第995話 リズムゲームエリアへ
リズムゲームのコーナーへとやってきた私たち。ここにはあまり足を踏み入れないからいろんなゲーム筐体に目移りしちゃう。
太鼓のゲーム、降ってくるノーツにタイミングよくそのボタンを押すもの、押すところがピアノの鍵盤のようになっているもの、丸型のディスプレイの周りにボタンがあるもの、ディスプレイを直接触ってプレイするもの……本当に様々な種類がある。
プレイしている人が何人かいるけど、一部の人は手袋……軍手かな?をしている人もいる。
以前、みんなでここに来た時は健太郎君がリズムゲームをしてたけど、軍手はしてなかったはず。
「美奈ちゃんはリズムゲームはよくやるの?」
「うん。毎回じゃないけど、ここに来るとけっこうやるよ」
「そうなんだ。私はやったことないけど、健太郎君のやってるところを見たら難しそうって思っちゃった」
「清水先輩、ゲーム上手ってお兄ちゃんから聞いてるからね」
勉強も学年一位でゲームも上手って……普通に考えたらすごいことだよね。健太郎君は頭がいいから、コツを掴むのが早いのかな?
「ねえお義姉ちゃん、ちょっとやってもいい?」
「もちろんだよ。私は見てるから気にしないで」
「うん! ありがとうお義姉ちゃん」
美奈ちゃんは嬉しそうに、鍵盤のリズムゲーム『RYTHENIST』の前に立ち、百円を入れて、カードを取りだした。
「美奈ちゃん、そのカードは?」
「これにこのゲームのプレイヤー情報を保存してあるんだよ」
「そうなんだ……?」
プレイヤー情報ということは、自分のプロフィールや曲の成績……スコアも保存されるってこと? ただリズムゲームをプレイするだけじゃないんだ……。
「いっぱいプレイすると、プレイヤーレベルが上がって、プロフィールに載せられる定型文や、プレイヤースキンなんかも手に入るんだよ。コラボ期間中だと限定楽曲も遊べちゃうからね」
「す、すごいんだね……」
あんまり頭には入ってこなかったけど、すごいということだけはわかった。
真人はRYTHENIST……じゃなくてもいいけど、リズムゲームってやったことあるのかな?
私と来た時はしてないけど、やってるって聞いたことないし……今度聞いてみよう。
意識を美奈ちゃんに戻すと、美奈ちゃんはどの曲を遊ぶのか選んでいた。
「す、すごいいっぱいあるんだね」
「普通に千曲近くあるからね」
「せ、千曲!?」
そ、そんなにあるの!? 多くても百曲くらいかなって思ってたのに、私の思っていた十倍の曲数があるなんて……。
「……あ!」
美奈ちゃんがどんどんスライドして曲を選んでいる中で、私の知ってる曲が一瞬だけ流れた。
「どうしたのお義姉ちゃん?」
「う、ううん。知ってる曲があったから……」
「んー……これ?」
美奈ちゃんが数曲戻してくれて、また知っている曲が流れた。
「うん、それだよ!」
この曲はアイドルソングではなく、真人の部屋にあったラブコメのライトノベルがアニメ化した時の主題歌だった。
明るい曲調で、歌っているのはアニメのメインキャストを務めた四人の女性声優さんで、私は配信でそのアニメを……まだ数話だけど見ていたから知っていた。
「じゃあこの曲にしようかな」
「いいの?」
「うん。もうあまり選ぶ時間もないし、お義姉ちゃんも知ってる曲の方が面白さも伝わりやすいかなって」
「美奈ちゃん……ありがとう!」
美奈ちゃんの優しさが嬉しくて、ちょっとだけ抱きつきたくなっちゃったけど、邪魔したら悪いから我慢しなきゃ……。
「ううん、これくらいはね。えっとじゃあレベルは……」
美奈ちゃんはちょっと迷いながら上から二番目のレベルを選択した。
曲と難易度を選び終えて、いよいよゲームスタートするみたい。
せっかく美奈ちゃんが知ってる曲を選んでくれたんだから、どんな感じのゲームなのか、しっかりと見ないとね!




