々、時間逆行数回分である事が鑑定結果でわかったらしく、消去するのにもかなりの力を使うので、保っておくらしい。
だが、くれぐれも危ないことには使うな、いや、使ってはいけないと、固くお咎め済みだ。
さらに、矢鱈に口止めされた。
まあ、僕にこんな口止めしたって話すような相手もいないんだがな。
そう。僕たちは気がつけなかった。
僕がマトロッツァから引き継いだ力が後の僕らをジュクジュクと侵食していっていることに。
みなさん、風邪には気を付けてくださいー。




