第零話 (1日目) 「何時もの朝」 〜プロローグ〜
こんにちは。
桜井 雪と申します。
この作品も、これから出す作品も、
1話1話が短いくせに、1週間1回位の更新になるかなと。
まあ、マイペース投稿なので気長にやっていきます。
なぜ、僕ばかりがこうなるのだろうか。
そう、言わば、トントン拍子の丁度正反対といったところだろう。
ントント拍子…………?
なんてな。
今日は昨日より一段と暖かい陽気が流れている。
なのにどうして、この世は僕を一斉に敵に回したかの様に失敗するものなのであろうか。
僕の努力は報われず、友達も出来ない。
生まれつき人見知りだからだと、言い訳したい。
いや、したかった。
僕は言い訳できるほどの立場でさえないのだと、再確認する。
なんなら逆に、努力したらするほどドン底に落とされていった。
また、友達になるどころか、虐められ、貶される。
僕の心はガラス製で割れやすいんだ。
それを知っていて“友達”はこれをハンマーで叩こうとする。
そして、バリバリに割れて、破片が飛び散ることも知らずに。
…………友達とは?
このありふれた答えのない質問に無為に答える奴等が妬ましい。
学校の先生とか、曰く。
“みんなで仲良くしましょうね!”
だとか、
“イジメは辞めましょう!”
という事らしい。
“争いは何も生まない。”
今日も止むことなく続く戦争。
何も得ないなら、やる必要は皆無だ。
じゃあ、何故だ。
失うものこそ多いが、得るものがあるということだ。
この世界はどうも、沢山の矛盾が重なって一つのストーリィと化しているのだ。
僕にはそう思えてならない。
この一見調和の取れたように見える世界は、そういったくだらない縛りの中で形作られているただの外見に過ぎない。
十人十色、性格も身体付きも、身体能力も、心情さえも、10人いたら10種だし、100人居たら100種ある。
近年、こういったことがよく言われていて、個人の意見の尊重を促すような決まり文句と化している。
しかしながら現実はこんなこと、叶うはずもなく時がだけが無情に流れている。
要するにだな。
普通のその他98名の心が粘土のように柔軟なら、僕は薄い薄い硝子に相当すると考えて相違ないと思う。
スイカは外見からは想像できない程、中身が紅く染まっている。
だから僕も他の人には分からない程、いや、わかってもらっては行けない程、
……傷つきやすいんだ。
後の残り1人の話はまた後程。
結局、僕は何を言いたかったんだかな…………
兎も角、他の人はこんな僕とは、一生分かり合える筈がない。
だから、僕は他の人々と分かり合える訳がないのである。
…………あってはならないのかも知れない。
そして、そうであって欲しくないのだと、自分の心の何処かで感じてしまう。
だから、僕はこの言葉が、“虐める”という言葉が昔から嫌いだった。
そして、この世界を世界一嫌っているのも僕だと確信している。
因みに、過去形ではなく現在進行形でも“嫌い”だ。
この言葉を使われると、自分が弱いと言われている様で、居ても立っても居られなくなる。
自分が鳥籠の中の鳥になった様な気分で嫌気が刺す。
今日も、メディアでは軽々しく使われるが、僕はそうであって欲しくない。
きっと僕の様な出来損ないは他にもいて、
そう思っている人も少なからずいるのではないだろうか。
まあともあれ、言わば出来損ないというやつだ。
兎にも角にも、この世界に不適合なんだ。
そう、天は、神は気に入った魂に二物を与えるために僕の様な人間を生産する。
だから僕は蔑まれ、侮辱され、屈辱を味わい続けたのだと、そう思っていたかった。
毎日の様にそう思う。
いっそのこと、人間の心なんてなければこんな思いもしなくて済むのかもしれないと思った。
…………死にたい。
何気なく呟いた。
いつものことだ。
何ら変わりはない。
いつもの自室。
良くある燻んだ灰の様な空。
太陽光はじわじわと暖かみだけを送る。
曇天が多いのは6月だからかも知れない。
決して、僕の心が病んでいるからとかでは、ない。
そして目の前には人形?
…………ん?
何だ、これ。
天使…………が、いる。
天、使?
ちょっと待て。
タンマ、タンマ。
何かおかしくないか。
驚いた拍子に瞑ったままの目の裏で、考えた。
いや、本当は何も考えてないのかも。
只々、聞こえてくる音(声?)を聞いた。
耳を良く澄ませる。
これまでに人の話に本気で耳を傾けた事がなかった僕にとってはこれは至難の業であった。
最も、今度は人ならざる者かもしれないのだが…………
「君………………に………………か………………少年だ。」
うーんと……
どういう事だろうか。
その後も、同じ声が狂ったように続く。
怖くなってきて、一歩後退る。
こんな事なら、毎日部屋の片付けを怠るべきではなかった。
自分のすぐ後ろのペンに足を滑らせてしまった。
尻餅をつき、目を開く。
一瞬のことだった。
ほんの数秒、本当に一瞬。
目の前には何の姿もなく、声も、しなくなっていた。
気のせいか?
一歩戻る。
すると、声が何故だか、どんどん近くへ、ぐんぐんずんずん進んでくる。
「気のせいじゃ、ねえぜぇ。」
とうとう僕も気が狂ったか。
しかもこの声は僕の心を読んでいる?!
声に出して呟いたのかもしれないが、、、、、、
自分の頭を自分の細い腕の重い拳で何度か殴った。
痛いだけでこの声は聞こえ続けた。
本当にどういう事だろうか。
ふと、この世に僕はもう居ないのではないかという発想が頭をよぎる。
そんな、まさかな。
「少年、正気か?」
「よくそんな事平気で自分に向かってできるな。」
「関心、関心。」
その時、僕の前にはもういつもの景色はなかった。
そこには、白くて、でもどこかから真っ黒な風が吹き荒れていた。
そう、僕の知らない何かが、僕の大きく、ポッカリと空いた穴の片端に佇むかの様に浮いて居たのだ。
そう、俄には信じがたいことだが、僕の前には
“天使”が、いた。




