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遅くなりました。

時遡り…。


「「「「「王妃殿下、ようこそシュナウザー家へ」」」」」


兄は学園寮に戻り父上は登城しているので母上とセバスじい、手の空いている侍女侍従総出でお辞儀しお迎えです。


「あら~今回はお忍びなんだからそんな固苦しい挨拶なくて良いわ。

色々楽しみすぎて昨日は中々寝付けなかったわ~」


「そうね公式の訪問じゃないし…。では先ずはお目当てのマッサージからね。

 ガビーに至福の時間を約束するわ」


「ふふ。来月王都にオープンする『フランジパーニ』がかなりの噂になってたわね。ロッテが王都に来てすぐのお茶会で数人に話してただけなのにね?

 それと私主催の夜会でシュナウザー家掌中の珠のヴィクトーリア嬢が倒れたから心配したわ。

 やっと会えると期待してたのよ?…で先触れ忘れてたけど、うちの筆頭侍医連れてきたのよ」


 父上が登城に使ったシュナウザー家の紋章付き馬車(6名乗っても余裕がある作り)を使い王妃様と専属侍女1名、王族筆頭侍医と助手2名計5名で来られました。

 護衛騎士は馬車5分でも父上登城の時と同じ見守りくん表部隊精鋭です。


「まぁ。わざわざありがとう。熱が出てるけど、うちの専属侍医特製薬湯を飲めば数日で良くなると言ってたのよ。

セバス、ヴィーの状態は?」


「先程確認した時は薬湯の効果で眠っておいででした」


「…そう。様子見がてら先触れして」


「かしこまりました。まだお目覚めになってないかもなので、先に…ラウラ様子を見に行ってきなさい」


「はい、セバスティアン様」


 王妃様絶対確信犯で先触れしなかったと思われます。

 勿論母上も気づいた上での対応です。


「それでは侍医の方々はヴィクトーリア様の準備が整いましたらご案内致しますので、それまでこちらの応接室でお待ち下さい。」


「セバス後は頼むわね。ガビー、我が家自慢の中庭を通って奥に新しく作ったサロンでマッサージ受けてもらうから行きましょう」


 ヴィルム王国王妃ガブリエル·ド·ヴィルム様(37才)はプラチナブロンドの髪に金眼170cmのスレンダー美女です。


 王国の西側、フレンチ公国第1王女で17才の時にヴィルム王立魔法学園に留学し王家主催の夜会に出席、当時王太子だった国王陛下が一目惚れしなんとその場で跪きプロポーズ!!!


 流石にその場で答える事も出来ず、さりとて王太子殿下に恥をかかせる訳にもいかず「嬉しいですわ」と微笑み曖昧にしていたところ翌日から寮に毎日花束が愛の言葉と共に届けられ、困惑していた翌週に呼び出された王宮で完全に外堀埋められ逃げ場がないと知らされ婚約発表、その翌日から王妃教育が始まり卒業式の翌日が結婚式だったと聞いています。


 貴族の家には国王家族の肖像画が毎年かけ替えられていて、我が家では父上の執務室に飾られています。

 わたくしは生まれこそ王都なのですが幼少期病弱で領地に静養に行ったままで王妃様とはまだ会った事がありません。


ここからはラウラ情報なのですが今回お忍びの為控えめなドレスなのに素晴らしいと絶賛してました。

王都にある王族御用達で午前と午後の限定2組と高位貴族でも予約が中々取れない『ローゼ』で仕立てた最新作。


シルク似の生地はロイヤルブルーに染められ、ふんわりとしたドレープに白い細かな刺繍と繊細なレースは流行最先端。

 胸元に共布で作られた薔薇のブローチを着けてます。

 この薔薇が『ローゼ』ブランドの象徴で生花と見まがう出来なのです。


 アクセサリーも王室御用達ブランド『シュテルンツェルト』で稀少なロイヤルブルーサファイアとダイアモンドのイヤリングのセットは国王陛下からプレゼントされたものだそうです。


 対する母上は薄いピンクに染められたシルクに王妃様のフレンチ公国伝統の技巧的な刺繍が散りばめられ袖口のレースがとても素敵なドレスでアクセサリーはルビーとダイアモンド、ルビーは鳩の血と呼ばれる最高級ピジョンブラッド。

 王妃様のアクセサリーやドレス見たかったですわ。


「楽しみだわ〜シュナウザー家に来るのは学生時代以来2度目ね。」


 シュナウザー家の王都のタウンハウスは広くわたくしはまだ1ヶ月しか滞在してないので全てを把握出来ておりません。

 庭に薔薇園があり、中心部分にあるガラス張りの温室内には母上の趣味で季節の違う珍しい外国の花が植えてあります。

 魔術で温度管理されてるのですが、前世ひよこ電球100Wをサーモスタット管理しフランジパニを越冬させていた事を思い出すと便利ですわね。


「さぁどうぞ。こちらが出来たばかりの特別サロンよ」


「まぁ〜なんて素敵なの!!!良い香りだわ。フレンチ公国の花ね?懐かしい香り」

 

 一見ガラス張りですが、温室と異なりこちらは外から中は見れないようマジックミラーになっています。

 クリスタルガラスのシャンデリアに稀少な魔石を使った華やかな空間に、マッサージの施術台に使う家具は特注で創られてたアンティーク。

 周りには王妃様の好きな百合が飾られています。


「あら気づいた?さすがね。ガビー彼女がハンナ。免許皆伝ゴッドハンドの持ち主よ。」


 ハンナと助手2名がお辞儀してお迎えします。

 新しく作ったマッサージする時に邪魔にならないパンツスタイルでかわいいデザインの制服はピンク、胸ポケットに『フランジパニ』のロゴが刺繍されています。


「顔を上げて頂戴。やっと王都に来てくれたわね。楽しみにしてたのよハンナ」


「王妃殿下、初にお目にかかります。ハンナと申します。

本日は恐れ多くもマッサージをさせていただく事になりました。どこか気になる所がございますか?」


「そうねぇ…最近公務続きで疲れが中々取れないのよ」

 

「それでは今回はまず身体を温めた後に全身マッサージし、疲れの取れるシロダーラと呼ばれる額に温めた良質な油を垂らす施術でいかがでしょうか?」


「それでいいわ」


「ではまずあちらでお召し物を専用のバスローブに着替えていただきおみ足のマッサージから始めます。

こちらへどうぞ…」


☆☆☆☆☆☆☆ 


「お疲れ様。ハンナのマッサージはどうだった?」


「天国見たわ!!そしてこの爽快感。頭がスッキリして身体が物凄く軽いのよ。

それにフラワーバス?芸術作品で入るの躊躇したの初めて。

シロダーラって気持ち良いのね〜お姫様気分になれたわ!!!」


「ガビーったらあなた元お姫様で今は王妃殿下でしょ?

まぁ喜んで貰えて良かったわ。今日は天気が良いから庭のガゼボにお茶の用意させてるの。行きましょう」


 我が家の料理人は各国で修行し創作料理が得意です。

アフタヌーンティーに用意された3段皿にはブリーデン皇国伝統の1段目にサンドイッチ、2段目に温料理、3段目にプチフルールやフルーツタルトと生クリームたっぷりのケーキ。籠に入ったスコーンとトレイにシュトーレン、我が家自慢のクロテッドクリームとジャムが別皿にセットされていて紅茶の種類も豊富です。


 マッサージ後に影響出ないよう、太らないようローカロリー工夫されてるのはわたくしもかなりこだわった所です。


「あなた達下がっていて。来てほしい時は合図するわ」


「はい奥様。それでは王妃殿下失礼いたします」


 数人いた侍女はティーポットを置きお辞儀をして去っていきます。

 護衛は元々ギリギリの場所にいますが念の為防音魔術でガゼボ周りに結界を作ります。


「さて、これで何を話してもいいわ。ガビー、フレンチ公国のマリアージュ·フルールから取り寄せた茶葉はいかが?」


「最近飲んでなかったから嬉しいわ。いい香り…。

サンドイッチにお茶も美味しいしタルトは宝石箱のようだわ。いただくわね…ん~美味しい♪♪

…そうだ明後日王城の大広間で聖女召喚の儀が行われる事に決まったわ」


「うちからはルドルフとアルが出席ね」


「そう。陛下と私にリヴァルド、公爵家と侯爵家に伯爵家から当主と次代爵位継承確定者のみ強制参加」


「私も参加したかったわ…本来なら正妻でも誓約魔法で内容教えて貰えないのよね。

元王族でも駄目だから残念だわ」


「決まりだから仕方ないわね〜ふふっ数少ない王妃特権よ。

ロッテ、後でルドルフとアルベルトに聞きなさいな」


「儀式内容知ってる元王族の特権は使わせて貰うわ」


「…ねぇ聖女召喚の儀って王妃教育の時、王族専用の書庫で文献読んだ位の知識しかないのだけど、大神官様が魔の強まりを感じて早目の召喚を進言されていたけどかなりご高齢の方だったわよね?」


「そう御年99才。本来なら数年前に代替わりだったのを、生まれた時に召喚された聖女様から育てて貰った恩があるから次世代の降臨の儀だけは誰にも譲らんと粘られたのよ」


 大神官様は数年前に亡くなられた聖女様を敬愛されていて今年の儀にかける執念は凄まじいものだと聞いています。

 儀式は王城の広間で行われこちらの生活に慣れた頃に王立ヴィルム魔法学園に編入する予定です。


「異世界から来られるってどんな方なのかしらね?」


 聖女召喚の儀は現在ヴィルム王国でしか行われていません。

遥か昔かの国で聖女様が酷使され亡くなられた悲劇から国際会議で人道的で託せるとヴィルム王国が選ばれたそうです。


「そうね…年齢は16才、必ず地球の日本と呼ばれている所から来られるってのは知ってると思うけど、聖女様はなるべく身寄りのない方になってるのよ。家族と引き離されるのは切ないもの」


「せめてこちらで居心地よく過ごして貰える配慮しないとね。

あとヴィクトーリア嬢に学園での聖女様のお世話係を頼むからある程度事情話して良いわよ。お世話係懐かしいわね?

 かなり負担かける事になるからフォローを頼むわね」


「分かってるわガビー」


「それと入学時の魔法属性判定楽しみね。毎年イレギュラー起こるから学園側は大変だけど。

 ヴィクトーリア嬢は何系かしらね?」


「アルは氷系だけど、ヴィーは雷系よ。実はアルが10才、ヴィーが8才の時領地に偶々来た高位魔道士に見て貰ったのよ」


「ヴィクトーリア嬢は知ってるの?」


「言ってないわ。だって学園入学式一番の楽しみがなくなるじゃない」


「そうよね。あの魔法判定儀式は面白すぎだもの。わたしは留学したから知る事が出来たけれど。結局そのまま王妃として居着いてしまったわ」


「そうそう王立ヴィルム魔法学園に通った生徒だけが知るお楽しみ。情報漏らさぬよう誓約魔法かけられる位だもの」


「ヴィクトーリア嬢の制服姿可愛いでしょうね?今回会えると思ってたのに残念」


「社交シーズン始まりのデビュタントで会えると思うわ。楽しみにしててね」


後に特別な客だけが招かれるハンナのスペシャルマッサージとシャルロッテとのお茶会は『美魔女の茶会』と名づけられ、政敵と言われている侯爵家の当主が奥様から懇願され渋々頼んできたと父上が苦笑いしていました。

ありがとうございます。

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