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1.新学期、そして春の始まり

ここは桜舞い散る首都東京。


春、それは出会いと別れの季節。世の人間たちは出会いに喜び、そして別れに涙することだろう。

それはこの男にも例外ではなく……


「さっっっっっむ、東京だよなここ??はぁぁぁぁぁぁぁ???」


例外だった。


彼の名は田沼 望(たぬま のぞむ)


高校進学のタイミングで東京へ越してきてはや一年。

高校2年の輝かしい一学期がスタートするというのに、この男には情緒も風情もないようだ。

はぁ……


「待ち合わせして学校行くのはいいけど寒いんだよ今日、、気温9度ってこんな寒いもんだっけ??」


この男、寒がっているがそれもそのはず、今日は春の東京では珍しい(恐らく)最低気温日。

基礎体温の低さと末端冷え性が売りの彼からすれば、少々大げさに寒がっているのも仕方がない……だろう。


いや、作者はこちとらマイナスの世界だぞ??寒がりすぎだろふざけんな


「のぞむーーー!待ったーーー?」


「いんや、待ってないよ。おはよ〜美夢。」


どうやら待ち人が来たらしい。彼女の名前は唯儚 美夢(ただはかな みゆ)


望とは幼馴染であり、頭脳明晰、天真爛漫、容姿端麗の美少女である。


家が近所だったこともあり、幼少期から一緒に行動することも多い。

が、高校では離れる予定だった。


望は照れ臭くて東京へ行くことは美夢に伝えていなかったようだが、

望の引越しのタイミングで、美夢も東京に行くことが発覚。

なんなら通う高校も同じという。なんともまぁ……ご都合すぎだろ代われそこ。


挨拶を交えつつ二人は歩き出す。


「おはよ〜、遅れてごめんね、今日は髪が中々言うこと聞いてくんなくてさ〜…」


美夢は幼い頃から髪が長く、さらには天パときた。寝起きの姿をもちろん幼馴染である望は見たことがあるのだが……曰く、ハリケーンを食らったあとの髪型。


まあ仕方ないよなぁと思いつつ、望は美夢の前に2本の缶を差し出す。


「ほーん、そりゃあお疲れ様でごぜぇました。今日寒かったし、あったかい飲み物買っといたよ。

ココアかオニオンスープ、どっちがいい?」

「ありがとうでごぜぇました。んーー、朝から疲れたので我は甘いものを欲す!」


ふんすっ、と言わんばかりのドヤ顔で美夢はココアを受け取る。

なんともまぁ可愛らしい少女だ。


コンポタを飲みながら、白い目を美夢に向け望が言う。


「ところで美夢さんや。今日から新学期なわけだけど大丈夫なのかい?」


飲み終わったココアの缶を名残惜しそうにのぞき込みつつ、美夢は答える。


「何の話だい望さんや。本日も私は完璧美少女だよ?」


その様子からほぼほぼ確信を持ちつつ、望はため息をつき言う。


「自分で言うな自分で。まぁ美夢は今日も可愛いけどそうじゃなくて────」


「っ…、!ぅん……」


美夢が紅く頬を染め俯いているが、望は気にも止めず続ける。


「───教科書と提出物。新学期で時間割新しくなってるけどちゃんと持ってきた?」


「──へ……?」


紅く染めた頬が一転、血の気の失せた青い色へと染まって行く。

その様子を見て、再び望は深くため息をつくのだった────

今はまだ普通だぜ、まだしばらくは………ね?

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