第十話 (4日目) 「君の選択」
ごめんなさい。
今週分短いです。(1700字)
カラカラと3台の自転車を押す音が沈んでゆく太陽と共に消えて行く。
また、明日さんの声も薄暗がりに溶け込む。
「いや〜。
あいる君と違うクラスなの悲しー。
こう言うのって、なんかさ、同じクラスになるのがお決まりみたいな感じじゃないの?」
「あとさあとさ、先生が放課後来なさーいって言うくせに、出張でいなくて。
もう私、ほんと怒っちゃうんだからっ。」
あれ、僕も呼び出されたけどいなかった様な、、、、、、
「実は俺も訳も分からず呼び出し食らったんだが。
おんなじだよ。いなかった。」
僕は怜と、明日さんの言葉に大きく頷く。
僕らは顔を見合わせると3人の状況が同じであった事に対して不信感しかない事を確認する。
暫くして怜が口を開く。
「まあ、俺らがこの学校から羽生られてんのは確かだな。」
「先生まであいる君の虐めの共犯だったなんて、、、、、、」
「そりゃあ、立場が違いすぎて俺らが敵うわけがないな。」
「うーん。」
マルクスが通った。
田舎の夏の夕方は静かだ。
「で、でもっ!わ、私は2人の味方だから!」
「おう!俺もだ。」
怜は、「な?」と言いながら僕の肩を組む。
あはは。
僕はまたこくりと頷く。
「あー。
あとな1つ相談なんだが、俺、生徒会にどうだって言われたんだがどう思うよ。」
!!!!!!!!?
「わっ、私もそれ、、、、、、言われた、、、。」
何故彼女もこの話に勧誘されたのかよく分からないのだが、慌てふためきつつ僕も頭を縦に振る。
「、、、、、、っ。これにも何か裏がありそうだな。」
「でっ、でもさ。
そう言うのってさぁ、」
絶対やりたくない、絶対やりたくない。絶対......できない、、、、、、。
僕はーー。
「青春って感じじゃない?!如何にもって感じっ!
やらない?2人とも、、、、、、」
「俺はいいけども、、、、、、」
怜は僕にどうだ?と訊くように顔を向ける。
いつ見ても彼の顔は整っている。
が、普段は影が薄かったからか目立たなかったんだよな。
それでも、数年間外国に行っただけでこんなにも人は変化するんだな。
そんなことを考えているうちにトンネルに差し掛かる。
僕の故郷のこの場所は山間にあるから、坂や小さなトンネルがたくさんある。
僕はそんな小さな真っ暗闇のトンネルに閉じ込められてでていく方向を見失っていただけではなかったのか?
こんなに簡単に挫けてよかったのか?
否。
僕には怜みたいに家族に連れ出してもらうこともできないし、勿論、自分には無理だ。
「はぁ。なにを言っているんだ君は。」
マルクス......
僕はマルクスに背中を押される。(と言っても、マルクスに実体はないからスカッと空をかいただけだったが!)
面白いじゃないか。
僕な自分を奮い立たせようと頬を無理にあげる。
涙が溢れそうになる事を堪えながら、2人の後ろを歩いているのをやめて、忘れて、暗闇から出る。
夏の夕日を背中に2人の手を取る。
トンネルから優しい風が吹く。
明日さんのスカートがふわっと舞う。
そうだ。
僕はここで止まるわけには行けない。
例え僕の交わした契約がこうかいになってしまうのだとしても。
もうそれでいい。
そう。それでもいいんだ。
「立候補............しよう。」
僕はもうこれ以上人生を楽しみたくなかった。
でも。
そう。
俺には。
2人がいる。
遠く離れたところから何も無いのに羨むのはもうやめだ。
キャッキャとはしゃぐ明日さんの声に隠れるような小さな声が聞こえる。
怜だ。
「お前。ほんとによかったのかよ。逆に目立つぞ。」
僕は真面目に本気でやると決意した。
ごくりと唾を飲み込むと、こくりと頷く。
「そうか。」
怜から握った手が向けられる。
「こ、こう言うの、なんて言うんだっけ。」
「フィストバンプな。」
はははと大きく口を開ける彼のグーに握った手を僕は両手で握りしめる。
「亜威留。お前、違うだろ。」
さらに笑う彼に腕を動かされる。
僕はまた笑った。




