第985話 もしも真人がいなければ
「……っていうか、優しい雰囲気の人が好きなのはお義姉ちゃんもでしょ!?」
「……へ?」
優しいタイプの男の人を想像していたら、美奈ちゃんに抗議された。
「お兄ちゃんの優しい部分を知ってからお兄ちゃんを好きになったんだから!」
「うーん……そうかもだけど、ちょっと違うかな」
「え?」
「私を好きになってくれて、私を大切にしてくれる人なら、ちょっと口や態度が悪い人でも、いいなって思ったら、多分だけど付き合っていたと思うよ」
真人がいない前提の話になるけど、一途に私を想ってくれて、大切にしてくれて、私という存在を蔑ろにしない……尊重してくれる人だと思ったら、例えば真人と出会っていない頃の修斗君……の性格をもう少し柔らかくしたような人でも付き合っていたんじゃないかなって、真剣に考えるとそう思う。
「そうなの?」
「うん。真人の人を思いやる心を知って、気づいたら心を奪われてて、知れば知るほど真人は私の理想そのものの旦那様だったよ」
「じゃあ、もしお兄ちゃんと同じ性格で、見た目が店長みたいな人だとしても付き合えてた?」
私は目を閉じて店長さん……はちょっと歳が離れすぎているから泉池さんを連想する。中学三年のあの日、おばあちゃんの散歩のお手伝いをしている人が泉池さんだったとして……。
「真人がいない前提の話になるけど……多分ね」
ちょっと曖昧な答えをしてしまった。
「多分なんだ」
「だって……やっぱり真人以外の人とってなると、どうしてもブレーキがかかっちゃうもん」
美奈ちゃんに偉そうに説いておきながら、やっぱり真人以外の人とお付き合いするのは想像だとしても無意識に拒否しちゃうんだもん。こればかりは完全に現実と切り離して考えることはできないよ……。
「やっぱりお義姉ちゃんはそういうオチになるよね」
「うぅ……あ、ゲームセンターが見えてきたよ!」
美奈ちゃんに半分呆れられていると、ゲームセンターが見えてきた。
緊張が増して、私の手を強く握ってきた美奈ちゃんと一緒にゲームセンターに入ろうとして、私はゲームセンターの入り口近くで立ってゲームセンターを見ている知り合いを見つけたので、その人に声をかけることにした。




