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「母上浮かない顔してどうかしましたか?」


 アル兄様が声をかけました。


「それがね。王妃様が明日マッサージをして欲しいと言ってきたのよ。今週は公務があるから来週にしたいと言ってたのに」


「何が気にかかるのですか?」


 わたくしが聞くと


「夜会でヴィーとだけ会ってないから、お見舞い兼ねて一緒にお茶したいわ…なんて含みある手紙だったわ」


「もしかしなくてもリヴァルド様が王妃様に相談したとかでしょうか?」


 何となく嫌な予感がします。


「あの文面だとその可能性は高いわよね」


「明日寝込みますわ」


 思わずハイと挙手してしまいます。

会わないと決めたのにそちら方面からきましたか。

 仮病使うのが一番ですわね。


「あのまま寝込んでるって言って断ったのよ」


 王妃様のお誘い断ったんかーい。おっとつい心の中で前世のノリツッコミが出てしまいましたわ。

 親友の筈な王妃様にしれっと母上嘘ついてますわね。


「じゃあ本当のお見舞いね♪って返事がきたわ」


 上流階級特有笑顔の駆け引きコワイ。


「王妃様にうつしたら大変ですから今回は中止されては…と言ってみては?」


「アル兄様それ採用!!」


「それも書いたわよ。でもマッサージとその後わたしとのアフタヌーンティー決定よ」


 王妃様来られるならわたくし明日部屋にお籠り決定です。

 合法的にゴロゴロ出来ますわ♪そんな心を見透かされたのか


「あらヴィーちゃん演技は完璧にしなきゃ駄目よ」


「えっ会わないのに演技指導入りますの?」


 母上は完璧主義者でした。

夕食前までみっちりと演技指導入り、より病人らしく振る舞うために色々な事されましたの。(具体的だと虐待…げふん)

 元々幼少の時の病気がちだった記憶引っ張り出します。


 更にまっずい薬湯もじいが用意出来ておりますとか言ってるし、ヤブヘビです。

 病人がいる特有の雰囲気ってあるわよね?薬湯の匂いがしないと変でしょ?って頬杖ついて笑顔の母上怖いですわ。

 部屋に引き籠もっていて会わないのにそこまでするんですのー!?わたくし泣きたい。


 さて今日は精神的&肉体的にもかなりなダメージ受け疲弊したのでハンナがご褒美に全身オイルマッサージのフルコースしてくれました。

 湯で温めてほぐされてマッサージ専用稀少なアーンゴラウサギ製のふっかふかのバスローブに身を包み、額に温めたオイルを流すシーロダラを受けたのですが、それはもうかなり気持ち良くてうっかり寝…はっ!!昇天しかけてましたわ!!!


 さすがイーンド王国のエステ界頂点、ゴッドハンドを持つ方をシュナウザー家に招き3ヶ月滞在させ弟子入りし極めた匠の域に脱帽ですわ。

 お師匠様から特に気に入られ唯一免許皆伝したのがハンナです。

 かなりお高い費用は美に拘る母上のポケットマネーから出され、ハンナは母上の部屋に出張エステに行っています。


 今まで領地に小さな子供と家族がいるので王都には行けないと一族限定門外不出だったのですが、わたくしの学園入学を機に家族と共にハンナが来ると聞いて速攻予約とそれはもう王妃様楽しみにしてるんだとか。


 来週だったら王立ヴィルム魔法学園入学にわたくし入寮ですからご挨拶もしなくて済むと思ってたのに、明日ですか…。 

 まぁ病人だからご挨拶しないのですけどね。


 余談ですがハンナの他に数人指導受けていて、来月王都に高位貴族会員限定エステサロン「フランジパーニ」が開店予定なのですが研究していたエステ関連の美容化粧品なども展開し投資資金はその後数ヶ月もしない内に回収する盛況ぶりになる未来…流石ですわ母上。


☆☆☆☆☆☆☆☆


 おはようございます。爽やかな朝ですがわたくしはちっとも爽やかではありません。

 アーリーモーニングティーがまっずい薬湯になりました。

 王妃様来られるの午後なのに早朝からここまでしなければいけないのかしらと涙目で飲み干しました。

 どこも悪くないのに…。


 母上いわく『騙すなら完璧に』僅かな隙も見せてはならないのは当然ですわね。

 おのれリ…おっと不敬ですわ。


 朝のルーティンのヨガは許可されたので、お気に入りのヨガウエアに着替えて温室に向かいます。

 爽やかな朝なのに薬湯の匂いが鼻についたまま気分最悪ですが、切り替え。

 

 フランジパニの香り最高なのに、この薬草臭と混ざった感が凄い破壊力でカオスです。

 太陽礼拝から屍のポーズまでゆったりと行いハンナが用意したのはこれまた薬草がプカプカ浮いた…フラワーバスならぬ…。

見下ろしながらつい言ってしまいました。


「これに入らなきゃなのね」


「奥様の指示ですから仕方ないですね」


 ハンナ冷たい。


 昨夜オイルマッサージしてた良い匂いのままだとバレるので匂い消しの薬湯に入ります。

 これはこれで温まるのですが匂いキツいですわ。

 更に熱出した設定なので少なめのランチ後、落ち着いたら王妃様来られるまで岩盤浴に入って汗をかく予定してますの。


 移動中に鉢合わせないよう見守りくん部隊とハンナ筆頭侍女部隊と連携してダッシュで寝台に向かわねぱなりません。走った息切れすら演技に加える母上が怖いですわ。


 更に顔色が悪いメイクまでして完璧に準備万端で王妃様お迎えする筈(部屋引き籠もり)だったのですが…どうしてこうなった。

ありがとうございます。

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