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クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです  作者: こたろう文庫


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神、再び

田中君との会話を諦めようと思った時、急に目の前に少年が現れた。

少年というか、僕達を向こうの世界に誘拐した神だ。


「僕の出番かな。今は誰もこの部屋に干渉出来ないから安心してね。僕の姿は隠れて見ている人たちには見えないし、声も聞こえないよ。君達のもね」

神は軽い口調で淡々と述べる


「てめぇ、どうなってるんだよ。なんでこっちに戻ってからも捕まってるんだ!」

田中君が神に吠える


「向こうの世界での悪事が、この世界に戻ってきたからってなくなるなんて思わないでって事だよ。わかったら黙っててくれるかな。君のことはどうでもいいんだよ」


田中君は反論しようとしたけど、神がそう言った後震えだした。


「君とは話をしないといけないと思ってタイミングを見計らってたんだよ。じゃないとゲームが成り立たなくなるからね」

神は僕と話をしにきたらしい


「えっと、ゲームってなんですか?それからなんで田中君がこっちの世界に戻っていて、強盗したことになってるんですか?」

僕は恐る恐る神に聞く。田中君が戻ってきていることには予想はついているけど……


「君にもわかるように順番に説明するよ。まず初めにこれから話す事は誰にも言ってはいけないよ。まあ、見たからわかると思うけど、言いたくても言えないけどね。それでも話す方法はなくはないから忠告するけど、話したら最後、僕は君の敵になるからね」

田中君が話せなかったのはそういうことだったのか。


「わかりました。お願いします」


「まずゲームって言ったけど、君にわかりやすいように言っただけでふざけてるわけではないからね。君に話さないといけないところだけ説明するから、話したことがこのゲームの全てでは無いよ。そこの彼を例にして説明するね。彼は向こうの世界で死んで、ゲームオーバーになったからこっちの世界に戻ってきたよ。彼は向こうの世界で悪い事をしたよね?向こうで死んだからって許される罪ではないと思わないかい?だからこっちの世界で同じ事をした事にしたよ。これは悪い事だけじゃないよ。向こうの世界で良い事……例えば人を救ったりすれば、こっちの世界でも人を救った勇敢な人として尊敬されるかもしれないね。向こうの世界でお金持ちになれば、こっちの世界でもお金持ちになれるよ。今回の件で斬られてトラックを奪われた人や、手首を切られた警察官がいたよね。でもそんな人、本当は実在しないよ。でも彼の罪として周りには認識されてるんだ。これは神である僕の力だよ。わかったかな?」

神から一気に説明されたことを僕は頭の中で整理する。


「えっと、向こうで死ねばこっちに帰って来られる。向こうでの行いはこっちに帰ってきてからも引き継がれる。例えば、向こうで大量虐殺をしても、実際にこっちの人が大量に虐殺される事はないように配慮はしてある。だけど大量虐殺をしたことは認知されて罪に問われる。これで合ってますか?」


「大体合ってるね。理解が早くて助かるよ」


「死んだら死体が残りますよね?それはどうなるんですか?」

生き返りながら転移するなら消えるのだろうか?


「そのままだよ。なんで残るのか君に説明するつもりはないよ。教えるのは必要な最低限のルールだけ」


「…そうですか。盗賊討伐などで人を殺した場合はどうなるんですか?」

向こうの環境とこっちの環境で、そもそもの前提が異なる場合の事が気になる。神は向こうの罪がこっちに戻っても許されないと言っていた。向こうでは善行でこっちでは罪みたいな場合はどうなるのだろうか?


向こうの世界で盗賊団のアジトを見つけて全滅させたら賞賛されるだろう。盗賊は処刑が当たり前になっている世界だ。

でもこっちの世界で強盗団のアジトを見つけたから皆殺しにしたって言ったら捕まると思う。乗り込んでる時点で正当防衛ってわけでもないし。


「詳しくは言わないけど、向こうの世界での行いが忠実に再現されるわけではないよ。君にわかりやすく言うと、善行ポイントと悪行ポイントがあって、向こうでの行いによってそれぞれ加算されていくんだ。ゲームオーバーした時の結果を見て、僕が向こうの世界に近い形でこっちの世界に反映させるんだよ。だから向こうの世界では良い事をたくさんしたのに、こっちの世界ではそれは罪で悪人として捕まるなんてことはないよ」

なるほど。配慮はされているらしい。


「死んだ場合に何かペナルティみたいなことはあるんですか?例えば向こうの世界に行ってすぐに死んだとしたら、そのままこっちに戻ってくるのと何か違いはありますか?」

すぐに死んだなら善行も悪行もないだろう


「ないよ。すぐにゲームオーバーになったからって罰を与えるなんて事はしないよ」

それなら地球に帰りたい人がいたら、死んだら元の世界に帰れるよって教えてあげれば良いのか……いや、だから僕に話をしたのか。


「そういうことだよ」

まだ話してないのに返事をされた。


「驚いているようだけど、僕は神なんだから何を考えているかくらいわかるよ。あ、いつでもじゃないから安心してね。今だけだよ」

本当かどうか怪しいけど、信じるしかないか


「そう、信じてね」


「僕がこっちの世界に帰れるのはイレギュラーだったってことですよね?何もするなって忠告に来たんですか?」


「特殊ではあるけど問題はないよ。ただこのままだとゲームが成り立たなくなるから、他の人に死ねば元の世界に帰れることを言わないように話をしに来ただけだよ。特殊って意味では君以外にも1人変わった子がいるからね……おっと口が滑ったよ。僕からの話は以上だけど、他に聞きたいことがあるなら今のうちだよ?」

絶対わざと口を滑らせたな。……今はそれどころではないか。


「僕がクラスメイトを何も説明せずに殺すのは有りですか?」

聞くか悩んでいたけど、思っていることがバレているなら聞いた方がいいだろう。それにさっきの言い方だと聞けと言っているようにも聞こえた。


「それは大丈夫だよ。いや…それだと少しつまらないね。だから相手に殺すよって、宣言はしないといけない事にしようか。相手が抵抗しないと簡単すぎるでしょ?ただそれをすると君は向こうの世界で殺人者になっちゃうね。君がどうするかは今後楽しむとして、特別に君にだけルールを追加しようか。まずクラスメイトに限り、殺しても悪行ポイントは貯まらないことにしてあげるね。救う為に殺人をしたのに、こっちの世界に戻ったら連続殺人犯なんて可哀想だからね。それからこっちの世界に帰ってきたクラスメイトに限り、僕との会話を話してもいいことにするよ。殺してからこっちの世界で、向こうでの行いを説明することは許してあげるってことね」

聞いて正解だったようだ。


「ちなみに聞かなかったらどうなってたんですか?」


「特別ルールが適用されないだけだよ。君がクラスメイトを殺したら、ちゃんと殺人をしたとして悪行ポイントが溜まっていき、なんで殺したかを弁明する機会も与えられないってだけ。ああ、その代わりに今から殺すよって宣言はしなくてもよくなってたね」

軽く言っているけど、大分違うじゃん。


「もうひとつ聞きたいことがあります」

僕は神にもう一つ聞きたいことがあった。


「ああ、君の家族のことなら大丈夫だよ。向こうの世界の事を話せなくする前に話してしまったことだからね。君がどうするのか気になっただけだけど……。今は君も家族も他の人に話せなくなってるから何も問題はないよ。さて、用は済んだから僕は帰るね。君が部屋を出るまでは部屋はこのままにしておいてあげるよ」

聞く前に答えを勝手に言って、神は消えた。


部屋には僕と田中君だけが残される。


元々は田中君と話をして何か情報を得るつもりだったけど、知りたい事は全部わかったから話す事はないな。

可哀想ではあるけど、この世界じゃなくても罪を犯したのは間違いではないから。


「それじゃあ僕も帰るね」

僕は田中君にそう言って帰ろうとする。


「待ってくれ!助けてくれよ」


「僕には無理だよ。悪いことをしたんだから罰を受けるのは当然だよ。それに田中君が言ってるのは逃走の手助けをしろってことだよ。わかってて言ってる?」


「また俺を見捨てるのか。俺は処刑される前に見たんだぞ!お前がギルドの女と酒場に入って行くのを。立花もいたな。2人で俺を売ったんだろ!」

エアリアさんのことだろうか……。酒場に入るところを見られていたらしい。

見捨てたのは間違い無いけど、見捨てなかったところで結果は変わっていない。

それに、結果的ではあるけど僕は田中君を助けている。恩義せがましいから言いたく無いんだけど、恨まれ続けるのも嫌だし言っておくか。


「あの世界では盗賊は捕まったらよっぽどのことがない限り処刑なんだよ。良くて奴隷ね。盗賊になった経緯は知らないけど、悪の道に逸れた時点で君が悪い。それから君が馬車を襲った時に大怪我をさせた人を治したのは僕だよ。僕がいなかったらあの人は多分死んでた。そうなってたら君は殺人者になってたね。そういう意味では僕は君を助けてはいるんだよ。結果的にだけどね。感謝されることはあっても悪く言われる筋合いはないよ」

僕はそう言ってから部屋を出た。

田中君がどう思ったかはわからないけど、あの時も今も、捕まっている田中君をどうにかする力が僕には無いことはわかって欲しいものだ。


「何か話は聞けたかい?」

外にいた刑事さんに聞かれる


「何か話してくれないか待ってましたけど、何も話してくれませんでしたよ。見てたんですよね?」

僕も話してないことになっているだろうから、僕からは話さずに待っていたと言った方がいいだろう。


「……見ても、聞いてもなかった。わかるだろ?」

刑事さんはそう言って僕の肩に手を置いた。


見ても、聞いてもいたけど、騙すようなやり方をしたのは口外するなよってことだろう。


「わかりました」

白黒はっきりさせたいわけではないので了承する。

神が言った時点で見てるのは確定しているようなものだし……


さて、まずはヨツバを殺してあげるか。

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