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 尋問タイム終了し、対策会議に移行します。


アル兄様が人差し指で書く魔法文字で壁をホワイトボードかわりにし簡潔に纏められた今回の事件。

 ここ重要と書かれた部分を指しながら言います。


「どうやらヴィーに殿下の番の可能性あるようですよ。

 覚醒くんを飲ませ目覚めた瞬間問い詰められましたが、事情分ってないし可愛いヴィーを渡したくないので取り敢えず夢でも見たのかと誤魔化しました。」


「何かの間違いでは?」


 暗闇で顔も見た事もないのにありえません。寝てるのが婆様だったらどうするのかしら…。つい妄想して口角あがります。

 婆様抱き締めてあのセリフ…ぷふっ。おっと淑女が口開けて笑ってはいけないと咄嗟に手で蓋します。

 母上がちらりとわたくしを見たけど何も言われなかったのでセーフ??

 実際に番は必ずしも現れるものでもなく、丁度良い年齢差になるとも限らないのです。


「まぁ私としてはリヴァでも簡単にヴィーは渡しませんよ?」


 …とアル兄様が言えば


「とにかく学園卒業までは誰であろうがヴィーは渡さん」


 …父上恋愛は認めて欲しいですわ。


「まぁ王子様との恋なんてロマンスなのに残念ですわ」


 母は最近市井で流行っている恋愛小説にハマっていますの。


何処かで読んだような乙女ゲーやラノベなろう系のようなので、今まで興味なかったのですが異世界あるあるで実はこの世界かもしれないので一度読んでおいた方が良さそうです。


 高位貴族生まれた恩恵で贅沢な暮らしをしていたのですから政略結婚の義務は理解してますが、冒険出来ない王族だけは絶対に嫌と主張させて貰いますの。

 

 幸いシュナウザー家は代々政治的な権力に興味なく恋愛気質の家系で過去に大恋愛の末、妻は彼女が唯一無二と宣言し爵位を捨て平民になった叔父上がいたり(領地で商会設立し王家御用達まで上り詰めた敏腕会長だったりする)個人の意思を考慮して貰えるのが嬉しいですわ。

 …と言っても基本お相手の身分や背景は見守りくんに精査され、当然最低限の釣り合いを求められます。


 年に数回領地で開催される親族会議の承認も必須で叔父上の時はシュナウザー家の意見がわかれて対立し、認められるまで色々あったと聞いています。

 親族会議は成人しないと参加出来ません。出席経験あるアル兄様いわく圧巻の一言だとか。16才になった今年初参加なので楽しみです。


 纏めに入り取り敢えずアル兄様と見守りくん部隊で連携を取り王立ヴィルム魔法学園入学前までは会わない1択という結論になりました。

 流石に入学後は護衛も入れない領域なので(学園内は許可された者以外弾く結界あり)面倒くさ…夜会に出なくてよくなりました(バンザイ!!)

 第1王子と何時何処で遭遇するか分からないので貴族街には行かないと決まりました。(楽しみだったのに…)


 前世関連の話はわたくしがまだ思い出せてない部分がある為ある程度落ち着いてから詳しく話す事で今回の会議終了です。


 朝食後の家族会議が終わり部屋に戻ります。

応接部分のソファに座るとすかさずハンナがハーブティーを置いてくれます。


「マローブルーティーです。レモン入れますか?」


「1杯目はそのままで、2杯目にレモンを入れるわ」


 ブルーマローというハーブの花からつくられる「マロウブルー」前世世界であのモナコの王妃だったグレース・ケリーが生涯愛してやまなかったハーブティー、深い青色からあざやかなピンク色に変わるさまが夜明けの空に似ていることから、「夜明けのハーブティー」と呼ばれています。 

 

 そして、「マロウブルー」は同じ淹れ方をしても、一度として同じ色になることはなくてお湯の温度はもちろん、気温や天候によっても少しずつ色が違うんだとか。

 前世日本で、「うすべにあおい」と呼ばれているハーブの一種です。

 

「いい香りね」


「ヴィー様最近お気に入りのハーブティーですよね。あと流行しているチャイ国のジスミン工芸茶やウーロン茶、そして数日前やっとジパング皇国のグーリンティーも見つけて購入しておきましたよ」 


「まぁさすがハンナだわ頼りにしてるわ」


「ヴィー様の為なら何でも手に入れてみせます!!!」


ハンナ頼もしいです。


「何でもって甘やかしすぎ。とんでもないモノ頼むかもしれないわよ?」


「あらゆるツテを駆使して手に入れますよ」


 ハンナは執事や侍従、侍女がほぼ加入する『側近え連盟』の副会長で人脈凄いようです。

 異世界転生して前世の記憶なくても根本の嗜好品は変わらないようですわね。


 こんなにもよく仕えてくれるハンナに最愛の旦那様のエーリヒ(ハンナと共に移動、王都執事補佐に昇格(33才)と愛娘アンナ5才と過ごせるボーナス休暇を学園に慣れた頃にプレゼントせねば。


「そうだわ!!貴族街には行くかもだけど、平民街なら殿下来ないと思わない?」


 ナイスアイデア思いついたわと手をパムっと合わせると。


「そうですね。念の為にアルベルト様に殿下を監視して貰い、ヴィー様は見守りくん部隊で固めてたら大丈夫と思います。勿論私がヴィー様の側でお守りしますわ」


 ハンナ本当に頼りになります。

 彼女は見守りくん部隊精鋭の一人でわたくしの侍女兼ボディガードでもあり、鍛錬時のパートナーもして貰っていますの。

 更にいつものお忍び用の変装して行けば完璧ですわよね??


 さて、シュナウザー家の昼食はそれぞれ好きな時間に好きな場所で取って良い事になっています。

 今日は天気も良いので我が家自慢の薔薇園がある中庭のガゼボで母上とアフタヌーンティー兼ねゆっくり過ごす予定です。


 部屋でお昼のドレス、今日は最近流行している淡いブルーの絹のような滑らかな生地に白の繊細なレース編みが襟と袖にあしらわれているお気に入りのに着替え髪はストレートをハンナのアレンジでハーフアップにして紫の魔石ビジューが付けた白のレースリボンを結び、靴は白のヒールを選びました。


 風も心地よいこの新緑の季節の庭はまでは散歩するのに丁度よい距離で大輪の薔薇が咲き誇るアーチを潜りガゼボに向かいます。

 庭に出ると珍しい事にアル兄様が先に来てました。


「あら珍しい、アル兄様学園寮に戻らなくて良いのですか?」


わたくしが声をかけると


「夜会明けだし倒れたヴィーが心配で休みを貰ったんだよ。

 殿下も昨日はヴィー以外の高位貴族令嬢全てと踊ったからさすがに疲れたと言ってね」


 アル兄様の気遣いに感謝します。

 次期王太子になられる殿下の伴侶はいずれこのヴィルム王国の王妃様になる訳で、面倒くさ…王太子妃候補選び大変ですわね。


 あれこれと他愛のない話をしていたら母上が浮かない顔してやってきました。

よろしくお願いします。

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